表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
200/234

200 拠点 ①

 同窓会も大盛り上がりで終わり、来れる者達だけで2次会へ移動した。


もし優奈達が来れた場合を想定し、人目を避けられる場所をと前もって個室を貸しきれる居酒屋を予約していたありさのおかげで2人とも安心して参加出来たのだが


「え~この後は行かないの?」


「うん、ごめん。勝也が明日朝早いから今日中に東京戻らないと」

「え…ひょっとしてまた明日イギリスに戻るの?」


「今度はフランスだったかな。俺だけこのために帰って来ただけだもん」

「…マジかよ」


「最後までいられるって言ったじゃんか!」

「ごめんってば。同窓会はって意味だと思ったから…」


「ねー、今度優奈が時間取れる時に東京行っていい?」

「いいよ、まだ今は予定決められないけど来て!」


「中目黒だっけ」


「あ、もうすぐ六本木の方に引っ越すんだ。また落ち着いたら教えるね」


かなり酔いも回って来た友人達にギャーギャー文句を言われながら、結局みんなに見送られてその場を後にした。


翌日の朝早く優奈のマンションを出てまた海外に飛び立っていった勝也。

それからお互い忙しい中でも少しの隙間を狙っては顔を見れるように努力していた。



 同窓会から約半年が経ち、もうそろそろ夏が訪れようかと言う暑い日の事。


「確か優奈この辺に引っ越すって言ってなかった?」


「あ、そういえば同窓会の時に言ってた」

「試しに電話してみる?」


「六本木っつったって広いじゃん。それに多分仕事中だろ」

「夜に時間取れるならそれまで待てばいいし無理ならこのまま帰ろーぜ」


 めずらしくいつもの面々が東京にいる。

テレビで見た店にどうしても行きたくなった千夏が久々にみんなに声をかけ、各々の買い物なども兼ねて5人集まったのだ。


「それ以前にまず電話に出てくれるかどうかだよね」


仕事中なら電話に出れることはまず無い。

あれほど忙しいのだからおそらく無理だろうと思いながらも電話をかけてみると、案外早めに


「もしもーし!久しぶりー!」


「わっ!出たぁっ!」

「なによ、人をオバケみたいに…」


「ごめぇん(笑)えっと…今って仕事中?」

「ううん、今日はもう終わって家にいるよー」


「え?マジ?!なんか予定とかある?」

「特にないけど…どしたの?」


「今5人で東京来てんの!で、六本木にいんだけど確か優奈がこの辺に引っ越すって言ってたなぁって話になって…」


「え、マジで?!じゃあウチ来なよ!」


「ホント?行っていいの?」

「もちろんいいよ、今ドコにいるの?」


「六本木の交差点から坂ちょっと下ったトコ。えっと…コンビニの前!」


「は?なぁんだ、真下にいるんじゃん!その上のマンションだよ」


「……え?」


キョトンとした顔で視線を上に向けるみさ。

周りもみんな同じように上を見た。


そこは40階はあろうかと言うタワーマンションなのだが…


「…ここ?」


「え?!」


「うん。エントランス入ったらインターホンで3901って押して?オートロック開けるから」


「…う…うん、わかった…」


電話を切ると全員の顔を見渡す。


「このマンションだって…」


「はぁ?!ちょっと…冗談でしょ?」

「そのままエントランス入って部屋まで上がって来いって…」


「ウソだろぉ…」


なぜか5人が密集した一塊となって恐る恐る全緊張した面持ちでエントランスに入る。

そして聞いた通りの部屋番号を押すと今度はそのインターホンから優奈の声。


「正面のエレベーターで39階まで上がってきて~」


カチャンと音がして自動ドアが開いた。

みんな会話も無いまま、それでも恐る恐る中へ入り言われた通りにその階へと上がる。


高速エレベーターであっという間に到着した39階のフロア。

廊下も大理石のような床で、その上をソロソロ歩きながら部屋番号を探す。


そして発見した部屋のインターホンを押すと奥からパタパタと走る音がして扉が開いた。


「いらっしゃ~い!久しぶり~」


本当にその部屋から優奈が出てきた。

みんな挨拶するのも忘れキョトンとした顔で優奈を見つめている。


「どしたの?入ってよ」


「う、うん…」


まだ笑顔を作れないままみんなゾロゾロと玄関へ。

すでにこの玄関だけでも相当な広さだ。


スリッパを出してもらって中へ。

そして長い廊下を歩いて突き当りの部屋に入ると


「うわああぁぁぁ……」


全開になったカーテンの向こうには東京の街が一望でき、そしてなによりこの部屋の広さ。いくら芸能人とはいえ自分達と同い年の女子が一人で住んでいるとは到底思えない30畳はありそうなリビングだ。


「アンタ…ホントにここに住んでんの?」


「うん、東京にいる時はね」


「信じらんねぇ…」

「こんなの…家賃いくらすんのよ」


「でも自分で払ってる訳じゃないもん」

「え、そうなの?」


「実はね、ここBFRの事務所って事になってんの。経費使わないと税金が凄い事になっちゃうから。だから勝也が払ってるみたいなもんだよ」


「そういう事かぁ」

「けど経費のためにこんな部屋って…あいつどんだけ稼いでんの?」


「あの和装バンドだけじゃなくて他にもレコーディングとかいっぱい声かかるからね。おかげで全然休みないけど」


「じゃあ勝也もここに住んでんだ」


「こっちで仕事の時だけね。けどこの部屋気にいらないみたい」

「なんで?!こんな凄い部屋…」


「こんなに広い部屋いらないって。それにいくつも部屋あったって使わなかったら無駄なだけだって」


「言いそう(笑)」


「だからちょっとでも時間あったらすぐアパート帰りたがるし」

「え…まだあそこにも住んでんの?!」


「そうだよ?ウチらあの部屋は絶対引き払いたくないの。勝也もいくら他に部屋借りたってホントの家はあのアパートだ!っていつも言ってる」


「普通どう考えてもこっちだろ…」


「『普通の人』ならね」


「ぎゃっはっはっは!」


驚きの連続だったが、ようやくいつもの爆笑が起こった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ