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おとぎ姫の異種間恋愛物語  作者: たとい
シンデレラ
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ネズミだって灰だらけ 3ページ

舞踏会に出向いたシンデレラは人間の従者になったネズミと一緒に料理やダンスを楽しみました。

綺麗になったシンデレラは見違えるほど美しかったので注目をあびており、王子の目にもとまりました。

王子がシンデレラに話しかけてきたので、従者のネズミは引き下がり、二人は踊りながら語り合いました。


「君のことがもっと知りたいな。一体、どこの誰なんだい?」

「しがない灰だらけの娘ですわ。」

「え?灰だらけ?」

「私は今夜だけの魔法の幻にすぎませんの。どうか忘れてくださいませ。」


いつの間にか12持になろうとしていた時計の針を見て、シンデレラは急いでお城の外へと駆け出しました。

彼女の言葉にしばらく困惑していた王子でしたが、慌てて後を追いかけます。

ですがシンデレラはもういません。残されていたのは彼女が履いていた珍しいガラスの靴でした。


「「あぁ、とても素敵な夜だった!」」

舞踏会の後、誰もが満足そうにそう言っていました。もちろんシンデレラたちも例外ではありません。

その数日後のことでした、父親の反対を押し切って王子が一人の娘を探しているという噂がたちました。

婚約者にするつもりに違いないと、王子を見かけた娘たちはこぞって自分こそがその娘だと名乗り出ます。

王子の付き人は試しに靴を履かせようとしてみましたが、履ける娘は一人もいませんでした。


そしてついにある日、王子と付き人がシンデレラの家にやってきました。

シンデレラは付き人がうっかり大切なネズミを踏みそうになったので、とっさに出て庇いました。

灰だらけのネズミと、それを大事そうに抱える小汚い娘が突然現れたので付き人はとても驚きました。

その時、これまたうっかり付き人は王子にぶつかって、王子は大事な指輪を落としてしまいました。

慌てて探しても見つからないのを見かねて、シンデレラはネズミに頼んで指輪を見つけてもらいました。


「この子、物を探すのが得意なんです。」


そう言われて、付き人と王子は不思議に思いながらも感謝を述べながら手渡された指輪を受け取りました。

娘とネズミは灰だらけでみすぼらしい姿をしているはずなのに、どこか輝いて見えます。

なにより、娘とネズミがお互いにとても大切に想っていることが王子にはよくわかりました。

ですが、継母とその娘たちが彼女たちを邪魔者扱いして酷い仕打ちをしているのを見て怒ります。


「私の指輪を見つけてくださった恩人たちに無礼は許しませんよ。」


王子は灰だらけの娘とネズミを継母たちから救うために城に招き入れることにしました。

シンデレラはお城のメイドとして、ネズミは探しものをする担当として雇ってもらえることになりました。

なにしろ広いお城だったので、掃除も洗濯もお仕事はたくさん。見つからないものもたくさんです。

シンデレラとネズミは大いに働いて、お城で大活躍しました。これには城中の人々が喜びました。

食事も身だしなみもしっかりできるようになった彼女たちは、しだいに美しく立派になっていきました。

そうしてついに王子はシンデレラが舞踏会で会った人であることに気がつき靴を返してあげました。


ネズミのおかげで、王子とシンデレラは新しい幸せを見つけることができたのでした。

灰だらけのただのネズミは、城の働き者としてシンデレラと一緒に称賛される存在になりました。

そうしてシンデレラとネズミはいつまでも幸せに暮らしたのでした。


身分も種族も超えた愛を歌いながら。

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