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迷惑をかけたくて


めんどくさそうにあくびをしてると玄関から足音がパタパタと近付いて、おばさんが眠たそうな私を見て、小さく笑い、アタマを撫でた。暖かい手に反応して目を開けると、おばさんがいた。


「おばさん! お久し振りです」

「琴乃ちゃん、ますます美人になったね」

「おばさんは美しいままで」


剣斗はゲームを片付けると立ち上がり、体を伸ばした。そして、大きなあくびをした。


「琴乃帰るぞ」

「はーい」


剣斗は私の荷物を持ち、玄関を開けた。


「お邪魔しました」

「またおいで」

「ありがとうございます」

「ほら、行くぞ」


頭を下げて、外へ一歩踏み出した。


「本当お袋の事が好きなんだな」

「だって、優しいし美人だもん。もちろん一番はお兄ちゃんだけどね」

「はいはい。それは耳にタコができるほど聞きましたよー」


暫く歩くとこちらに向かって走ってくる人影が見えた。それは凄い剣幕をした私のお兄ちゃんだった。私の目の前で止まると私の肩を力強く掴んだ。


「お兄ちゃん?」

「どこ行ってたんだ!」


お兄ちゃんの怒った顔に思わず尻込んだ。すると隣にいた剣斗はなだめるようにまあまあと話し始めた。


「まだ9時だしさ、それくらい許してやれよ。ほら、琴乃も反省して……」


私はケータイ片手にお兄ちゃんを盗撮。お兄ちゃんの美しい横顔を連写していた。


「何でそんな嬉しそうなんだよ」

「お兄ちゃんが私の為に怒ってくれてるから、感動しちゃって」


「すまん。剣斗、迷惑かけた」

「ありがとう。剣斗くん」


「おう、じゃあな」


剣斗は手を振り、すぐに後ろを振り向いて歩き出した。

私はまだ君の気持ちに気づいていなかった。

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