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方針

本日の更新は1話分のみです。

            ※




 ダンジョンを進みつつ。

 俺は三枝のマッピングスキルについて、パーティメンバーに説明した。

 実際に探索を続けていくと、マップがどんどん埋まっていく。

 この力があるだけで、ダンジョンを攻略する際の効率が段違いだ。


「へ~凄い! 地図みたいになるんだね。

 これって、ミャーも覚えられるの?」

「ど、どうだろう?

 あたしは最初からスキル獲得画面に出ていたんだけど……」

「ならボクたちは獲得できないかもしれないな。

 便利ならスキルだから、獲得しておきたいけど……」


 オリジナルスキルでない以上、他にも使える生徒がいるのは間違いない。

 が、昨日の時点では、1組にはマッピングスキルを持っていると申告した生徒はいなかった。

 このスキル持ちがいないというだけで、ダンジョン攻略の速度に差が出てしまう。

 階層を攻略した順番でポイントが得られる以上、マッピングスキルの有無は非常に重要だ。

 その重要なスキルを持つ生徒がいない以上、何か手を打つ必要がある。


(……策はある。後は上手くいくかだが……)


 今はダンジョン探索に集中しよう。

 まずは生きて戻らなくては話にならない。


「……この先、モンスターがいるぞ」


 小さな気配を感じ、俺はパーティメンバーに警戒するよう伝える。


「気配察知も便利なスキルだよね」

「不意打ちを防げるのは大きいよな」


 そんな感想を零しつつ、勇希と大峰が武器を構えた。

 他のメンバーも警戒態勢で、ゆっくりと進んでいく。

 だが、モンスターの姿は見当たらない。


「……いない……ね?」

「でも、ヤマトが気配を感じたってことは、何かいるって事でしょ?」

「もう移動してしまったんじゃないか?」


 いや、それはない。

 今もここに何かがいる。

 その気配だけは続いている。

 警戒を続けていると、


「――ひやっ!?」


 突然、三枝が変な声を上げた。


「ど、どうしたんだ?」

「何かいたの?」

「わ、わかんない。

 でも、なんか頭にコンニャクみたいな、ペッタリ冷たいのが……。

 うわっ、ぬるってしてる……マジ最悪だよ……」


 頭……?

 言われて俺は三枝に向けていた視線をそのままに上にあげた。

 すると、


「上だっ!」


 天上にスライムがへばり付いていた。

 そして、俺たちが察知したことに気付くと――そのまま三枝に向かい落下してきた。


「ひっ……」

「固まってないで避けろ!」


 俺は三枝の腕を掴んで、思い切り引きよせた。

 直後、三枝の立っていた位置にスライムが落下してくる。


「……な、なんだこれは!?」

「スライム……って奴だよね?」

「ミャーの知ってるスライムは顔があるだけど……」


 当然、このスライムには顔などない。

 無色透明。

 体内には草や砂を取り込んでいるのが見えた。


「みんな、来るよ!」


 勇希が声を上げる。

 が、スライムは勇希や此花、桜咲や大峰は眼中にないのか、ポン! と勢いよく飛び跳ねて、三枝に突撃してきた。


「っ!?」


 硬直して動けない三枝。

 1階層でボスモンスターに立ち向かった勇ましさはどこへやらだ。


「全く……」


 仕方ない。

 俺は三枝に突撃してきたスライムを右手で払う。

 軽く撃ち落とそうとしただけだったのだが、地面にぶち当たると、ベチャン! と風船が弾けるような音を立ててスライムが弾け飛んでしまった。


「あ、あれ……?」


 もしかして、倒したのか? 

 だが、いくらなんでも脆過ぎないか?

 油断させておいて、きっとここから再生してまた襲い掛かって来るとか?

 と、警戒し続けてみたものの、この場にあったモンスターの気配は間違いなく消えていた。


「た、倒したみたいだな」

「もしかして……スライムって弱いの?」


 大峰と桜咲の鍛冶屋コンビは戸惑った様子。

 だが、俺自身も戸惑っている。

 オリジナルスキルの効果時間は既に終わっている。

 これはモンスターが弱かったのか?

 それとも――


(……そういえば、レベルが18になってたんだよな)


 もしかしてだが……2階層の適正レベルを遥に超えているのか?


「とりあえず倒せたなら良かったんじゃない?」

「そうだよ! とりあえずモンスターを倒せたんだから!


 戸惑う二人に、此花と勇希が言った。


「た、たまたま物凄く弱いモンスターだったんだろ。

 ボスがいるみたいに、弱いモンスターがいたっておかしくないだろ?」


 余計な追及をされたくないので、俺も適当なことを口にする。


「まぁ、強いモンスターよりはいいよね」

「だな。全員無事だったことを喜ぶべきか」


 とりあえず、俺がスライムを一瞬で倒したのは、今のスライムが弱かったということになった。


「それじゃあ探索再開!」


 先に4人が進んでいく。

 俺もその後に続こうとした。

 その時、


「……あの、宮真くん……


 三枝が服の裾を引っ張って来た。


「ごめん。足、引っ張っちゃって」

「足を引っ張られたとは思ってない。

 だが、せめて逃げるくらいの事はしたほうがいいぞ」

「う、うん……あ、あの……」

「まだ何かあるのか?」


 立ち止まって話していたら、置いて行かれてしまう。


「……助けてくれて、ありがとね」

「あのくらい……別に助けたうちに入らないだろ。

 ほら、行くぞ」

「うん!」


 モンスターに襲われたばかりだというのに、三枝は笑顔の花を咲かせていた。

 意外と肝が太い奴のようだ。


(……それにしても……ここまでモンスターが弱くなるとはな)


 実際、モンスターと対峙した際に1階層で感じたほどの恐怖はない。

 それどころか、自身と比べ敵の気配があまりにも小さい。

 はっきり言って、雑魚モンスター……と言い切れるほどに。

 レベル18というのは本来、2階層でなれるレベルの限界を超えているのではないだろうか?

 実際、俺はオリジナルスキルを使ったことでボスを討伐した際の経験値が10倍入ったわけだからな。

 通常のモンスターを倒しても、これ以上のレベルアップは望めなそうだ。


(……それなら、勇希や三枝にレベルを上げてもらった方が今後の為か)


 元々の目的の一つ――ボスモンスターの討伐は済ませた。

 後は2階層を攻略するまで、暫くはサポート役に徹しよう。

もう直ぐ当初予定しておりました10万文字となります。

ここまでの感じ、いかがでしょうか?

続きも読んでみたいなどありましたら、是非感想などいただければ嬉しいです。

ご意見、ご感想をお待ちしております。

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こちらが書籍版です。
『ダンジョン・スクールデスゲーム』
もしよろしければ、ご一読ください。
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