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第十一公演 職業

 職業毎にできる事やら、発達する能力が異なる。例えば戦士なら力と守備力が発達して、完全前衛型になったり…

 「うーーむ…」

 俺は今のメンツでできる事を考えていた。


 「何してるの?ユーリ君?」

 「んー?シエルとレオンのパフォーマンス考えてんの。」

 話しかけてきたルルに俺は二人を指差してそう告げる。

 人に指を指すなってばっちゃんに言われた事を思い出してすぐ指を下ろしたがね。


 因みに二人はジャグリングの練習をしている。シエルの方はなかなか苦戦しててぎこちない。レオンは流石は盗賊。器用なだけあって習得が早い。

 「シエル?いきなり三個とかでやらないでまずは一個からやってみた方がいいよ?んで手首だけでやるんじゃなくて肘から動かした方がやりやすいよ?」

 「はっはい!やってみます!」


 俺のアドバイスに素直に従うシエル。うん!めっちゃ良い子だ!可愛い上に良い子だなんて!最高だな!おい!

 おい?誰だ!今キモいつったのは!俺が一番分かってんだよ!俺のことよく知らん奴が俺を軽くキモいとかいうな!

 俺のキモさは筋金入りだぞ!あれ目から水が出てきた。


 「ユーリ君?大丈夫?」

 するとルルが心配してきた。

 「いや大丈夫だよ?それより二人のパフォーマンスをと…」


 まずはシエル。シエルといえばやはり魔法だ。魔法と大道芸の組み合わせはかなり目立つし目が楽しい。

 レオンは盗賊だからなのか、鍵開けが得意。ふむ…脱出マジックなんかいいかもな…。

 んでミラの件もあるから顔バレしない様にお面したり。というか統一性持たせて全員仮面着用もあり?だと俺も浮かないし…。

 あれ?結構良い感じじゃない?


 「ふふ…ユーリ君楽しそうだね?」

 え?まじで?

 「…俺…楽しんでた?…」

 「うん!ふふふユーリ君が楽しそうだと私も嬉しいよ?」

 俺はシエルとレオンを見る。少なくとも前にいた冒険者パーティよりも居心地がいいのは確か…。あって少ししか経ってないけど…。それでもルルも含めて、大切な存在だ。


 だからこそ余計にのし掛かる。失敗してはならないという重圧。俺はついブルっと震えた。


 「ユーリ君?」

 「はっ!何でもないよ!」

 黙り込んだ俺を心配したルルが顔を覗き込んできた。顔近っ!!顔面強い!浄化される。


 「…何考えてるかは知らないけどね?私はユーリ君に着いていくよ?」

 ルルはそう言って俺を優しく見つめながら、手を握ってくれた。温かい…俺はそれだけですこし泣きそうになっていた。

 と、俺が心ポカポカタイムを味わっていると、


 「団長さん!見てください!二個で成功出来ました!」

 「フン!まだまだだな?シエル!俺は五個に突入したぜ!」

 とキラキラした目で報告してくるシエルと得意気なレオン。

 因みに俺は話しかけられた瞬間に手を離した。だってなんか恥ずいんですもの。

 つーか…ふと思ったけど俺以外皆んな顔よくね?神様って不公平過ぎませんか?


 「すごいよ!シエル!レオンも凄いね!そんな直ぐに五個でできる様になるなんて!」

 と言うと二人でドヤ顔し始めた。シエルは許す可愛いから!けどレオンお前はムカつく。


 俺らは取り敢えず次の町へと向かった。



-side???

 「ふふふ!我が名はアリス!孤独を愛する者なり!おい私はこの依頼を所望するぞ!」

 ここはとある街のとある冒険者ギルド。そこでゴスロリの服に黒のツインテール、オッドアイの少女が依頼を受けようとしていた。しかし


 「申し訳ありませんが四人パーティが原則ですので…」

 「むむ!わっ私は"魔物使い"なのだ!こんな依頼一人で「規則は規則なので」あうぅ」

 断れた。秒で、少女は涙目である。


 「おい…またあのガキ来てるぞ?相変わらず痛いよなぁ?あの格好…」

 「つーか"魔物使い"って魔物従わせるとかやばくね?しかもあの格好…。悪魔かなんかじゃねーの。」

 少女はそんな心無い言葉を聞きながら、スタスタとギルドの外…いやそれどころか街から出ていき森の中に入って行った。


 森には沢山の魔物がいる。少女の元にスライムやウルフという狼型の魔物などが集まってきた。すると少女はスライムを抱き抱えた。


 少女は"魔物使い"だ。魔物使いは通常、人間と敵対する魔物と心を通わせることの出来る職業。数自体も少なくて珍しい職業。

 だが魔物は人間と敵対する者と考える者が多いこの世界において、世間は彼らに厳しい目を向けていた。


 そして少女はそんな世間の冷たい目に晒さられるといつもこの森に逃げこむ。人間よりも優しい…。魔物である彼らの元に…


 「貴方達だけだよ?私の味方は……。私だって…仲間が欲しいよ…。なんで…私ってこんなにダメなんだろ…」

 少女はポタポタと涙を流していた。

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