四話 光
建が模型部に入部してから1ヶ月が過ぎた。あれから建は渡部先輩にこき使われているそうだ。時々、建が助けを求めてくる。俺は助ける事は出来なかった…
理由は、渡部先輩に「健太から助けを求められたら俺に報告しろ。さもなくばお前をピィーにしてやる」って言われている。正直建のことよりも、渡部先輩が言っていたピィーの部分に何が入るのかが心配だ。そういえば最近建が俺に抱きついてくる。止めて欲しい…生徒会にホモ禁止条例でも提案しようか…あぁ建だけですよ条例に該当するのは。そんなこともあって、放課後から俺の周りは平和だ。
AM 10:57
「森下~助けてくれよ」
「建……」
「頼む」
「俺にはどうしようも無いが一つ言える事がある…」
「何だよ…」
「……頑張れ」
「…………」
建が泣きそうになってる…
「頑張れよ。お前が大好きな物買ってやるからさ」
「マジで!」
「おう」
「やった~頑張る」
…チョロい
「ちょっとトイレ行ってくる」
「おーう」
俺はトイレに行くと見せかけ渡部先輩に連絡する。流石に先輩と教室が階が違うのでメールでする。
「さて、戻るか」
♪
「早いな…」
メールを確認する。
えぇーと『了解。o(^-^)oワクワク』
あぁ~健ごめんよ…
この日の放課後、学校に誰かの悲鳴が響いた…
翌日
AM 08:30
「建、部活楽しいか?」
「ん?ああ…普通」
「普通か…」
「少ししんどいかも」
「そうなのか?」
「うん。特に部長」
「ああ、渡部先輩か」
「そうそう」
面白そうだな…
「……そうか」
「どうした?」
「いや、何にも」
「そうかぃ」
「建、俺今日模型部に行くわ」
「そうか~。何にもないぞ?」
「お前が無いんだろ」
「ギクッ…何故分かったし…」
「余裕で分かるわ」
「そうかい」
PM 17:26
俺達は模型部へ向かう
「森下が模型部に来るの久しぶりじゃねぇ?」
「いいや、8日ぶりだ。どうかしたか建」
「いゃー俺には久しぶりに感じたこらさー」
「そうか」
俺はもう、分かっていた。今まで面倒くさかった、人生に呆れていた。
だか、模型部と言う部活を知ってから俺の人生が動き出したんだ。佐藤さんと出会ってから、渡部先輩、大佐々木先輩と出会ってから俺の感情が変わったのだ。
俺の暗闇の感情に、光を差してくれた皆。俺はその光の元に行けば何か変わるかもしれない。俺はそこに行きたい。
そのためにまず一歩歩み出す。
俺は模型部のドアを開けた…。
END