第十六公演 魔物使いの才能
二月十八日投稿
そして罠に嵌ってしまい落ちた俺たちは取り敢えず、ここから脱出する方法を考える事にした。しかしすぐに…
「ふ!私にまかせろ!」
アリスがドヤ顔でスライム達に指示を出した。
すると指示を受けたスライム達が次々と積み重なっていく。大丈夫だよな?合体して、タワーとかキングとかなんねーよな?
すると今度は積み重なったスライムが思いっきり体を伸ばした。体を自由に変形できるスライムならではだ。
すると一番てっぺんにいたスライムが穴まで届いた。これを登れば上に行けそうだ。
「凄いじゃないか!アリス!流石魔物使い」
思わず俺がそういうと
「ふ…ふん!あ…当たり前だぞ!もっと褒めてもいいんだからな!」
もじもじ赤くなってる。やだぁ可愛い。
「….お前顔気持ち悪い事になってんぞ?」
「え?マジ?てかほっとけ!」
俺はロリコンじゃないぞ!レオンめぇイケメンだからって…クッソが!
「わぁ♡スライムさんってこんな事もできるんですね!」
「上から、"ダークプリズン"、"エンペラーアイ"、"イビルフレイム"そして…」
「長くなりそうだから後で紹介してくれ。」
スライムのそんな姿に感動してるシエルは目をキラキラさせている。そしてそこにアリスが、秀逸なネーミングセンスが光るスライムを紹介するが、レオンにツッコミを入れられて止められた。
ナイスだ。レオン。アリスは頬をリスみたいに膨らませている。
俺たちはスライムをよじ登る。しかしペタペタする。あとなんかプルプルする。
お陰で登りやすいが、癖になるなこれ…。因みに登り順は俺とレオンが先に登り、シエルとアリスが後で来る。
だってスカートなんだもん…。見えるじゃん。パンツが…。察せないとモテないぞ?
俺とレオンが穴から脱出し、後から来たシエルとアリスを引き上げる。狼達はどうすんだろ?と思っていると。スライム達が梯子状のままジャンプし、てっぺんのスライムが穴の淵にくっついた。
そして一番の下のスライムが何やら前後に体を、揺らし始める。
え?なにが始まるんだ?アリスはじっと見ている。が俺やシエル、レオンは固唾を飲んで見守った。
すると狼達がスライムに飛び移った。スライムはそのままクルクルと下から狼ごと巻き上げて猛スピードで上まで登ってきた。
結果、狼もスライムも助かったのである。
スライム様…今まで最弱と侮っててごめんなさい。
「凄いよ!まさかこんな事まで出来るなんて!」
「へぇ魔物使いって魔物にこんなことまでさせられんだな」
「凄いです!まるでサーカスみたいですよ♡」
俺たちはアリスの魔物使いとしての才能に感嘆の声を上げる。
魔物使いは魔物に戦わせるだけの楽な仕事として馬鹿にする人もいるが、ここまで精密な動きやそれを利用して人を助けるという行為を指示し、それを実行させるとなるとかなりの期間や経験が必要だ。
それを幼い少女がやってのけた。この子は大物になる。
なによりシエルの言ってた"サーカスみたい"と言ってたあの言葉。うん…この依頼が終わったら誘ってみよう!
そしてあまりにも褒めちぎられたアリスはプルプルと体を震わせてスライムで顔を隠している。俺たちはちょっと褒めすぎたか?怒ったか?と考えていると
「そ…そんなに褒めるなぁ…。ばかぁ…」
涙目で顔を真っ赤にしている。
その途端、俺たち三人は何かにズキューンと胸を打たれた。そして俺たちは誓ったのである。俺たちでこの子を保護しようと…
俺たちは取り敢えず涙目のアリスをヨシヨシしながら新たな決意を胸に歩き出したのである。
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