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羅刹の力

20180210 更新1回目

「なっ!? これ、どういうこと!?」

「オレが知るわけねぇだろっ!」

「も、モンスターがこんなに……」


 突然のことに、生徒たちの間に動揺が広がる。

 唯一、平然としているのは、この原因を作り出したであろう羅刹ただ一人だった。


「……召喚魔法……いや、これは……」

「ははっ、数の優位がなくなっちまったな」


 俺たちの様子を楽しむように、羅刹は不敵な笑みを浮かべる。

 やはりこれはこの男の仕業で間違いないようだ。


「全員、戦闘態勢を!!」


 動揺を隠せない生徒たちに、鷺ノ宮が指示を出す。

 それと同時に、


「行け!!」


 羅刹の命を受け、召喚されたモンスターたちが襲い掛かって来た。

 ゴブリン、スケルトン、スライム――まだ見掛けたことのないモンスターまでいる。

 その数は合計20体以上――フロアが埋め尽くされるのではないか……というくらいのモンスターの群れだ。


「いくぞっ!」


 5組は応戦することを決めたようだ。

 が、背後には扉がある。

 今なら逃げることも可能……。


(……念の為、逃げ道を確保しておくか)


 そんなことを考えていた矢先。

 俺の考えを先読みしたのか、数体のモンスターが扉の前に立ちふさがった。


「……逃げる、なんてつまらねぇことは考えてないよな?」


 羅刹の言葉は、明らかに俺に向けられたものだった。

 不気味なほどの威圧感を放つ。


(……こいつ)


 ここで完全に俺たちを潰すつもりか?

 だったら……こちらも覚悟を決めるべきだろう。


「……いいさ――やってやるよ」


 まだ羅刹の力に関しては不透明な部分が多い。

 だが、この程度の数のモンスターであればどうにかなる。


「勇希、三枝、此花、野島――お前らは自分の身を守る事だけを考えろ!」


 大雑把な指示を出して、


「――炎のファイアアロー


 今回に関しては手加減なしだ。

 俺はモンスターに対して全力の魔法を放った。、

 無数のモンスターが迫ってくるのなら、無数の魔法で対抗してやる。


「があああああああっ!?」


 火矢の直撃にゴブリンがのたうち回る。

 マシンガン――というのは大袈裟だが、可能な限り速射を続けた。

 1匹、2匹、3匹――次々にモンスターが減っていく中、


「うううううううっ!」


 敵の注意が俺に向く。

 俺が最も厄介な敵だと認識したのかもしれない。

 そして一斉に俺目掛けて走って来る。

 が、この場にいる生徒は俺だけではない。


「はあああっ!」

「おらあっ!」

「ふんっ!」


 俺に注意が向いた隙に、野島たちがモンスターを仕留めていく。

 着実にモンスターは数を減らし、あっという間に5体ほどになっていた。


「……なるほど……お前、他の奴らとは違うな?

 レベル……いや、何らかのスキル持ちか?」


「答えたら、そっちの力を教えてくれるのか?」


「ははっ、……そうだな。

 こいつらを倒せたなら――少し俺の力について教えてやってもいいぜ」


 羅刹の余裕は消えることがない。

 まだモンスターを出せるのか? 限界はないのだろうか?


「さぁ……もっと楽しませてみせろ」


 続けてモンスターが現れた。

 だが、先程のまで雑魚モンスターとは違う。

 恐怖にも似た強烈な気配が周囲に満ちていく。

 現れたモンスターたちは……。


「宮真くん……あれって……」

「嘘……でしょ?」


 最初に反応したのは、三枝と勇希。


「ボブゴブリンに……こいつは、2階層の……」


 現れたのは1、2階層のボスモンスター。

 そしてもう1体……見たことがないモンスターがいる。


「な、なんだよ、なんだよこいつらは!?」

「嘘、でしょ?

 こんなの、か、勝てるわけ……ない……」


 モンスター相手に応戦を続けていた生徒たちですら、恐怖に竦み上がった。

 中には腰を抜かす生徒もいる……。、

 だが、この3体は明らかに他のモンスターとは違う。

 特にこの初めて見るモンスター。

 人型……鬼、とでも例えればいいのだろうか?

 ボスモンスターと比べてさえ異質に感じる『化物』が俺を直視する。


「お前は……こいつらがボスモンスターだと知っているのか。

 なら1、2階層でボスをやったのは1組の誰か……ってとこか」


 羅刹は俺たちを観察し冷静にこちらの情報を奪っていく。

 だが、最早そんなことを気にしている余裕はない。


(……知られたくなっただんけどな)


 ボスクラスのモンスター2体と、それ以上の化物が1体。

 まともに戦えば俺たちはここで死ぬしかないだろう。

 だが、俺には死ぬという選択肢はない。

 ここを生き抜くには――こいつらを全員、倒せばいい。


一匹狼ロンリーウルフ


 俺はオリジナルスキルを発動した。

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『ダンジョン・スクールデスゲーム』
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