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おとぎ姫の異種間恋愛物語  作者: たとい
狼と七匹の子ヤギ
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白くなった狼 3ページ

子ヤギを食べるのを諦めたのは良いが、どうやって母親の彼女と近づこうか悩んでいた。

そこで、彼は彼女が大事に育てている子ヤギたちのことが心配になってきた。

自分が襲わなくなっても、他の奴らに襲われてしまう可能性があるではないか。

そこで狼は彼女が家を出てからこっそりと家の様子を伺ってみることにした。

家の中には7匹の子ヤギが、遊び盛りなのか大はしゃぎをしていた。


「これは手ごわそうなワンパク共だな。」


親の彼女に手間かけさせるなよ?と思いながら覗き見る。


「そろそろ家で遊ぶのも飽きてきたー。」

「なぁ、外で遊ぼうぜ!」


なんと、遊びまわっていた子供たちがそれぞれそんなことを言い出した。


「だ、駄目だよ。お母さんが、お外は危険だから子供だけで出ちゃ駄目だって。」

「もうそんな子供じゃねーよ。大丈夫だって。これまで危なかったことなんてないんだからさ。」


母親のことさえなければ、今まさに危険と隣り合わせだったのだが。

そんなことを知るはずもなく子ヤギたちは一匹を覗いて外に出ようと団結しだした。

おそらく、一番真面目なのは末っ子なのだろう。誰も話を聞いてやろうとしなかった。


「ここは、軽く脅してやりますかね。」


子供たちに危機感を覚えてもらうために、彼はドアをドンドンと力強く叩いた。

今まさに約束を破ってドアを開けようとしていた子ヤギたちは、ドキッとしながらドアを見つめた。


「お、お母さん?」


家に出入りするのは母親だけなのだろう。


「そうだよ。お母さんだよ。早くドアを開けておくれ。」


からかうように、そう言ってやった。

渋い狼の声を、自分たちの母親の声を聞き間違えるはずがない。

子ヤギたちはビビって、「狼だ。」「狼が来た。」と口々に言った。


「お、お母さんはそんなヘンテコリンな声じゃないやい!」

「下手な演技しやがって、お前は狼だろ。」

「絶対にドアを開けないからな!」


ふぅ、と彼は一安心しながらドアの前から離れていった。

どうやら母親とは違って、狼についての恐怖心はあったようだ。

これで安易に外に出ようなんて思うことはなくなっただろう。

だが、バカにしてきた子ヤギたちに多少腹を立てていた彼は考えた。

どこまでやったら子ヤギたちを欺けるだろうか、と。

そこで彼は子ヤギたちの警戒心や知能を試すこともかねて、いろいろやってみることにした。


声をあの女性のようにするために、声が綺麗になるというチョークを飲んだ。

声でだますことはできたが、茶色い足が見えてしまったせいでばれてしまった。

それならばと、小麦粉で体を真っ白にしてやった。爪も研いだ。


「それでこうなったっつー訳だ。」

「お前って、賢いんだか馬鹿なんだか。子ヤギ騙すためにそこまでやるかぁ?」

「騙すだなんて人聞きの悪い。試すって言ってくれよ。」


赤ずきんを被った狼は彼のやったことに呆れながらも、人まねをするという彼の行為を聞いて自分も似たようなことをやったっなぁと過去を思い返した。

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