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白くなった狼 1ページ
「おい、お前どうしたんだ。」
赤ずきんを被った狼が凝視するのも無理はない。
昔馴染みだった狼と久しぶりに再会したのだが、声がすっかり変わって毛も白く染まっていたのだ。
前は自分と対して変わりない姿をしていたというのに。
あえていうなら少し細身で素早かったぐらいだろうか。
もはや狼間違いではないかと疑うばかりだ。
「いや、これにはいろいろあってな。」
白くなった狼は、ガハハと今の声には似合わない笑い声をあげた。
「たしかお前、七ひきの子ヤギがいるっていう噂を聞いてその家に行ってたんだよな?」
「そのとおりだ。今思えば、それが全ての始まりだったんだよなぁ。」
彼は岩に腰かけて、これまでの話を始めた。




