始まりの朝
2017/1112 本日1回目の更新
※
話し合いも終わり解散が告げられ、やっと部屋に戻って来れた。
明日のダンジョンの攻略は探索メンバー25人。
各班5人パーティで行動することなった。
さらに、生徒たちにはポイントで武器を購入する事が決定した。
それが全部で125ポイント……と、大きな支出になったが、命懸けの戦闘をする上で必要な経費ということで、クラスメイトたちは納得することとなった。
(……1階層の感じからすると、2階層で急激にモンスターが強くなるとは考えにくい。
最初から何かしら武器があるのならなんとか対応可能だろう
もしとんでもない強さでも、後は各パーティで上手く対応するしかないだろう)
恐らく、2階層での生存率が極端に低いという事はないと思う。
ダンジョンの複雑さに関しても念入りに伝えた為、最初の探索ではそこまで深くは進まないだろう。
(……後は2階層の攻略が始まったら臨機応変に、だな)
ちなみにうちのチームは、俺、勇希、此花と――鍛冶屋の二人だ。
うちのチームの最初の任務は、鍛冶屋チームのレベル上げとなっている。
野島は俺と一緒のチームに入りたいようだったが、ガタイも良く前衛要因として優れていると判断され別チームに回されていた。
(……さて、次のダンジョン攻略が始まる前にやるべき事を済ませておくか)
俺はスキルツリーを開いた。
ボス討伐により現在は8レベル。
5つレベルが上がったことで、それぞれポイントが25p増加していた。
未使用分と合わせると残りはマジックポイントが30p、スキルポイントが25pとなっている。
(……さて、どうするかな)
俺は熟考の末、
―――――――――――――――――
○新たに獲得した魔法
・雷撃2(ライトニングボルト)
雷属性の魔法。
光速の雷撃が対象を射貫く。
魔法レベル上昇で威力向上。
一定確率で麻痺を付与。
・治癒2(エイド)
対象者の体力を中回復。
軽度の状態異常も治癒することが可能。
・速度強化1(ギア)
対象者の速さ5%上昇。
ただし、効果は重複しない。
○新たに獲得したスキル
・自己回復2
自動回復速度向上。
ただし回復できるのは軽度の傷のみ。
スキルレベルで効果向上。
・気配察知2
周囲の生物の気配を察知することが可能。
スキルレベル上昇で効果範囲が広がる。
対象のレベルが自分以上の場合、効果は強まる
――――――――――――――――――――――――――――――
これらの魔法とスキルを獲得した。
理由は様々ある。
まずは雷撃だが、これは炎の矢以外の攻撃魔法が欲しかった
仮に炎属性に抵抗があるモンスターとの戦いになれば、攻撃手段を一つ潰されたようなものだからな。
レベルをあげたことで、麻痺を付与することも可能になったのはありがたい。
モンスターに状態異常を付与可能な点は大きそうだ。
次に、治癒2。
使用魔力は3から8に増加したが、回復効果が上昇している。
モンスターとの戦闘は怪我を避けられない。
ダンジョンでの傷は、最悪死に繋がる恐れがある以上、回復手段を強化しておいて損はないだろう。
このまま治癒3を獲得しても良かったが、獲得に必要なマジックポイントは20p。
他の魔法を獲得したいという理由と、治癒3は魔力を20も消費する為、今回は断念した。
(……オリジナルスキルの効果が事実なら、俺はレベルアップ時に獲得できるポイントも10倍になる)
獲得はその時でも遅くないだろう。
この効果が実証されれば、俺は他の生徒よりもポイント面でかなり優位に立てる。
多少は余裕があると考えても問題ないだろう。
そして、速度強化は試しに取ってみた感じだ。
補助魔法の効果を確かめておきたかった。
実際に使って有効であれば、レベルを上げていくつもりだ。
続いてスキルだが、自己回復を獲得したのは、治癒に使う魔力を少しでも抑えたい為だ。治癒のレベルを上げたことで、消費魔力が増えたからな。
これで、多少でも魔力が節約されればそれだけで価値があるだろう。
最後に気配察知2。
今後はパーティで行動する機会も増えそうなので、被害を塞ぐ為にもモンスターの気配を探れるこのスキルは獲得しておくべきだと考えた。
ボスモンスターの位置を把握するのにも使えるし、単純に便利な力だろう。
『3組の生徒が、2階層に繋がる『扉』を発見しました。
よって3組は第1階層攻略完了となります』
放送が入った。
(……これで、1階層をクリアしていないのは4組のみか)
次の階層攻略が始まる前に、今のうちに休んでおこう。
それから俺は、浴場で汗を流し、部屋に戻って直ぐにベッドに倒れ込んだ。
※
『ピンポンパンポ~ン!
さぁ、みんな朝だよ~! 冒険のお時間だ!
30分以内に、教室に集合~。
遅れたらクラス全体にペナルティだからね~』
どこからともなく聞こえてきた、担任の喧しい声で起こされた。
(……まるで念話だな)
自分の意志を伝える魔法があるのだろうか?
考えながら、俺は身体を起こす。
「……行くか」
寝起きでだるいが、ペナルティがあるんじゃ仕方ない。
俺は部屋を出た。
階段を下りて1階の食堂に到着すると、勇希と野島の姿が見えた。
「宮真くん、待ってたぜ!」
野島がバタバタと俺に駆け寄り、暑苦しい笑顔を向けて来た。
「別に待っていてほしいなんて言ってないぞ?」
「オレは舎弟だからな」
認めてないんだが……まぁ、言っても仕方ないか。
反論していも気疲れするだけだ。
それに、手駒が一つ増えたと考えれば悪いことばかりではないだろう。
「おはよう、大翔くん」
「おはよう、勇希。まだ教室には行かないのか?」
「うん。一応、みんなが出ていったのを確認してからと思って……」
「そっか……。三間は?」
「放送に気付いていない人がいるかもしれないから、みんなの部屋を確認してくるって」
三間はクラスのお母さんだな。
本来なら何が起ころうと自業自得ではあるが、クラス全体にかかるデメリットが何かわからない以上は、放置することは出来ない。
三間は合理的な判断をしただけなのだろう。
もしくはただの馬鹿がつく善人か……だが。
(……勇希のような奴が、二人もいるわけないか)
三間には三間なりの打算が必ずあるだろう。
「あ、あの……宮真くん」
「うん?」
見かけない子……だと思ったが、昨日食事を作ってくれた女の子だった。
「のんびり食事って状況じゃないけど、もし良かったらこれ……」
そう言って、おにぎりを手渡してくれる。
「ぁ……助かる」
不意を突かれて変な声が出てしまった。
「ううん。わたしに出来るのはこれくらいだから……」
優しい微笑みを浮かべる。
どこか幸が薄そうな子だ。
が、軽食を用意しておいてくれたのはありがたい。
寝起きで腹は減っていなかったが、これくらいは腹に入れておこう。
まだ余裕はあると思うが、時計がない為正確な時間がわからない。
「俺は先にいくから。勇希もあまり遅くならないうちにな」
「うん。心配してくれてありがとうね。私も直ぐに行くから」
そして、俺は教室に向かった。
寮の方は勇希たちに任せて、俺は教室に集まっている生徒を確認しておこうと思ったのだ。
もし集まりが悪いようなら、それこそ部屋で寝てる可能性があるわけだからな。
※




