いつもの朝も普通じゃない
「小説家になろう」で投稿すると小説家になった気分になるから不思議←
「・・・ん」
俺・・・山陵 蒼鬼は、圧倒的な寝苦しさに眠りを妨げられた。
寝汗によって、背中に張り付くパジャマがうっとうしい。
「ちっ・・・」
俺は少しだけ舌打ちをし、シャワーを浴びようとベッドから飛び降りた・・・
が。
『むぎゅ』
「いたっ!!!」
俺の足下の床が悲鳴を上げた。
いや、床というにはあまりに柔らかい。
そして、なぜか暖かい。
「・・・・・」
俺はおそるおそる下を見る・・・こともせず、全力で踏みつけながら風呂場へと歩いていった。
うん、気のせい気のせい。
「いったぁぁあああい!!!!」っていう女の声が聞こえたのも気のせい気のせい。
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「ふぅ、さっぱり・・・」
『がちゃ』
シャワーを浴びた俺は自分の部屋の扉を開き・・・
「失礼しました」
『がちゃ』
閉じた。
俺は何もみていない・・・俺の枕のにおいを全力で嗅ぐ幼女なんてみていない・・・・・・
俺は自分の今持てるすべての力を使い、自己暗示をかける。
そして再び、その扉を
『がちゃ』
あけた。
「すぅぅううう・・・はぁぁああああ・・・蒼にーちゃんのにおい・・・」
俺の目に飛び込んできたのは、俺の枕に顔を押し当てて深呼吸をする一人の幼女・・・
思わず卒倒しそうになったが、先ほどの自己暗示のおかげで多少は意識を保つことができる。
「何をしてんだ・・・岳」
こいつの名前は山陵 岳。
肩あたりまで伸びた茶髪。
くりっとした髪と同じ色の瞳。
150cmほどの身長。
360゜どこから見ても幼女・・・だが。
こいつは俺の弟・・・つまり男である。
「ふぇ!!?そそそそそ蒼にーちゃん!」
かなり驚いたように振り向く岳。
「あぁ。おまえの兄貴の蒼にーちゃんだ。で、何やってたんだ?」
「・・・・・」
気まずそうに目線をそらす岳。
「・・・」
「・・・」
沈黙が続く・・・
ふと目線を岳からそらす。
その先には目覚まし時計・・・
指している時刻は8:00
ここから俺が通う学校まではどれだけ急いでも約15分ほどかかる。
学校の登校時間は8:20分まで。
俺は先ほど起きたばかりで、学校の準備はしていない・・・
そこから導き出される答えは・・・
「・・・遅刻だ・・・」
俺の口から、遅刻の二文字がこぼれた。
「蒼にーちゃん、行かなくていいの?」
岳が憎たらしい笑顔で言ってくるが、そんなことを気にしている時間はない。
「帰ったら聞くからな!!」
俺は「あれ?俺ってこんなに早く動けたっけ?」という位のスピードで着替えをすまし、学校の準備をして、家を飛び出した・・・