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2階層攻略許可

2017/1113 本日1回目の更新です。

              ※




「宮真くん、何かあればいつでも呼んでくれよな」

「ああ」


 教室に着くと、野島は自分の席に向かった。

 人数を数えてみると、俺を含めて30人の生徒が教室に集まっていた。

 放送が聞こえて、直ぐに教室にやってきたのだろう。

 デメリットがあるなどと言われたら、当然の行動だな。


「ヤマト~、おはよう!」


 俺が自分の席に座ると、此花が近付いてきた。


「先に来てたのか」

「ごめんねヤマト。待っていようかとも思ったんだけど……」


 いや、それは全く気にしてない。

 寧ろ、待っててくれなくてありがとう。


「でもたった30分しか時間がなかったから、直ぐに教室に来ちゃった」

「正しい判断だな」

「……本当にそう思う?」

「? どういう意味だ?」

「薄情な奴とか思ってない?」

「薄情? なんでだ?」

「なんでって……」


 此花は戸惑うように俺を見つめた。


「だってボク……奴隷のくせに主人を置いて行っちゃったから」

「あの、教室でそういう発言するのマジでやめてね」


 直ぐそこの席の女子が、どん引きしちゃってるからね。


「結構本気なんだけどなぁ。

 奴隷としてヤマトにギブする分、テイクの方も奮発してほしいけどね」

「奴隷が見返りを期待するな」

「ボク自身を差し出すんだから、見返りくらい期待させてよ。

 奴隷だよ? つまりボクを好きにしていいってことだよ?

 男の子にとっては魅力的だと思うんだけどな」

「此花、頼むから真顔で言うのはやめてくれ」


 クラス内で俺が変態扱いされたらどうするんだ。


「恥ずかしがらなくてもいいのに。

 まぁでも、みんなの前では言わないでおこうかな。

 二人の特別関係は内緒にしておくべきだよね」

「特別な関係なんて何一つないだろ。

 男女の特別な関係っていうのは、恋人同士に対して使うもんじゃないか?」

「なら、ボクをヤマトの恋人にしてくれる?」

「そもそもお前に対して、恋愛感情が皆無だ」

「付き合っていくうちに、ボクのこと好きになるかもしれないじゃない」

「……」


 人間嫌いの俺が、そんな感情を抱く日がくるのだろうか?

 まぁ、今考えても仕方ないことか。

 面倒だと思いつつも、こんな調子で此花のおふざけに付き合って数分ほど経過しただろうか?

 教室の生徒は30人から変わっていない。

 もう少しして誰も来ないようなら、タウンの様子を見に行ってみよう。


「放送があってから、どれくらい時間が経ったかな?」

「時間? え~と……ボクがここに来てから10分だから……15分は経ってないんじゃないかな?」

「15分? ああ、スマホで時間を確認していたのか?」

「違うよ。スマホの電池、もう切れちゃってるから。

 教室に来てから時計を確認してたんだ」

「時計……? あ――そうか……」


 黒板の上に時計が掛けられているのを思い出した。

 今も秒針がしっかりと回っている。


「時間は正確に進み続けてるんだな」

「……うん。こっちの世界とボクたちの世界の時間の流れが、一緒だとは限られないけどね」

「戻れても、浦島太郎かもしれないと……?」

「可能性の話だけどね。

 ボクらはそれ以前に生き抜かないと……だよ」


 此花は平然とした顔で、シビアな発言を口にする。

 ふざけたことばかり言うけど、結構冷静な奴だよな。

 シビアな現状を正面から受け止めて、生きる為に俺と交渉までしてくるくらいだ。

 奴隷になる発言も、俺を懐柔する為にマジで言ってたりしてな。

 ま、奴隷にするつもりもないし、ただ利用されてやるつもりもないが。


「あ……残りの生徒も来たみたいだよ」


 教室に勇希たちが入ってきた。

 これで40人――1組の生徒がそろった。


「それじゃあね、ヤマト」


 此花は席を立ち、自分の席に戻って行った。

 そして、代わりに本来の席主が腰を下ろす。


「は~良かった。なんとか時間通りにみんな集まれたね」

「とりあえず、ペナルティは回避だな」


 遅れた生徒の一人が欠伸をしていた。

 二度寝でもしてたのだろうか?

 羨ましいくらい図太い奴もいたものだ。


「後は待つだけだね」

「ああ……」


 後は時間を待つのみ、時間が近付くにつれて生徒たちの話し声も消えて教室は静寂に満たされた。

 そして……。


『うん! ちゃんと制限時間以内に集合してるみたいだね~!

 みんな偉いよ~! 先生マジでハッピー!

 トリガーがあったら引き金を引きたいくらいだよ~!

 さて、昨日の夜中の放送――気付いた人もいたと思うけど、5クラスとも1階層をクリアしました! なので、今から2階層の攻略を許可しま~す!』


 担任からの放送が入った。

 夜中の放送?

 全く気付かなかったが、5クラス全てが無事に階層攻略できたのか。


(……しかし、最後に1階層を攻略した4組は、ほとんど休む間もなく階層攻略を進めなくちゃならないんだな)


 準備期間がないのはかなり厳しいだろうが……なんとか乗り切れるのだろうか?


『今のうちに色々学んでおくんだよ~。

 階層は進めば進むほど複雑に、そしてモンスターも強くなっていくらね~。

 それと2位の1組には少しだけサービス!

 情報提供しちゃいまーす!

 階層ごとに出現するモンスターの数や種類は決まっているの。

 そして2階層は1階層の5倍の数のモンスターが出るよ。

 種類と正確な数は内緒。

 あ、でも2階層のボスは1体のままだからね』


 5倍か……。

 1階層にいた魔物の正確な数はわからないが、5倍というのは脅威になり得る数字だ。

 しかも1階層にはいなかったモンスターが出現する可能性もあると考えれば、より慎重な探索をしなくてはならないだろう。


『それと2連続でボス討伐MVPを獲得した生徒には、ご褒美に担任がお願いを聞いてあげることになってるの! 叶えられるかは別だけど、出来る限りのことは聞いてあげるつもりだから! もしボスを恐れない命知らずさんだったら、頑張ってみてねん!』


 お願い……?

 特別ポイントとは別にってことだよな?

 だとしたら、今回は尚のことボスを討伐しておきたい。


『それじゃあみんな、2階層の攻略も頑張ってね~!

 担任として期待してるよ』


 伝えたいことだけ伝えられ、プツン――と放送が途切れた。


「……やっぱりダンジョン攻略は必要なんだね」

「ああ」


 1階層ではギリギリの攻略になったが、勇希にはもう絶対に無理はさせない。

 そして2階層も必ず攻略してみせる。


「頑張ろうね、大翔くん!」


 勇希の言葉に、俺はしっかりと頷いた。

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こちらが書籍版です。
『ダンジョン・スクールデスゲーム』
もしよろしければ、ご一読ください。
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