『もしも超イケメンアイドルと街中でぶつかったら、人は恋に落ちるのか』
「うんうん。なるほどですな〜…….って、とうきょうぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?!?!?」
友達大好き!家族大好き!恋愛もだーいすきな、高校2年生この物語の主人公、小々見菊子でーす……なんていってられっか!!ただいま菊子、大・大・大ピンチです。
「ちょちょちょちょっと待って。いま、なんとおっしゃいましたかね」
古びた畳に座敷3枚、1枚は私のお気に入りの薔薇色の座敷、そして目の前に、お母さんとお父さんが正座している。
「お父さんの転勤でね、インドネシアに行かないといけなくなったのよ」
「インドネシアって、お父さんなんの仕事してるんだよ」
お父さんとお母さんの後ろにある焦茶色の棚の上に、写真たてが置いてある。その中の写真には、家族3人とおばあちゃん、おじいちゃんが写っていた。
「お父さんだけで行くと、業務の手伝いとかがあるから。だから菊子、1人で東京に行って欲しいの」
「頼む!!!菊子!」
お父さんは大号泣しながら土下座した。私は思わず顔がひきつった。
「なんで私は東京にぃ!?ここじゃダメなの?」
「こんな広い家に、菊子1人で置いとくのも、心配で…..それに!東京ならあの子がいるじゃないの!」
「歌子ちゃん?」
お母さんはそうそう!!と、元気よく拍手した。
「歌子ちゃんって名前、どこかで聞いたことあるなぁ」
お父さんはう〜んと悩んだ。
歌子ちゃんは幼稚園からの幼馴染。だけど中学に上がるタイミングで、東京に引っ越してしまった。
と、お父さんに説明した。
「歌子ちゃんがいるなら心配無用じゃないか〜!!」
ぜんっぜん心配有用!!って、使い方合ってる?
「歌子ちゃんには会いたいけど…..でも、今はここの友達が大事なの!!」
するとお父さんは忍者の如く立ち上がり、別室から何か取ってきた。
「菊子!!!これを見るんだっっっ!」
そう言って見せてきたのは———
「なんだこりゃーーーー!?!?」
全体的に白を基調とした家具が揃い、5人掛けのソファ、広々としたキッチンに壁掛けテレビ。大きな窓から見える線路が夜空と一緒に輝いている…….!
そう、これはお父さんが提案してきた私の新居!!
「もし、東京に行ったらここに住めるんだゾ!しかも1人で」
「1人…..」
「歌子ちゃんなり友達なり呼べばいい!菊子の好きなようにしていいんだゾ!!」
「私の、好きなように…..」
正直、今の家が大好きで思入れあるけど
「まぁ私って、今をかける女子高生。学校in大都会!!に毎日通って、放課後みんなでショッピングして、クリスマスには、彼氏とイルミネーションを見て深いキスを落とす———まぁ、住んであげても、いいっすけど」
「本当か菊子!?」
「菊子のその決断力、お母さん感動するわ」
お母さんも一緒に立ち上がった。
「小々見菊子!!東京で一人暮らし、始めます!!!!」
3人で手と手を合わせた。そして
「お父さんの飛躍的な活躍と、菊子の新生活成功を祈って、頑張るぞ!!」
「「「おーーーーー!!!!!」」」
こうして、超絶田舎っ子の私は、東京の大都会に住むことになったのでした———
♢
「ここどこぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
早速、ピンチ襲来です。
「はぁ!?御徒町??そんな駅聞いたことないんだけど」
お父さんに言われた住所、なにこれ宇宙語ですか?お父さんって、いつの間にか地球外と交信してたんだ。
誰かに話しかけたいけど.....東京の人怖すぎる。
なんでみんなこんなに歩くの早いの!?私の歩幅の5倍はあるって!!
「と、とりあえず、ごとちょうに行ってみよう!!」
まぁ初東京だし?心配よりも楽しまなくっちゃ!
なになに?アメ横に行けば色々あるっぽいな。よし!テレビでしか見たことないアメ横に初上陸だ!
「東京!東京!東京———きゃぁ!!!いった〜」
地図を見ながら歩いてて、前に人がいるのに気がつかなかった。
「ごめんなさい!!だだだ大丈夫ですか!?」
え、ちょっと待って、何この強面な雰囲気の人。全身黒色で、フードかぶってサングラスしてる......それに首元ギラッギラネックレスつけてるし。これが東京の....ヤクザっ!?!?
「君さぁ......」
まずい!!!◯される!!!!
お父さんに言われたこと、その1!!
『危ない人に出会したら、全速力で逃げる!』
「でもお父さん、私、怖くて逃げられないよぉ。お母さん、お父さん、今まで育ててくれてありがとうございました———」
天に召される覚悟をした。
「怪我してない?ごめんね」
「えっ......」
ズッキューーーーン!!!!!!
ちょちょちょ、ちょ待てよ!
◯人犯かと思ったら、サングラスの奥から、超絶イケメン登場したんですけどーーーーーー
ー!!!!!!
どうしよう。
「えっあ、ぜんぜん!!私の不注意なので、そちらもお怪我ありませんでしょうかとお申しあげござりましょうか?」
「ん、ん?」
なにこのイケメン.....もうあのかっこいい!とかじゃなくて、本当に二度見するようなイケメン。
やばいよやばいよ。めっちゃ目合ってるし。何これ私のこともしかして......す、す、すぅぅ
「.......?」
「すぅぅすき焼き屋さん!!!」
「え?」
「この辺のすき焼き屋さん知りませんか!?」
なんでだよ〜!!すき焼き屋さんとか、いま気分じゃないし。
「すき焼き屋さんなら、俺も行こうとしてたところだからさ、案内するよ」
「えっえっえっ!?!?あなたも、ですか.....?」
「うん」
「行きます行きます!!!私いま、すっごくすき焼き食べたくて。ご教示お願いします!!」
私はぺこりと挨拶した。すると、頭をコツンと撫でられた。顔を上げると、ニコッと笑っていた。
「着いてきてくださいね」
「はーい!」
何この神展開。ついに私にも春がきたぁ.....
「ここ、俺の行きつけなんだ」
「ほほぉ〜。なかなか美味そうですなぁ」
上野アメ横の通りの中にある一軒のお好み焼き屋さんに連れてきてくれた。
「どうぞ」
「へ!?あ、し、失礼しま〜す」
なんて紳士なの!!扉を支えてくれるとか、もうカレカノみないなもんじゃ〜ん!
「ちょっと待って」
「なんでしょ〜か!あ、その前に一つだけ」
私は一歩前に出て彼に近づいた。
「同じ席で食べください!!」
小々見菊子の、一世一代の告白っっっ!!
「そのことなんだけど.....」
(俺も同じこと思ってた。当たり前だろ)
きゃぁぁぁーーー!!!!そんなこと言われたら、あたし......
「違う席で食べて」
「うんうん!......ん?」
どどどど、どういうことだ。今の雰囲気的に、一緒に食べる流れだったでしょう!?彼はサングラスを少しズラして目を合わせてきた。
「この中に入ったら、絶対に話しかけないように」
「え、なんでー!?」
「色々めんどうなんだ。だからここからはもう、他人同士。一応俺が案内したから、料金は払っとく。好きなタイミングで食べて、好きなタイミングで帰ればいい」
なんで、そんな悲しいこと言うの。
この人、見た目だけで本当はやっぱり◯人犯......いや、立ち向かえ!
「なんでですか?」
「いやその」
「私、あなたに一目惚れしたんです」
「えっ?」
しまった!!!!なんかよく分かんない、その場のノリってやつ?で言っちゃったよーーー!!これもいわゆる東京マジック。突然会った知らない人にこんなこと言われたら、逆にこっちが◯人犯みたいに思われるじゃんかよぉ!!
「そういうのは、俺受け付けてないから」
.......へぇ??
ガチャン
彼はサングラスをかけ直してお店の中へと入ってしまった。店の入り口の手前の階段で、1人になってしまった。
受け付けて、ない?状況整理が厳しい。
とりあえず私、振られたってことぉぉぉぉぉぉ!?!?!?
「まだ、一目惚れしか言ってないのにぃ」
はぁ。
でも、お金は払ってくれるって言ってたし、一応お腹空いたから入ってみるか。
「失礼しま〜す」
「はいらっしゃーい!!!お一人?」
首を縦に振った。
「一名様ご来店で〜す!」
貫禄のある店員さんが言うと、後方から次々と他の人の声がした。店員さんは6、7人くらいいた。
「何にいたしますか?」
「う〜ん.....(あの人は何食べてんだろ、あ!この一人前セットってやつかな?よし、これにしよう!!)
これでお願いします!!あと、コーラもひとつ!」
「一人前セット入りまーす!!
「以上でよろしいですか?」
「はい!!」
貫禄店員は小さなメモ用紙に注文内容をメモしながら厨房に戻った。
「こっちの三人前も美味しそうだな......」
まじまじとメニューを見てると、机に紙が落ちた。上を見上げると、あの人がいた。
「なに!?」
「しー」
彼はそのままの足でトイレに行った。なんだろこの紙?
“なに頼んだ?”
中身を開くと綺麗な字があった。
「ほっ!!!!」
これはこれは!?!?周りにバレないようにする極秘手紙交換!?あいつ.....やるなぁ。
よし。返答しよっと。
“一人前セットとコーラ!!!!”
「ちょっと、びっくりマークマーク多かったな?まぁ多くてなんぼだよね。早く食べたいなー。でも人多いからまだ来ないよね…..」
「何1人で言ってんの」
「いや、東京に来たからにはやっぱりバイトするべきなのかな??お金も貯めたいしなぁ」
「おい」
「はいっ!!っておぉぉびっくり。あ!これ!!」
私は返答を書いた紙を渡した。すると、前からすき焼きを持った貫禄店員がやってきた。
「あれ?さっくんここの卓だったっけ?」
「いや、彼女が箸を落としたんで、拾っただけです」
「そうかいそうかい!ほれお嬢ちゃん、一人前セットだよ」
目の前にお好み焼きが出された。
「ひゃっふーーー!!!!美味しそうーー!!いっただっきまーす!!」
極秘の手紙とか、そんなんどうでもいいくらい、お好み焼きが輝いていた。
「んんんん!!!!!肉汁じゅわぁぁぁ!白米をかき込めば……革命だーーーーー!!!!!おじさん、これ美味しすぎるよー!!」
「そうかい!?こんなに美味しそうに食べてくれるともっと作りたくなっちゃうよ!ご飯おかわり無料だよ!」
「本当!?欲しいです!」
彼のことを忘れて、私はひたすら別格飯を食べ続けた。
「美味しすぎるぅぅぅーーーー!!!!!」
♢
「ふぅ〜食べた食べた!」
って、本当に払ってもらっちゃったけど、大丈夫かな?東京に来て知らない人にご飯を奢ってもらうって、これ通常のこと?東京の人ってみんなこんな感じなの!?
「家、行きますか!!」
早く新しい土地に慣れないとね!!
えっとまずは......御徒町駅をまっすぐ行けばいいのね。よしよし、今のところ大丈夫だぞ。
「それで、ここのバスに乗る」
御徒町から10分ほどで着くらしい湯島駅というところに行く。そこから歩けばすぐのところにあるマンションが、私の新しい家。
なんとかバスに乗り、湯島駅に上陸した。
「おっけ。そして、あ!!あれだ!!!」
全部高い建物なんだけど、ひとつずば抜けて高層なビルがあった。お父さんが言ってたのはあの家か!!!
思ってた以上の大物だ......
「こ、こんにちわ〜」
う、うっそーーー!!!!何この高すぎる天井!?それに、めっちゃ警備員いるし。
ど、どうしよう......
「何か、お困りでしょうか?」
うわっ。ちょー綺麗な人〜......って!!見惚れてる場合じゃない!!!せっかくカウンターにいた方が話しかけてくれたんだから。
「今日から、ここに住む小々見です!!」
「小々見様ですね。お部屋をご案内いたします」
「はい!!!」
綺麗なお姉さんは、ここのマンションのコンシェルジュだった。
「ここ大きいですね!!」
「まだ新築で、清掃スタッフの皆様が毎朝掃除してくださるんです」
「へぇ〜!ち、ちなみになんですけど」
「なんでしょうか」
「私の住む部屋って、広いですか……?」
「最上階のモストリッチルームでございます」
モ、モスト、リッチ……?初めて聞く単語なんすけど。
私はお姉さんの後ろについて行った。エレベーターに乗ると、最上階の36階ボタンが押された。うっそマジで!?ほんとに最上階なんだ…….ってええええぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?エレベーターの窓から見えたのは———
「なんじゃこりゃ!!」
「こちらからは、御徒町の景色を一望することができます。日が落ちますと街灯が等間隔に並び、美しい夜景を見ることができます」
「ん?おかちまち?って何ですか?」
「ここからバスで10分ほどで着く山手線沿いの駅です」
この人、何言ってんだ。おかちまち、なんて駅通ってないよ私。
ピンポーン!
コンシェルジュお姉さんはさらに奥の部屋へと案内してくれた。いつまで続くんだこの廊下。もはや長すぎて廊下じゃなくて道路じゃん。
「こちら、3607室が小々見様のお部屋でございます。では、失礼いたします」
壁に貼ってある案内マップを見ると、部屋から見て右側に非常階段がある。そして、左に行って大きな絵画があったらその先には共同スペースがある。こんな大豪邸に.....住んでいいんですかっ!?!?
「お父さん!!いつも感謝を伝えられなくてごめんなさい!!私はいつでもお父さんが大好きですっ!よし、部屋入るぞ!!!」
やばい緊張してきた。お父さんに見せられた写真を、ついに自分の目で見ることができる。これからの新生活、ドキドキするぞぉ〜!!!
「ふんふふ〜ん!!」
ガチャ
すると、隣の部屋から人が出てきた。これは、挨拶した方がいいのでは?
「今日から、お隣に住むことになりました!!小々見菊子です!......えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?な、なななな何であなたがここにいるのよ!!!」
部屋から出てきたのは、全身黒色のパーカーで、フードを被ってサングラスをかけている人だった。
その人は確かに———
「今日街でぶつかった人だ!!!」
「君、ここに住んでるの!?」
「はい!!今日からここに住むことになったんです!お父さんがインドネシアに行っちゃって、地元から上京してきました!!」
「そ、そうなんだ。すごい偶然だね」
「はいっ!!!よろしくお願いします!!」
まさか新居のお隣さんが一目惚れした彼だなて........
これから私の新生活in御徒町は、どうなるのぉぉぉ!!!!!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!!!『平凡で超田舎っ子JKと、国民的アイドルのはちゃめちゃラブコメディ』です!!
こちらは短編小説なので、これにて完結になります。もし、読者様からのリクエストがありましたら、長編を放出したいと考えています!!ぜひぜひ、感想コメントお待ちしています!!
2026.6.29.Mon
椿原菜湖




