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100 親友 ①

 とある月曜日の朝、2人で登校すると


「おはよ~」

「お~うおはよ」


「あ~その服可愛い♪」

「でしょ?昨日閉店セールやってたから行ってきたの、ありさと千夏と」


「え~いいなぁ~…行きたかったなぁ…」

「あんたは旦那に連れてってもらいなさい」


朝から聞こえたそんな会話が勝也の耳にも入っていた。


そういえば優奈が友達と遊びに行くなど随分と聞いていない。

休みの日はほとんど一緒にいるし夜遊びもしていないはず。


以前はいつも一緒に行動していた4人だがそれも今は学校内だけになっている。

自分は今でもブランカのメンバーと遊びに行く事もあるが優奈が出かけるのは涼子達とたまに女子会を開く程度だ。

 

その日の帰り道


「お前たまにはみさ達と遊びに行ってこいよ」


「え、なんで?」

「最後にアイツらと遊んだのっていつだ」


「え~最後っていつだろ。ん~っと…わかんない…」

「だろ。みんな気ぃつかってくれてんだろうけどもうちょっと友達ってのも…」


「なんでそんな事言うの?」


「ん?」


「だって時間があるんなら勝也と一緒にいたいもん」

「それは分かってるよ」


「…勝也がたまには一人になりたいって事?」


「そうじゃねぇよバカ。あのな、今はまだ毎日学校で会えるし話も出来る。でも卒業したらどうなる?顔を見るだけの為でも連絡取って時間合わせて…4人揃う事なんて滅多にないかもしれない。それに俺達は卒業したら一緒に暮らすんだぞ?今よりもっと一緒にいられる時間は増える。だから今のうちにもっとアイツらとたくさん話しとけって意味だよ」


「…でも…」

「肝心な事忘れるなよ。俺とお前が今こうしていられるのは誰のおかげだ?」


「…え?」


「アイツらがいつも必死になって心配していつでも全力で応援してくれて、お前がウジウジしてた時は怒ってくれて…アイツらがいなかったらどうなってた?」


「あ…」


「友達ってのは宝物だ。けどいつでもそこに存在してくれてる事が当たり前だと思うな。お前が本当にあいつらに感謝してるんならたまにはあいつらの為に時間使って来いよ」


「うん…」


「そのかわり」

「……?」


「アパートから出かけてアパートに帰って来んだぞ」


「うんっ♪」


大事な事を思い出させてくれた。

もちろん存在を忘れていたわけではないし遊びたくなくなったわけでもない。

今までずっと心配してくれていたみさ達が今はもう安心してくれていると勝手に満足し全ての時間を勝也の為に使っていたのだが、逆にそれが大事な親友達との時間を無くしていた。


 数日後


「ねー、今度の土曜か日曜って用事ある?」


「ん?別にこれと言って無いけど」

「あたしはちょっと予定入ってる」

「あたしはいつでもフリーです」


「どしたの?」


「ん…なんか久しぶりにみんなと遊びたいなぁ~なんて」


「…え?」


「…なに、今度は何が起きた?」

「優奈が怒ってんの?それとも怒られた方?」


「…え」


「どっちにしてもまずは解決する方が先決だよ。遊んでる場合じゃないでしょ」


「いや…あの…」

「とりあえず原因から話してみな?」


「ちょ、ちょっとちょっと!何にもないんだってば!」

「何にもないわけないでしょうよ、あんたが勝也と会わないでこっち来るなんて…」


「あの…ホントにみんなと遊びたいだけなんですけど…」


「…マジで言ってんの?」


「そうだよ。なんかいっつもあたしだけ付き合い悪いしさ…ちょっと寂しくなっちゃって」


するとみんな笑顔を浮かべ


「あたしやっぱ予定無くなった!」


「…え?」


「ドコ行く?土曜?日曜?なんなら両方でもいーよ!」

「いつ振り~?全く記憶にないぐらいなんだけど!」


「…あ……はぁ……」


3人の喜びようは想像以上だった。

やはり今まで気を使ってくれていたのがハッキリと分かる。

今まで自分を応援し続けてくれて、そしてみんなのおかげで自分は幸せになれた。

その友達への恩返しを忘れていた自分にも気づいた。


相談の結果、遊ぶのは土曜日に決まった。

みんなワクワクした顔で色々と案を出している中


「そういえばその日勝也は何の用事なの?」


「何のって…多分家でベース弾いてんじゃないかな」


「…え?」


「…な…なに?」

「勝也が用事でいないからとかじゃないの?」


「違うよ」


「…勝也置いて出てくるの?」

「そうだけど」


「…ホントになんにもないの?」

「なによぉ、なんにもないってば(笑)」


3人が少し沈黙する。

優奈が何かを隠しているようには見えないが勝也と一緒にいられるはずの休日をわざわざ自分達と遊ぶ方を選んだことが不思議な様子で


「そんなに不思議?」


「そりゃぁ…ねぇ」


「そっかぁ、やっぱそういう風に思わせちゃってるよね」

「やっぱりなんかあったの?」


「ううんホントになんにもないの。実はね…」


そういうと優奈は今回の話が勝也の提案である事、そしてそれを聞いて自分自身もみんなとの時間が欲しくなった事、今までの感謝やこれからもずっと付き合っていきたい友人であることを話していった。

すると


「…もうダメだぁ…」


泣き出したみさ。

ありさと千夏も目に涙をいっぱいためて


「…なんなのあいつぅ…優奈どころかウチらの事まで…」

「あいつのおかげでウチらだって前以上に仲良くなれたってのに」


「あたしも勝也が言ってくれたおかげで思い出せたんだ。友達が宝物だって」



 土曜日、化粧をしている優奈の横でベースを弾いている勝也。


「今のトコ間違えたでしょ」


「相変わらず厳しいヤツだな」


「なんかあたしだけ出掛ける準備するっていうのもヘンな感じ…」


「確かにな。今日晩メシ外で食ってくんの?」

「あ~そこまで決めてないや…決まったら電話する」


準備が整った優奈が玄関に向かいながら


「お昼用意してあるからちゃんと食べてね」

「あぁ」


「あと洗濯物入れるだけ入れといて?帰ったらたたむから」

「あぁ」


「あとそれと…」

「いいから行けってば。ちゃんと留守番しとくから」


「なんかやっぱり一緒にいたくなってきちゃった…」

「アイツらに愛想つかされるぞ?ほら、目一杯楽しんで来い」


勝也に見送られてアパートを出る。

一人で駅まで行き、電車に乗ってみんなと待ち合わせしている駅へと到着した。


「お~い♪」

「おはよ~」


「ホントに来たぁ」

「当たり前でしょ(笑)」


何か予定を立てているわけでもない。

ただ街に出て色々店を見て回ったりカフェに入ってスイーツを食べてみたりと、本当に久々の親友同士の遊び。

だがそれがこんなに楽しい事だったとは…


「ヤッバ~、笑い過ぎてまたお腹減ってきたぁ」


「アンタさっき食べたトコじゃん(笑)」

「あんなのとっくに消化しちゃったもん」


「なんか軽ーく食べれるとこ入る?」

「そうだなぁ…」


ブラブラ歩いて行くと少し高級そうな雰囲気で大人しか入れなさそうなバーのようなカフェのような店の前を通った。


「…さすがにここはまだ敷居が高いもんねぇ」


「え?」


「前からみんなで『いつか行ってみたいね』って言ってんだけど…」

「なんかセレブな感じだもんねぇ(笑)」


「え?何言って…ここって…」


キョトンとした顔の優奈。


「なんかどっかその辺の店にしよっか」


「いーじゃん、ここ入ろーよ」


「いや、さすがにここは…」

「いーからいーから。行くよ」


そう言って普通に入っていく。それを見て


「ちょっと!…優奈ってば!」


もうその時には店の扉を開けていて


「こんにちはー」


まるで知り合いかのような挨拶をする。

すると


「いらっしゃ……おぉ優奈か」

「みんな連れてきましたぁ」


予想通り高級感のある店内だが、驚くことにカウンターの中にはKouの姿。


「…え…ええええぇぇぇぇぇぇぇ???????」


「おっ?なんだ、みんな久しぶりだなぁ」


「…こ…ここって…Kouさんのお店だったんですかぁぁ??」

「そうだよ?まぁ正式にはウチのオフクロの店だけど」


「…知らなかったぁぁ…」

「ずっと前からいつか入ってみたいなぁって」


「なぁんだ、もっと早く来りゃよかったのに(笑)」


まさかここがKouの店だったとは夢にも思わなかったみさ達。


そしてまたここでも楽しい時間を過ごすと


「じゃあまた来ますね~」


「おう勝也によろしくな」


「あたし達もまた来てもいいですか?」

「そんな緊張するような店じゃないって分かったろ?いつでもおいで」


「はいっ!!」


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