第五話「人間たちの反応」/ 第六話「精霊との対話」
第五話「人間たちの反応」
湿地周辺の町の住民たちは、工事現場での異常事態に驚きと不安を感じていた。工事の話はもとより町の大きな話題となっており、突如起こった現象は「祟り」や「呪い」と囁かれるようになった。
「あれは昔の湿地の神様が怒っているんじゃないの?」と、町の中心にある古い茶屋で、おばあちゃんたちが話していた。
町の有力者たちは、早急にこの問題を解決するために、地元の神社の神主:島村 明宏に地鎮祭を依頼した。神主は老練な人物で、町の歴史や伝説に詳しかった。
「湿地には古くからの神が宿っている。その神をないがしろにしてはならない」神主は真剣な面持ちで語った。
地鎮祭の日、神主は神具を持ち、湿地の中心で儀式を行った。しかし、儀式の途中、風が強く吹き、神主の前にロータスルートの姿が現れた。
「私たちの土地を返してください」彼女の声は静かだったが、その中には強い決意が込められていた。
神主は驚きながらも、彼女と対話を試みた。「君たちの気持ちはわかる。しかし、町の発展のためには工事が必要なのだ」
このやり取りを聞いていた町の住民たちは、霊媒師や除霊師を呼ぶことを決意。彼らの中には、怪しげな除霊師も含まれていた。
「私がこの場を浄化してみせる!」と、怪しい除霊師:黒沢 祐次は大声で宣言。しかし、彼の方法は古臭く、効果があるのかどうか疑問の目で見られていた。
第六話「精霊との対話」
町の騒ぎは一段と高まりを見せていた。そして、その騒ぎの中心には一人の女性がいた。彼女の名前はリリアーナ。彼女は、古くから町に伝わる伝説の中で語り継がれてきた、精霊と人間をつなぐ「継ぎ手」であった。
リリアーナの存在が知られるようになったのは、町の子供たちが彼女と一緒に湿地で遊んでいるところを見られたからだ。彼女は子供たちとともに、ロータスルートやミジンコ、タニシたちと楽しく過ごしていた。
「リリアーナさん、本当に精霊たちと話せるの?」と、興味津々な子供たちが質問した。
リリアーナは優しく笑いながら「ええ、彼らとは長い付き合いよ」と答えた。
町の有力者や関係者たちは、この問題を解決するための鍵としてリリアーナに接触を図ることとなった。
「リリアーナさん、私たちと精霊たちとの間に立って、話し合いの場を設けていただけないでしょうか?」と、町の長老が彼女に頼み込んだ。
リリアーナは深く考えた後、「分かりました。でも、約束してください。精霊たちの意志を尊重すること、そして町の住民との共存を真剣に考えることを」と答えた。
そうして、話し合いの場が設けられることとなった。リリアーナが中心となり、町の代表者たちと精霊たちとの間で対話が始まった。
初めは、双方の意見や立場の違いから難航を極めた。しかし、リリアーナの誠実な態度と精霊たちの願いが徐々に人々の心に響き、次第に共通の理解が生まれてきた。
この対話を通じて、人々は湿地の重要性と、精霊たちとの共存の大切さを再認識することとなった。