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2人だけの部屋


また彼のいない部屋に1人…。

部屋のカーテンはもうすでに開いており、日が登っている。

ベットには大好きな彼の着ていたパジャマが綺麗に畳まれている。

私は今日も彼よりも遅く目覚めてしまう。

彼は私が寝ている間に外出をしたのだろう。

ふと時計を見ると2つの針はもう1番上の文字を指している。

私は頭を掻きながら、起き上がり寝ている間に固まった身体をほぐすために、伸びをした。

私は朝食を食べるために、寝室を後にする。

リビングに行くと、彼が用意してくれた朝食と牛乳があった。

私の朝食はいつも同じメニューだ。

彼は料理が好きなのか、いつも私のご飯を作ってくれる。

眠たくなってしまった…

私はいつも二度寝をしてしまう。

働いても学校にも行っていない。そう、私は世間で言うニートだ。今は色々あって彼の家に居候させてもらっている。

眠い目を擦りながら、毎日彼が帰ってくるのを待つ。




目を覚ますと日は落ちしてしまい、彼が帰ってきていた。

彼はいつも寝ている私をほっといて、ご飯を食べている。

家に帰ってきても静かに私を起こさないように、ご飯を食べている彼が大好きだ。彼は私が起きたことに気づくと、夕食を作ってくれる。今日の朝食の残りだ。

「ありがとう」

私がそう言っても、彼はなにも答えてはくれない。

彼は無口だ。

食事中の彼は静かに食べる。

彼は食べ終わるとすぐにパソコンをいじる。

大学のレポートの作成をしている。

彼の真剣な横顔はとても美しい。

私は大好きな彼の膝の上に頭を乗せ寝転んだ。

彼はパソコンのキーボードを叩いている。私には難しくて何を打ち込んでいるのか分からない。レポートの中身を見たことがあるが、何が書かれているか分からなかった。彼はとても頭のいい大学に通っているに違いない。

しかし、大学名や大学で何を学んでいるかなどは教えてはくれない。

彼がキーボードから右手を離すと私の額の上を撫でてくれた。とても優しい、柔らかい、気持ちいい髪の毛越しに彼の手の体温を感じる。

頭を撫でてくれる彼が大好きだ。

とても心地がいい、これが好きで私はいつも甘えてしまう。

レポートが終わったのか、区切りがついたのか分からないが、正座していた彼が足を崩し、膝を伸ばす。

膝の上で寝そうになっていた私は、急に足を崩した彼に驚き、起き上がる。

私は彼と一緒に寝る準備をした。

いつも彼はベッドの奥側に寝っ転がる。私は、手前側に寝る。毎日彼の腕の上に頭を乗せ、腕枕をしてもらう。

彼は寝っ転がりながら、ケータイをいじっている、私に構うこともなく。私たちがベッドに入ってから、2時間は経っただろう。まだ彼は誰かと連絡をしている。大事な話をしているのだろうか、同じ人と連絡をしている。私が彼のケータイを見ようとしても、見してくれない。私よりもケータイの方が大切なのだろうか…彼にとって私以上に大切なものがあると言う事実に腹が立つ。

しかし私は彼に嫉妬心を見せるようなことはしない。彼に嫌われたくはないから。

そんなことを考えていると私は眠りについてしまった。


起きると今日は珍しく彼が家にいた。今日は大学が休みなのだろう。私は嬉しかった。

今日はたくさん彼に甘えたい、遊びたい。

しかし彼は私を買うかのような扱いをし、一日中ケータイで誰かと連絡を取っていた。

ケータイをいじっている彼の顔は、とても幸せそうだった。

構って欲しい気持ちを我慢し、私も彼を空気のように扱い、ふて寝をした。

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