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2017/1121 更新しました。

 年齢は俺たちと変わらないくらいだろうか?

 しかし、どこか浮世離れした雰囲気を放つ少女だ。


(……間違いなくうちのクラスの生徒じゃないよな)


 だとしたらこの女はどこから?


「どうした? 私に見惚れているのか?」


 そんなことを言って、謎の少女は俺に顔を近付けてきた。

 マウントを取られているのでされるがままだ。


「見惚れるって、ナルシストかお前は?」

「ナルシスト? それは違うぞ。

 私は自分が嫌いだ。

 だが、男が見惚れるほどに容姿端麗であることは事実だからな」


 容姿が非常に整っているの間違いない。

 だが、それを自分で当然とばかりに語る辺りこいつがとんでもない女だということだけは良くわかった。

 

「……色々聞きたいことはあるが、まずは俺の腹の上からどけ」

「うん? 女に見下ろされるのは嫌いか?」

「この状況で落ち着いて話せると思うか?」


 Fの服装はうちの高校の制服ではない。

 高級感のある黒いドレスを纏っている。

 しかも露出は多めで胸元が大きく開いていた。


「まだ初心うぶな子供同然か」

「歳はお前もそう変わらないだろ?」

「……私がお前の言うことを聞く筋合いはない。

 聞きたいことがあるのならこのまま話せ」


 Fは蠱惑的な笑みを浮かべる。

 すると俺は彼女の瞳から目を離せなくなった。

 二つの碧眼に、俺は吸い込まれてしまうのではと錯覚してしまう。

 だが、恐怖があるわけではない。

 不思議な感覚だった。


「……お前は俺の敵……というわけじゃないみたいだな」

「敵? そんなわけないだろ?

 お前と私は運命共同体なのだからな」

「運命共同体?」


 なんだそれは?


「私がお前を選んだ。

 そしてお前は受け入れ、私の力を使った」

「お前の力を?」


 何を言ってるんだ?

 いつ俺がこいつの力を借りたというのだろうか?


「……そうか、まだ気付いていないのか。

 お前のオリジナルスキルである一匹狼ロンリーウルフ――あれは元々は私の力だ」

「は……?」


 オリジナルスキルがこの女の力?


「どういうことだ?」

「オリジナルスキルとはこの世界で選ばれた者のみが使える力だ」

「選ばれた? お前にということか?」

「正確には私たち、だな」

「……たち?」


 ちょっと待ってくれ……状況が整理できない。

 オリジナルスキルは与えられる?

 俺がこの女に選ばれた?

 そもそも、私たちというのは……?


「私のような存在は複数いる」

「まるでお前は、人間ではないような口振りだな?」

「人間ではない……か。

 まぁ……そうかもしれないな」

「否定はしないんだな」

「普通の人間はオリジナルスキルを『与える』などということは出来ない。

 これはたとえ――担任であったとしてもな」


 担任と聞いて、俺は尋ねたいことを思い出した。


「お前たち……というのは、担任は含まれていないのか?」

「……ああ。

 私たちと奴らは近い存在ではある。

 道を違えた存在ではあるがな」


 昔を懐かしむような口振りだ。

 元々は仲間だったのか?

 だが、道を違えた……ということは、今は良好な関係ではないのだろうか?


「私たちには互いに目的がある。

 叶えたい願いがある。

 その為にお前たちを利用しているという点は共通だ」


 どんな目的があるにせよ利用されているというのは気に入らない。

 だが、それよりも気になるのは、


「……お前らは仲間ではない。

 そういうことでいいのか?」


 担任とこいつらがグルの可能性もある。


「少なくとも良好な関係ではない。

 私たちと奴らもお互いを利用し合う関係だからな」

「互いの目的を叶える為に……か」

「そうだ。

 そして私はお前を利用する。

 変わりに私が与えるのは――この世界でお前が生き抜く為の力だ」

「それがオリジナルスキルだと」

「ああ。

 私の力は特別に強力だぞ。

 力を使ったお前なら、それがわかったのではないか?」


 その点に関しては疑いようがない。

 一匹狼ロンリーウルフの効果はとんでもないものだった。


「……お前の目的とはなんだ?」

「それをお前に話す必要があるのか?」

「利用するのは結構だ。

 が、互いに利用するにしても最低限信用する為の材料が必要だろ?

 俺はそもそも、お前が俺に力を与えた存在だとは信じていない」

「……なるほど。

 信用に足る情報を寄こせということか。

 抜け目がないというか、傲岸というか……力を与えてやるだけでは満足できぬと?」



 楽しそうに、愉快で仕方ないというように、Fは笑った。

 今の俺の言葉に面白い要素など皆無だと思うのだが……。


「いいだろう。

 一つ情報を提供してやる。

 担任の使っている力……たとえば転移の魔法などは、お前たちも獲得することが可能な力だ」

「転移を? ならそれを覚えれば元の世界に戻れるのか?」

「……さてな。

 もしもお前が転移を獲得できた時に試してみるのだな」


 獲得……ということは、スキルポイントで得られる力ということだ。

 だとしたら、オリジナルスキルを発動して効率よくスキルポイントを集めることが転移を最も早く手段かもしれない。


「それともう一つ……もしお前がオリジナルスキルのレベルを4まで上げることが出来たなら、担任――あのクマ女を軽く凌駕するだけの力が手に入るだろう」

「レベル4でか……?」


 確か一匹狼ロンリーウルフはレベル5まで上げられたはずだ。


「最大レベルでなくても、担任に勝てると?」

「ああ、上手く戦えばレベル3でどうにかなるだろう。

 今のは確実に倒すにはレベル4にする必要があるということだ」


 こいつの言っていることが事実なら、担任から情報を引き出すことも意外と早く可能になるかもしれない。


「今、オリジナルスキルのレベル2になる条件を解放した」

「なんだと?」


 俺はオリジナルスキルを確認した。

 すると、




―――――――――――――――――




 オリジナルスキル:一匹狼ロンリーウルフ


 スキルレベル2:解放条件――1組を辞めること。




―――――――――――――――――




 随分とふざけた条件が提示されていた。


「スキルレベルアップの条件はお前が考えているのか?」

「この世界にはルールが存在してる。

 世界の理……とでもたとえようか?

 その理により、強力な力ほど達成困難な条件が提示される」

「つまり、お前が決めたわけではない。

 そういうことでいいんだな」

「ああ。

 さてサービスは終わりだ。

 これで少しは信用してもらえたということでいいか?」

「……ああ」


 全てを信用したわけではないが、こいつの存在が有益であることは間違いない。


「今後も情報を提供してもらいたい」

「構わないぞ。

 だが、今はもう時間が残されていない」

「時間? どういうことだ?」

「……とにかく、大翔――お前はもっともっと強くなれ。

 それが今、私が望むことだ」

「言われなくても――……え?」


 その言葉を最後に、Fの姿は消えてしまったのだった。

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こちらが書籍版です。
『ダンジョン・スクールデスゲーム』
もしよろしければ、ご一読ください。
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