バイト始めました
「どーすりゃいいんだよ…50万なんて簡単に払えねぇよ…」
「グダクダ言ってても仕方ありません。明日からクエスト頑張りましょう。」
「ハルカの言う通りだよ、後悔先に立たず現実を受け入れなさい。」
「…そうだな…っておい!キリン!テメェ!」
そこには俺らを置いて行ったキリンがいた。こいつ呑気に話しかけやがって!
「まぁまぁ生きてたわけですし、倒せたんだからいいじゃないですか〜。」
ニコニコしなが言うキリン…生きてるもなにも俺は一度死んだんだぞ!?殴りたいこの笑顔!
「それにほんの僅かですが返済の足しにはなると思います。10万G入ってます。」
「おぉー!良いのか!?助かるよ!」
「いえいえ利子付きで返してくれるのであればいくらでも。」
「は?利子付き!?フザケンナ!お前も同じパーティメンバーなんだからそりゃねぇだろ!?」
「もーわかりましたよ…でもちゃんと10万はかえしてくださいよ。」
「あぁそうする。助かるよ。」
そー言えばこいつ俺らよりも前から冒険者をしてるから金が溜まってたのか…俺なんて家もないのに!(泣)落ち込んでいる俺にハルカがある提案をした。
「カイン、私の働く店で働いてみませんか?今人でが足りないのとダメ店長のせいで店の経営が大変なので丁度良いと思ったんでけど…」
ハルカと働く!?そんな事考えたこともなかった。これは近くチャンス!?
「う、うん!そうするよ。紹介してくれてありがとう。」
「じゃあ今日の6時からで良いと思うから前のレストランに来てね。」
そう言い終えるとハルカはギルドを後にした。
残りの借金40万Gか…クソが!
「カインさぁ行きましょ。そう言えば店長が形だけでも取り敢えず面接をするって。」
「え…面接ってなんか怠そう。」
「ま、まぁ形だけらしいですから…」
苦笑いを浮かべながらも面接会場の部屋の扉前まで案内してくれた。頑張って!と応援をしてハルカは仕事に戻って行った。えっと確か最初はノックをするんだったけ?
コンコン
「入ってます。」
…ん?思ってた反応と違うぞ?予想じゃ「どうぞ」とかだと思ってたけど…かき間違い?と、考えていると扉の向こうから声が聞こえた。
「もー冗談だって〜カイン君だっけ?中にどうぞ〜」
うわ〜俺の嫌いな奴にそっくりだ…行きたくねぇ…でも行かなきゃ借金返せないし腹をくくるか…中を覗くと30代後半くらいの男の人が椅子に座っていた。
「失礼します。カイン16歳です!」
「ほうほう。それでスリーサイズは?…って男じゃん!ヒャハハハハヒャハハハハ、ヒヒヒヒヒ。」
なにが面白いんだよ…1人でノリツッコミしてるし…帰っていいかな?いいよね…?
「とまぁ冗談はここまでにして、さぁ面接を始めようか。」
それは、さっきまでのフザケタ顔ではなく真剣にこちらを見ていた。
「ならカイン君貴方はなぜウチの店を選んだのかな?」
「金がないのと、ダメ店長のせいで店の経営が大変と聞いたからです。」
バッチリ!1個目の質問クリアのはず。
「ハルカ君ちょっと酷いよ!…ま、まぁ正直で嬉しいよ…それじゃこの店の印象を教えてもらえるかな?」
そんなの勿論…
「店長がダメなら店もダメなんだろうな、と失望しています。しかしそれでも経営出来てるということは他の店員たちが凄く頑張ってるのが伝わって来ます!」
今のは完璧だろ。店のことを高く評価したんだ間違いない店長は俺のことを過大評価してくれるに違いない!
「え?カイン君酷いよ?なんで僕こんなにボロクソ言われなきゃいけないの!?面接は終わろう…これ以上喋ってると雇う気なくしそう(泣)」
なぜか目に涙を浮かべる店長…そんなに感動してくれたのか!実はいい人なんだろうか?
「カイン君向こうに男子更衣室があるから着替えて来なさい…」
今日から俺の人生初のバイトが始まる!