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引っ掻いた猫

このシリーズを全部読んでいないと分からない回です。

 彼女に受験勉強を手伝って貰おうと思う。

 だけど彼女のことだからそれをネタに意地悪な言葉遊びを仕掛けてくるだろう事は想像に難くない。

 僕は一晩かけて様々なパターンを予想した。

 努力は自分でするべきだと言われれば猫の逆立ちを持ち出すし、そもそも庭師を雇えと言ったのは彼女だ。

 そうして準備万端に整えた僕は彼女が二つ返事で頷いたのに驚いた。

「マジで?」

 訊ねてしまって頭を抱えたくなった。頼む側の態度じゃないだろう。

「私は友人を見捨てるほど薄情ではないわ」

 そっぽを向いて「心外ね」と付け足す彼女。

 僕はやぶ蛇だったと自覚して覚悟を決める。絶対にただではすまない。

「きっと私が渋った時の対策も立ててきたんでしょうね」

 横目で睨まれてびくりと震える僕。完全に見透かされている。

「つまり、説得するのに準備が必要な程に筋金入りの薄情者だと、私のことをそう思っているのね?」

 何もそこまで言ってないと反論したいけれど僕の行動はそういう意味にもとれる。

「庭師を雇えとまで発破をかけた私に頼むにしては随分な態度よね」

 彼女の視線が鋭くなる。心臓を射抜かれるような錯覚すらあり、僕は何とか言い訳しようと口を開く。

「最後には引き受けるにしても君の事だから、ここぞとばかりに僕で遊ぶと思ったんだ」

「他人の頼みごとを遊び道具にする不謹慎な女と思ってたのね」

 ……そう思ってました。

 彼女は眉を顰めて机に頬杖をついた。

「階段を前に途方に暮れる逆立ちした猫に手を差し伸べたら引っかかれたわ」

 彼女の呟き。

 人の好意を疑った挙げ句に傷つける。そんな酷い猫はどう考えても今の僕だ。

「ごめんなさい」

 僕は深々と頭を下げる。

 小さくため息をついた彼女は勉強を見る代わりに今週末の予定を入れるなと条件を出してきた。

「了解しました。よろしくお願いします」

「泣き言も言えないくらい厳しくするから覚悟しなさい」

 矛を納めてくれた彼女はそれでも怒りを隠さない声でそう言った。



今週末デート話を投稿できると良いけど、この二人に色気は期待できないなぁ。

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