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130 写真

 みんな揃って浴衣での祭りデートは高校生活の中でも特に大きな想い出となった。


全員が撮りまくった写メがそれぞれ写っている人みんなに送信されたのだが、その中にいつの間に撮られていたのか勝也と優奈が満面の笑顔で見つめ合っている写メがあった。


全員が『自分は写ってないけど欲しい!』というほどいい雰囲気。

当然スマホの待受に設定されたその写メを見て毎日ニヤニヤが止まらない様子の優奈。



 今日は涼子に呼び出されてマンションでの女子会の日だ。

何度言っても彼氏達の集まりには呼んでもらえないため女子だけの集まりの頻度も上がっている。


今日もいつもの4人で大盛り上がりしていると


「そういえばさぁ、今はJunとKou以外だーれもバンドやってないんだね」


「ん~、家では弾いてるけどね」

「勝也も家では弾かない日は無いなぁ」


「Syouがね、ボイトレの先生でもやろーかなって言い出した」


「えー!いいじゃんっ!!」


「Syouが一番バンドやりにくいっちゃぁやりにくいでしょ」

「たしかにSyouの声で歌われたら全部ブランカになっちゃうもんね」


「でもやっぱ本物のブランカが良かったなぁ~…」


「勝也ってあのFINALのビデオ見たりする?」

「ぜーんぜん。前にJUNCTIONのボーカルやる子に見せた時に1回だけ」


「Syouも見ないな…」

「BanクンなんてCDも聞かないよ?」


「なんでだろーね、懐かしいとか思いたくないからなのかな…」

「見たらやりたくなっちゃうからじゃない?」


「あ、それだ…絶対そーだ(笑)」


「あたしなんて未だに時間あったら見てるのに」

「あたしも♪今もそこのデッキに入ってる(笑)」


「久しぶりに4人で見よっか♪」


「賛成~~!!」


優奈も一人の時に時間さえあればしょっちゅう見ているFINAL。

だがこの4人で一緒に見るその映像はまたいつもとは違った新鮮な気持ちで熱中できた。


「あ…そろそろ勝也が泣く♪」


「それ言わないでってぇぇ~~……ふぇぇぇ~ん……」

「そしてもれなく優奈も泣く(笑)」


「確かにこれはウチらも泣いたけど(笑)」


結局最後には4人とも涙目になってしまう。


「今でもハッキリ覚えてるなぁ…」


「このあと楽屋行ったらみんな大爆笑してやがったんだよね」

「そぉそぉ、いつものライブ終わりと一緒だった」


「あ!そういえばさぁ、最初のSEの時の映像って誰が作ったの?」

「あたしもそれ聞こうと思ってたんだ」


「あれはちゃんとウェブデザイナーの人に作ってもらったって言ってたよ」

「スゴーい……あ!」


「…な、なに?!」


「あの映像の写真とかって誰が持ってたヤツ?」


「Syouが集めてまとめてパソコンに取り込んでメモリーに焼いて……ん?」


「……ん?」


「そういえば…それここでやってた……」


4人の視線が奥の部屋にあるPCへと向く。


「…ひょっとして」

「…まだ残ってたりとか」

「…したりして」


一斉に立ち上がりパソコン前にダッシュで4人が集まる。


「ドコだ…ドコだ…消去さえしてなければどっかに…」


涼子があらゆるファイルを開いては閉じ、開いては閉じ…

そしてついに


「あっ!……あったぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


「やったああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」


ハイタッチを繰り返す4人。

涼子が見つけたフォルダ内には『ライブ』『オフショット』の他にメンバーそれぞれの名前が付いたフォルダもある。

みんなの心臓が大きな音を立て始めると


「こんな画面じゃ足りない!テレビにつなご♪」


涼子の部屋のパソコンは黙っていればテレビと間違うほどの大きな画面なのだが、それでもサイズが足りないと言いリビングにある85インチの巨大なテレビに無線LANで繋いだ。


みんな元の席に戻りワクワクした目で画面を凝視しているとさっきのパソコンの画面が映し出される。


「やったぁ!!」


「涼ちゃん天才っ!!」

「これはテンション上がるぅ~♪」


まずライブのフォルダを開くとおびただしい量のサムネが表示された。


「スライドショーで行ってみよ♪」


一枚目のファイルを開くと、まだ結成して間もない頃のブランカのライブシーンが現れる。


「若~い!!!!」


「まだあたしも知らない頃だ♪」

「平蔵のメイク、ヤバっ!!(笑)」


数秒単位で次の画像へと変わっていく。

4人からはキャッキャと大きな笑い声が。


そして徐々に


「あ~、あたしが見に行き始めたのこの頃だ♪」

「じゃぁあたしももうすぐだな(笑)」


まだ優奈は知らない頃だが徐々にライブの規模や動員数が増えていっているのはわかる。


そして画像も後半に差し掛かった頃


「おっ!勝也登場♪」

「…わぁぁ~~…‥‥……」


一気に優奈の目がキラキラした。

まだ今より髪も短くメイクも少し濃いめ。衣装もみんなに着せられていた頃で


「なんかすっごい新鮮(笑)」


別のライブに画像が変わると


「えっ?…勝也の腕にTATOO入って……」

「あー!なっつかし~!!!!」


思わず涼子が一時停止した。


「ぎゃっははは!あったあった!みんなで押さえつけてタトゥーシール入れた時だ!!」


「本人はイヤだって言ってんのに無理矢理楽屋でやったんだよね」

「…うわぁぁ~…かわいそー…(笑)」


「だからライブ中なのに笑ってないでしょ(笑)」

「ホントだ♪」


それからまたしばらく写真が移っていくと


「あっ!ハット!!」


「…ん?」

「あたし、勝也がこのハットかぶって出た日に初めてブランカ見たの」


「へー、勝也こんなのかぶってたぁ?」

「紗季が仙台行っちゃった後だからね。たしかニキビかなんか出来て…」


「そぉそぉ!それ言ってた(笑)」


「この日だけだよね、これかぶって出たの」

「うん!…ちなみに今あたしの部屋にある」


「か~~っ!出逢った記念って?(笑)」


照れ笑いを浮かべる優奈。それからは優奈も知るライブの映像となっていった。


最初は画像が切り替わる度に笑いや当時のエピソードなどで盛り上がっていた4人だったが、徐々にその口数は減っていった。

勝也が加入した後のライブシーンはその規模も大きくなっていき、みんなの脳裏にはその頃の楽しかった想い出が走馬灯のように浮かんでいたのだった。

 

FINALライブ前のフォルダだったため当然FINALの写真はない。

最後まで見終わると


「あらためて見るとすっごいバンドだったんだね…」


「…うん」


「こうやってライブの写真だけ見てたらさぁ、自分の彼氏だってのが信じられなくなる…」

「あたしも今でも信じられない」


それほどブランカの写真は恐ろしいほどにカッコ良かった。


「この後にオフショット見る勇気ある?」

「死ぬほど見たいけど今はこのカッコいいブランカのままで終わっときたいかな」


「アンタ達、家にパソコンあるんでしょ?」

「あるよ」


「これコピーしたげるよ」


「え!マジ?!」

「怒られたりしない?」


「だって今ここに残ってる事自体Syouは知らないはずだもん」

「そっか…じゃあ欲しい!!」


「あたしもっ!!」


「よし、じゃあ下の電気屋さん行ってメディア買ってこよー!」


涼子の住む高層マンションは下に降りれば街のど真ん中で、こういうところが便利だった。


4人で買い物に行きついでに酒やアテを買い足すと、この画像のコピーが終わるまでまた宴会は続いた。



 翌日、勝也がバイトの間に昨日涼子に貰ったメモリースティックをパソコンに差す。

真っ先に勝也のフォルダから開いてみるとピンポイントで勝也を狙った画像が山盛り表示される。

それはどれも身震いするほどカッコいいモノばかりで、気づけば目が潤んできていた。

 

そしてその最後の方には優奈も覚えていない不意打ちのショットが数枚ある。


「…あ……」


勝也ではなくKATSUYAとのツーショット。


その頃を思い出して涙が止まらない優奈だった。


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