私が好きなのはお兄ちゃん
私はいつ死ぬのだろうかーーー約六十年後か。
いや、もっと先なのかも知れない。そしたら、君は黙ってこう言うだろう。
「寿命なんてどうでもいいだろ」
そこで会話が終わり、沈黙が流れる。周りからは気まずそうに見えるけど、私はこの時間も好きだ。
ゆっくりと時間は過ぎるけど、決して止まりはしない。少し悲しいけどこれが生きるということだ。
「お兄ちゃん、お帰り」
「ただいま」
「今日の晩御飯はお兄ちゃんの好きなカレーだよ」
「ああ」
リビングのソファーに座り、ノートや教科書が沢山入った重いバックを枕にするとすぐに寝てしまった。
「お兄ちゃん風邪引くよ」
「飯出来たら、起こして」
私の二つ上のお兄ちゃんは話すのが苦手だ。少し無口で無愛想な顔をしているけど、とても優しくて、勉強が出来て、真面目な私のお兄ちゃん。だけど、実の兄妹じゃなくて、私たちは従兄妹。普通の従兄弟だ。
温かい白飯を皿に乗せて、熱いカレーを入れて、テーブルに並べる。曇り一つないスプーンを並べ、お兄ちゃんの好きな牛乳を置くと、にっこりと笑う。
「お兄ちゃん晩御飯出来たよ」
「ん……」
肩をそっと叩き、俯せで寝ているお兄ちゃんは少し
機嫌悪そうに目を開けて、辺りを見渡す。
「……今何時?」
「7時30分だよ」
「本当か!」
急に起き上がり、跳ねている髪を直すとバックを持って、玄関に向かおうとする。私は慌てて追いかけ、お兄ちゃんのバック掴んだ。
「何だ。遅刻するだろう」
「今、夜の7時30分だよ」
靴紐を結んでいる手を止めて、ゆっくりとドアを開けると顔を赤くしながら靴を脱いでリビングに戻った。
こういう所も私しか見ることが出来ない。ああ、なんて幸せなんだろう。