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クラスメイトを説得せよ。

2017/1116 更新

(……どのタイミングで切り出すべきか)


 クラスメイトに、どう三枝のことを伝えるべきか。

 流れを考えていると、


「みんな~! 聞いて聞いて~!

 なんとここで、宮真くんから発表がありま~す!」

「なっ!?」


 担任の発言でクラスメイトたちが俺に顔を向けた。


(……このクソ熊)


 まだ考えを整えている最中だというのに。


「さぁさぁ、早く早く~! みんな気になってるぞ~!」


 意地の悪い顔を浮かべながら、担任は俺を挑発する。

 本当にムカツクやつだ。

 だが、いいだろう。

 早いか遅いの違いだ。


「……みんなに協力してもらいたいことがある」

「協力……?」


 最初に質問を返したのは三間だった。


「勿論、僕に出来ることなら手伝わせてもらうつもりだよ。

 でも具体的にはどんな内容なんだい?」

「ああ、それを今から伝える。

 これにはクラス全員の協力が必要になる」


 少なくとも、クラスの共通ポイントを使う以上は大多数の賛成を得なければならないだろう。


「クラス全員って……ヤマトは何か買いたい物でもあるの?」

「……物じゃない。が、ポイントが必要になる。

 俺は2組の三枝勇希という生徒を、1組に引き抜きたいと考えてる」

「は……? 引き抜き?」

「そんなことが出来るのか?」


 普通はポイントで生徒を引き抜けるなどと考えないだろう。

 だが、


「既に担任の確認は取った。

 ポイントで他クラスの生徒を引き抜くことが可能だそうだ」

「マジ……」

「引き抜くって、ポイントを使えば誰でも引き抜けるの?」

「それってウチらも引き抜かれるかもしれないってこと?」

「ポイントって購入画面にある物だけじゃなかったんだ……」


 次々に疑問を口にするクラスメイトたち。


「ポイントは想像以上に使い道は多いとは思う。

 だが、普通は引き抜きを恐れる心配はない。

 生徒を引き抜くには大量のポイントが必要になるからだ」

「……大量って、どれくらいだよ?」

「100ポイントくらいかかるんじゃない?」

「あ~そんなかかるなら、わざわざ他クラスの生徒を引き抜こうなんて思わないわな」」

 憶測で話が進む。

 100ポイントで済むのなら、俺の個人ポイントだけで話が済んだんだがな。


「……必要になるのは300ポイントだ」

「「「「「はっ!?」」」」」」


 多くの生徒たちの声が重なった。

 そして、マジで言ってんのか!? という表情に変わる。

 300ポイントは大金だ。

 名前も知らなかった生徒を引き抜く為に、それほどの大金を払う価値があるのか?

 大半の生徒はそう思っているだろう。


「おいおい、マジで言ってんのかよ?」

「貴重なポイントだぞ!」

「ありえないっしょ?」


 批判殺到。

 これも予想通りだ。

 だからこそ、ここからは協力者が必要になる。


「今回、1組が1位通過できた。

 それは俺たちが3階層へ繋がる扉を見つけたからだ」

「っ……自分たちのお陰だから、好きにポイントを使わせろってことか?」

「違う。俺たちが1位通過できたのは、2組の三枝のお陰なんだ」

「え……どういう意味?」


 批判的なムードの中、興味を持ってくれた生徒もいた。


「俺と同じパーティだった九重や此花、大峰に桜咲はわかるだろ?」

「うん。三枝さんのマッピングスキルのお陰だった」

「ボクらは身を持って体験したから、あの力がどれだけ有効的かわかるよ」


 有効的。

 その言葉が切っ掛けとなり、多くの生徒が三枝の持つマッピングスキルに興味を持った。

 さらに続けて、大峰と桜咲――鍛冶屋の二人もうんうんと頷き、マッピングの効果について話した。


「……通った道が記録されるのか」

「ダンジョンに入ったからこそわかるけど、迷路みたいなんだよな」

「ああ、あれはマジで迷うな……」


 そう。

 ダンジョンを探索した者なら理解せざるを得ないだろう。

 通った道が記録されマップとして使える。

 それがどれだけ有効的なスキルか。


「しかも、このマッピングスキルは三枝だけが持っているスキルだそうだ。

 それだけで、三枝が同じクラスにいることの価値がわかるだろ?」

「宮真くんがそれがいいってんなら、オレも間違いねぇとは思うけどよ。

 そいつにそんな価値があるのかはわかんねえよ?」


 野島、頼むから少し頭を使え。

 内心そう思いつつも、俺が口を開こうとすると。


「……マッピングを持つ三枝さんがいるクラスは1位通過できる可能性が高い。

 そういうことだよね」


 俺の代わりに答えたのは三間だった。


「ああ。確実に1位になれるとは言えない。

 だが、上位で通過できる可能性は間違いなく高くなる。

 実は1階層でも俺と勇希は三枝と行動していた。

 2位通過できたのも三枝のスキルがあったからなんだ」


 クラスメイト一人一人の顔を見回し、念を押して三枝の有用性を伝えた。


「安定して上位を取れるなら、300ポイントなんて安いんじゃない?」

「だよな。だったらいいんじゃないか?」


 賛成意見が大多数。

 計算通りだ。

 どうだクソグマ!

 こんなもんだ。

 これで三枝の引き抜きは決まったようなものだろう。

 そう思っていた。


「待ってくれないか。僕は完全には賛成できない」

「……引き抜きに関しては、私も三間くんと同意見」


 だが、事態はそう上手くは運ばなかった。

 よりにもよって三間と、そして勇希が引き抜きに反対してきたのだ。

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こちらが書籍版です。
『ダンジョン・スクールデスゲーム』
もしよろしければ、ご一読ください。
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