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17.(ウイングブレス)
…小一時間後…
「ゼエッ、ハァッ・・・」
夕日は沈み、辺りはすっかり灰色へと変わり暗くなりはじめていた。
ドラゴンはあれから何度も攻撃を仕掛けてくるも、俺は生存本能をフルに起動させて
命からがら回避しまくった。あんな怪物相手にここまで耐えるとはやはり俺は天才だ。
しかし、もうさすがに動き回る体力がそろそろ持たん…
まだ、あの怪物は弱点を見せねえか…
そう独り言っていると、ドラゴンはいよいよ痺れを切らしたのか両翼を大きく広げ始めた。
そして、翼をバタバタとはためかせ始める。
徐々に両翼のはためきは強まっていき、それが高速に変わると突風の風圧がセイヤに向かって
襲い掛かってくる。
「く、今ここから吹き飛ばされたら、頂上から地上まで真っ逆さまで即死コースだ…。」
セイヤは両足を踏ん張って力を入れ、何とか風圧に耐えようとする。
「しかし、やっと翼が開いたな。ミリシャ、今がチャンスだ。頼んだぞ…!」