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この先に何がある!?

2018128 更新

          ※




 スケルトンの討伐を終えた後、俺たちは探索を続けていた。 

 あれからさらに二度の戦闘があり、俺以外の全員はレベルを1つ上げていた。

 三度の戦闘で討伐したモンスターは7体。

 ゴブリン、スライム、そしてスケルトンだ。

 モンスターのレベルは3~5。

 少しレベルが上がりにくくなっている気がするが……まぁ、こんなものだろうか?

 出来ればもう少しメンバーのレベルを上げておきたい。


「三間くんも、久我くんも見つからないね」

「ボクたちもう、随分と進んで来たよね?」

「マッピングさている範囲を考えると、この階層はかなり広いのかも……」


 三枝はマップを出した

 宙に表示される画面に俺たちは目を向ける。

 マップはあまり広がっていない。

 この感じからすると、


「……もしかして2階層の倍くらいは広いんじゃないか?」

「倍で済めばいい……くらいに考えておいた方がいいかもね」

「そんなに広いんじゃ、今日中に三間たちを見つけんのは難しいんじゃねえか?」

「ミマたちの捜索もだけどさぁ、扉も探さないとなんだよね……」


 この広さでは今日中に全ての目標の達成は難しいだろう。

 無理はせず、一度引き返すことも十分視野に入れておく必要がありそうだ。


「……何か二人を見つけ出す手段はないかな?」

「仲間を見つけられるスキルがあればいいんだけど……」


 そういったスキルがある可能性はあるだろうが、パーティ内で所持している者はいないだろう。

 つまり、地道に捜索するしかない。


「ま、ミマは大丈夫でしょ?

 パーティで行動してる以上は、ここのモンスターには負けないよ。

 罠は……ま、上手く回避してることを祈るしかないよね」


 所詮は他人事。

 此花の口振りはそんな感じだ。

 勇希のように絶対に助けたいという強い想いはないのだろう。


「まぁ……三間はともかく、問題は久我のほうだろうな」


「他の生徒と上手く合流できていたらいいんだけど……」


「合流……そっか。

 もしかしたら、1組の生徒以外と行動している可能性もあるんだよね」


 2階層の攻略が終わっているのは2組と5組。

 3、4組に関しては、攻略の通知がない事を考えると2階層を攻略中なのだろう。

 しかし、いつ階層攻略を終えてもおかしくはないはずだ。


「ねぇ、大翔くん。

 どこか気配が密集してる場所ってないかな?」


「……何ヵ所かあるが……。

 勇希はそこに生徒たちが集まってるんじゃないか?

 そう考えてるのか?」


「うん。もしかしたら、三間くんと久我くんがいる可能性もあるかもしれない。

 もし他の生徒だとしても情報の交換は出来るし……モンスターの可能性もあるから、危険はあるかもだけど……」

「……いい経験値稼ぎ……とでも思っておけばいいんじゃないか?」


 この階層のモンスターであれば、囲まれたところで問題ないだろう。

 万一があっても、オリジナルスキルを使用すれば切り抜けることは容易だ。

 ボスと戦うよりはずっと安全だろうしな。


「みんなはどうかな?」


 勇希は皆に意見を聞く。


「あたしは、無闇に探すよりはいいと思う」

「オレも問題ねえぜ。

 モンスターとの戦闘にももっと慣れておきてえしな」

「ボクもそれで構わないよ。

 危険は避けたいけど……今のうちにレベルを上げておく重要性もわかってるからね」


 三枝、野島、此花はそれぞれ肯定的な意見を返した。

 

「みんな、ありがとう!」


 勇希はぱっと明るい表情を浮かべて、皆に頭を下げた。

 他人のことでこんなに一生懸命になれる奴は、きっと勇希を除いて他にいない。 


「ココノエに感謝されることじゃないよ。

 それにほら、いざとなったらヤマトが助けてくれるとおもうからさ」


 そう言って此花がニヤッと悪戯っぽい笑みを作ると、俺に抱きついてきた。

 あまりあてにされても困るが……。


「まぁ、出来る範囲でならな」

「ならOK。じゃあ早速行っちゃう?」

「大翔くん、ここからだとどの辺りがいいかな?」

「そうだな……」


 この辺りで一番気配が集まっている場所を探す。

 ちらほらと気配はあるのだが……。


「うん……これは……?」

「見つかった?」

「……ああ、複数の気配が集まってる……というか、集まった場所があるな」

「集まったって、偶然じゃないってこと?」

「ああ……。

 まるで集合場所を決めていたみたいに、一ヵ所に集まってる。

 生徒たちが集合場所を決めて行動していたのか、それとも戦闘中なのかはわからないが……」

「それならモンスターじゃなくて、生徒の可能性は高そうだね!」


 今のところそこが一番、生徒と遭遇できる可能性は高そうだ。


「じゃあ行ってみるか」


 方角は北西――現在地からそれなりに近い場所だ。

 順調に行ければ30分ほどと言ったところか。

 モンスターと罠の存在に気を付けつつ、俺たちは目的地に向かって探索を続けた。




            ※




「ヤマト、そろそろ?」

「ああ……もう直ぐ目的のポイントだ」

「何か動きはあった?」

「いや……少し動いてはいるが、ほぼ同じ場所にいるな」

「やっぱり、生徒たちが集まってるのかな?」

「でもよ、ダンジョンの中で集まるくらいなら、教室に戻ればいいんじゃねえか?」


 何かあった際に、集合ポイントを決めている可能性はあるだろう。

 まぁ、もしそうだとしたら相談しなければならないような緊急事態があった……と考えられるが……。


「野島、生徒じゃなくてモンスターの可能性もあるのを忘れるなよ」

「お、おう! わかってるぜ!

 もしモンスターだったら、今度こそ蹴散らしてやるからよ!」


 相変わらず威勢がいい。

 実力はともかく、恐れることなく前衛を務めてくれるからな。

 そういう意味では野島は使える。


「もう直ぐだ。

 この先――突き当りを右に進んだ場所だ。

 一応、戦闘準備しておいてくれよ」


 全員に呼びかけた後――俺は壁に身を隠すようにして、通路の右側をちらりと覗き込んだ。

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こちらが書籍版です。
『ダンジョン・スクールデスゲーム』
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