白くなった狼 4ページ
声を変え、体の色も変え、ついに白くなった狼は子ヤギたちを騙すことに成功した。
母親かと思ったら狼がいたのだから、皆がそれはもう震えあがってあっちこっちへと部屋の各地へ隠れた。
「お、かくれんぼか?」
面白くなったもんだと、白くなった狼はあちこちを探し回っては子ヤギを捕まえてやった。
ところが、最後の一匹だけがどうしても見つからない。
降参して、疲れたからと適当な理由をつけて退散しようとしたところで、子ヤギの母親が帰ってきてしまったのだった。
「それで、どうなったんだ?」
「精一杯謝ったんだけど、あっけらかんとした顔で言われちまったよ。面倒見てくれてありがとうってな。」
最後の一匹は母親の彼女が簡単に見つけてしまった。
さすがこの子ヤギたちの母親だなぁと感心したものだ。
「んで。その後なんとか誤解を解いて、おいらは彼女と一緒に子ヤギの面倒を見ることになったんだよ。」
「まじか。よく歓迎されたな。」
「歓迎なんてされなかったよ。あいつらが脅えなくなるまで、どんだけ大変だったか。」
だが、今ではすっかり仲良く喧嘩する仲だそうだ。
特に末っ子とは仲良くなり、よくかくれんぼをして遊んでいるのだという。
白くなった狼がその子を相手しているのを見た彼女は「もう母親変わりが板についてきたわね。」と言ってほめてくれたのだが、末っ子はこう言った。
「そんなことないよ。狼さんはオスなんだし、お父さんみたいなもんかな。」
末っ子の言葉を聞いたそれぞれの子が「お父さんだね。「そうかお父さんだ。」と騒ぎだしたので白くなった狼は照れてしまって、何を言ってるんだと否定したかった。
対して母親は、「その通りだったわね。」と賛同してくれた。
「もうおいら、幸せすぎてやばい。」
「それはそれは、良かったな。」
白くなった狼を見ながら、話を聞いていた狼はずきんを被りなおしたのだった。




