君は友達でしかない
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翌日。
私はお弁当の準備をしているとお兄ちゃんが階段から降りてきた。
「おはよう。お兄ちゃん」
「おはよう」
いつもなら、顔を洗いに行くお兄ちゃんが急に足を止めた。
「すまない。琴乃、今日から昼飯はいらない」
「……え?」
「加奈子が昼飯を作ってくれるらしいんだ」
「あ、そっか! そうだよね……」
嬉しそうに洗面所に向かう姿を見て、私はまるで高い崖から海へ落とされたような気持ちになった。
ーーー
小さくため息をつき、一人で登校していると後ろからバックをぶつけられ、振り返ると元気よく登場した剣斗。
「なに、朝から暗い顔してんだよ」
「うるさいな。関係ないでしょ」
私は頬を膨らませて、足を速く進めると後ろからちょっかいを剣斗は出してくる。
「琴乃、少し太った?」とか「今日髪パサパサだな」とか「ささくれ酷いな」とか! とか!
「うるさい! 少しは黙ってよ!」
怒鳴ると剣斗は目を丸くして、私を見た。すると、学校のチャイムが鳴った。急に剣斗は私の手を引いて走り出す。
「本鈴までに教室着くぞ!」
「あ、うん」
何とか本鈴までに教室に着いてふぅと一息をつき、私は一時間目の準備をした。
「あれ?」
筆箱を漁っていると私のものでないボールペンが入っていた。
「お兄ちゃんのだ。休み時間に返しに行こうっと」
昼休みに二人分のお弁当を食べて、少し気持ち悪さは残るものの、兄のいる教室に向かった。