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初めての武器生成②

 そして輝きが弱まると、


「え~と、これ……ミャ―失敗してないよね?

 一応……成功したみたい?」


 戸惑うように桜咲は言った。

 初めて使う装備生成スキルに不安があったのかもしれないが、ホーンラビットの角は間違いなくその形状を変化させていた。


「三枝、鑑定スキルを頼む」


「うん」


 俺の頼みに頷き、三枝は桜咲から武器を受け取った。


「え~と……武器の詳細はこんな感じだね」




――――――――――――――――




 武器『ホーンラビットの槍』


 装備可能レベル3以上。

 攻撃力:25

 獣系のモンスターに対するダメージ3%増加。




――――――――――――――――




 鑑定スキルによる詳細情報が三枝の口から伝えられる。

 だが、おかしい。

 確か桜咲は攻撃力30と言っていたはずだ。

 それに付加効果も弱くなっている。


「聞いていたよりも武器の性能が少し低いみたいなんだが……」

「にゃ!? も、もしかしてミャ―、失敗しちゃった?」


 俺の疑問に桜咲は強い動揺を示す。


「そもそもの疑問なんだけど装備生成スキルに失敗ってあるものなの?」


 勇希が尋ねた。

 この場にいる者は皆、同じ疑問を持っていただろう。


「武器生成スキルの説明を読んだ感じだと、失敗……というのはない思うけど……。

 でもミャ―、ちょっと気になることが……」


 言い辛そう視線を背ける桜咲。


「んだよ? 気付いたことがあれば話しゃあいいじゃねえか?」

「ノジマの意見に賛成ってわけじゃないけどさ。

 サクラザキの装備生成スキルには、これからも頼らせてもらうわけだし、ボクたちにも情報共有はしてほしいな」

「そ、そうだよね。

 実は……さっき装備生成した時に、熟練度が上がりましたってアナウンスが聞こえたんだよね……。

 それで調べてみたんだけど、装備生成スキルにはスキルレベルの他に熟練度っていうのがあるみたい」


 熟練度……?

 俺たちが獲得できるスキルにはレベルは存在しているが、熟練度なんてものはなかったはずだ。

 それは、鍛冶系のスキルにのみ存在するものなのだろうか?


「大峰、確かめてもらいたいんだが、鍛冶スキルにも熟練度はあるのか?」

「ちょっと待ってほしい。

 今、確認中だよ……え~と、うん――どうやらこっちにも熟練度の項目があった」

「なるほどな。

 なら恐らくだが……桜咲の装備生成スキルは熟練度を上げることで、生成スキル装備の品質を向上をさせることが出来るんじゃないか?」


 熟練度が低い状態で装備生成したからこそ、生成された武器の品質が低かった。


「そう考えれば納得がいくな。

 熟練度っていうのは鍛冶屋としての技術ってところか」

「ならミャ―たちは、いい装備を作る為にも熟練度を上げないとなんだね!」

「実際の鍛冶師ってわけじゃないが、修行あるのみだな」

「大峰っち! 頑張ろうね!」

「ああ!」


 鍛冶屋として本格的に活動をスタートさせた二人は、前向きに自分に与えられた仕事を必死にこなそうとしている。

 この二人ならきっと上手くやっていけるだろう。


「みんな、また何か素材が見つかったらミャ―のところに持ってきてね!

「ああ、その時はまた頼む」


 素材次第では、かなり強力な武器が作れるかもしれない。

 今回生成してもらったホーンラビットの槍だって、ポイントで買える槍に比べれば随分と強力なものだしな。


「それと鍛冶スキルについてなんだけど。

 前に食堂での会議で軽く話したけど、鍛冶による装備強化にも素材が必要なんだ。

 それには『金属』や『鉱物』が必要になるみたいなんだ。

 もし探索で見つけたら持ってきてほしい」


 大峰が鍛冶スキルについての説明をしてくれた。


「あたし、昨日の夜にポイントで買えるアイテムのリストを見ていたんだけど、鉄とか金ってポイントでも買えるみたいだよね」

「ああ、それは自分も気付いた。

 でもポイントは出来る限り食費に回したいからな」


 ポイントを代償に購入できるものは本当に幅広い。

 だからこそ、なるべく支出は少なくするべきだろう。

 いざという時の切り札にもなるのだから。


「もしポイントで素材を購入したいなら、みんなと相談だね」

「ボクが思うに、そんな話をしたらまた揉め事になりそうな気もするけど……」

「持ってるポイントが少ねえからそうなんだろ?

 だったら、ポイントを沢山溜めりゃいいじゃねえか!」


 野島の意見はシンプルだが、間違いはなかった。

 多分、その為の手段はきっと考えてはいないだろう。


「とりあえず、今回の探索で何か手に入ったらここに持ってくるから。

 その時はよろしく頼む」

「ああ、任せてくれ」

「ミャ―たちにお任せだよ!」


 二人から返事を聞いた後、俺たちは3階層の探索に向かう為に教室に戻った。

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こちらが書籍版です。
『ダンジョン・スクールデスゲーム』
もしよろしければ、ご一読ください。
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