茨の騎士 2ページ
姫の若さを保つために、茨で覆われた城は時が止まっていました。
眠りについた姫はさまざまな夢を見たり、霊体となって城を歩き回って日々を過ごすようになりました。
霊体となった姫のそばには、騎士の鎧に身を宿した茨がついていました。
独りぼっちになってしまった姫の、唯一の信頼できる相手でした。
「どうして私を守ってくださるの?」
出会ってから数年後のこと。姫は茨の騎士に尋ねると、騎士はこう答えました。
「私は、あなたを守るために生まれたからです。」
そう。最初はただ役目を果たすためでした。
ですが、長年を姫に仕えているうちに彼の考えは変わっていきます。
姫は夢を見るより彼の傍にいることが増えました。茨の彼を恐れることがありませんでした。
彼はそれをとても不思議に思いました。
夢にいる方がよっぽど楽しいだろうに。自分に呪いをかけた針のようなトゲがあるというのに。
何故、自分のところにいるのだろうか。何故、笑いかけてくれるのか。
「だって、私を守ってくださる騎士様を一人にしておけませんもの。」
「飽きはしないのですか?」
「そんなことはありません。あなたと話しているだけで、私はとても楽しいの。」
糸紡ぎの呪いがかかってからというものの、トゲを持つ茨を誰もが恐れていました。
しかし姫は、外敵から守ってくれる者だと信頼してくれている。
茨は決意しました。
絶対に、この身に変えても姫を守ってみせようと。
そうして100年の時がたったのです。近いうちに呪いは解けようとしていました。
茨の彼が、死の呪いを身に受けることで。
それが最後の祝福によって生まれた茨の騎士の宿命でした。
死の呪いを取り込み、弱らせ、時を止め、ようやく100年。
「もうすぐ、あなたの呪いは解けることでしょう。」
それは彼の寿命の終わりも示しておりました。




