第12話 準備期間
入学を決意したロイはサレンディアについて調べていた。
「どうやら年齢は成人していなければ関係ないようだな。」
この世界では16歳になると成人として認められる、またサレンディアは家柄により上下関係が見られているらしく4年生の生徒でさえ1年の家柄が良い生徒には従うみたいだ。
「めんどくさいな。。」
そんなことをぼやきながら勉学に励むロイ
入学するには、少し出遅れているらしく形として1年生として編入の言う形で入学するとサヤに言われたロイはサルファに王の家系だと言わずに入学したいと伝えていた。
「家柄とかめんどくさいしがらみは無く学びたいし。静かにしていれば問題も起きないだろう。」と考えていた
「にしても、この世界の算術だったりは前世とほぼ同じだな。」
本屋で購入した参考書を見ていたロイだったが、そこに記載されていたものは前世の記憶日本で学んだ四則計算と同じだった。
学費の免除のため勉強していたロイにとっては簡単なものだった。
こうして勉学に励み数日が経つ。
そこにイラがやってきた
「チェルシ―ちゃん入学できたみたいよ!会えるのが楽しみだねロイ!」
楽し気にイラは言った。
ロイはそんなイラを横目に本を広げていた「そうだね」冷たく口を開いたロイにイラは不満げな顔を浮かべ「なにロイ冷たいじゃん!」と言葉を投げかける。
「今勉強してるんだ!邪魔しないでくれ。」
ロイはイラを部屋から押し出し再び椅子にり本を開く。
気づけばここ数日イラもサヤも定期的に部屋に来てちょっかいをかけてくるようになった。
ロイの曇りが晴れ少し明るくなったからだろうか、楽しそうにちょっかいをかけてくる。
嫌ではないがたまにうざいと感じているのも事実だお姉ちゃんみたいな存在だからなんとも言えない。
そして再び数日が経ち編入試験の日がやってきた
学校内で王の家系だと知っているのは理事長と教頭のみにとどめてもらい忖度なしで試験を受ける事となった。
「それでは、筆記試験から始めましょうか。」
理事長の開始の合図とともに試験が始まった、筆記試験は一般教養で中学レベルの簡単な物ばかりだった。案外すんなり終わり実技試験に移ることになった
「まず、ロイ・サラディーナのマナ総量を測りたいのでこの魔水晶にマナを流してくれ。」
試験官にそういわれたロイは魔水晶に手を置きマナを籠める。
魔水晶は次第に光を帯びていく。
「ん?」
試験官は目を見開く
魔水晶は次第にヒビが入り光が漏れだす。
「ま、まずい!」
試験官の一言と同じタイミングで魔水晶は弾け爆発が起きた。
煙があたりを包み込み、理事長が走ってきた。
「何が起きた!大丈夫か」
理事長は辺りを見渡し次第に消えていく煙
「ゲホゲホ。り、理事長。この子は化物です。マナ総量が子供の域を超えています。」
試験管はボロボロになりながら理事長に伝えた
「実技試験はこれで十分だ。」
理事長の一言により試験は終わった。
ロイは初めて自分のマナ総量を知り喜びが抑えられなかった。
「ちゃんと総量上がってたんだ、もっと鍛えてみたい。」
そうつぶやき身体強化を纏った。
これから始まる学校生活、どんなことを知れるのかどんな魔法を学べるのか楽しみで仕方がなかった。
この4年間で得られるものに心を躍らせ王城に戻っていく。
数か月前
「私も強くなりたい!あの時のロイみたいに。」
チェルシーはマナの流れをイメージし感覚で剣を作り出した初日で。
「できた!すごい!これがマナの力なのね!」
チェルシーの剣は紅く輝き刀身が少し細かった。
剣を握り剣を振る。空を切り、音が響く。
天性の才を持つ少女がここに居た。
「ロイの動きあの綺麗な剣筋、やりたい。」
チェルシーは目を閉じマナを感じる。
身体をマナで包み力に変える。
地面を強く蹴り上げ剣を振る。
空を切り裂く音が鳴り、剣筋の光が残像として残る。
「違う、あの時の音が鳴らない。耳が痛くなる音。」
そんなことを呟き何度も何度も剣を振る。
「いたっ!」手に血が滲み剣を落とした
チェルシーは涙を浮かべた。「ロイは一体どれだけ練習したの。」
そんなチェルシーの元にレオがやってきた。
「チェルシー学校行ってみない?剣も魔法も学べるところだ」
レオの一言にチェルシーは「行く!」と即返答した。
それからチェルシーは入学のため勉学に励み剣を振りマナを使う日々を過ごした。
そしてロイの元に会いに行くことがなくなりしばらく時がたった。
ドゴォーン!
王城の方から物凄い音が響き渡る。
「なに、今の。ロイ!」
チェルシーは走った王城にマナで身体強化を施し全速力で。
王城の門からのぞいた時、ロイが居た。白髪の男と戦っていた、剣を交えていた目で追えなかった。
あの優しいロイが憎しみに満ちた顔で、察した。こいつがロイのぱぱとままを殺したんだと。
なぜ普通に王城に居るのか、チェルシーにはわからなかった。
ロイは左手を男に向け指を弾いた。
何かが飛んでいく様子が見えた。
爆発した。すごい爆発だった。
瓦礫が岩がこっちに飛んできた。
「いや!!」
当たる。目を閉じ死を覚悟した。
数秒経ち目を開けるとあの男が瓦礫を抑え込み倒れていた。
「離れていろ。我はもうほとんど動けん。お前も巻き込まれてしまうぞ少女よ。」
男はそういいチェルシーは走ってその場を離れた。
改めて場所を変えロイの様子を見に行ったとき、ロイは泣いていた。
イラに抱きしめられ。泣いていた。
「あぁ。ロイ。よかった。」
そんなことを呟きチェルシーは家に足を向けた。
それから数日たちチェルシーは入学試験に向け再度勉学に励んだ結果
なんと入学を認められた。
「やった!これで剣術が学べる!」
チェルシーは制服などを準備しカバンに詰めレオに伝えた
「パパ!行ってきます!」
「あぁ!チェルシー頑張れよ!」
レオは手を振り見送った。
その後レオは王城に向かいサルファにチェルシーの入学の件を説明を行った。
「そうか、ロイ君元気になったんだね。」
レオは安堵の表情を浮かべ王と話を続けていた。
「アテナに神族の件を伝えました。調査するとのことです。直に結果が来るかと。」
レオとサルファは会話を終え家に帰る。
「あぁレオさん、来てたんですね!チェルシーが学校に通うと聞きました僕も行くんですよ!」
ロイが満面の笑みでレオに話しかける。
「そうか、頑張れよロイ君!」
レオはそう言い、以前の作り笑いではなく本心からの笑顔に少しタリアの顔を連想した。
第13話 サレンディア編入




