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FAMILIAR SIGHT ~三下シーフ、翔んでみせろ~  作者: のうき
■いびつなパーティ■
3/33

今すぐ君をぶっとばせ

 カタールから光が放たれるのと同時に、セスはテーブルの上の皿の山を投げつける。皿の山は砕け散り、白い粉塵が視界を悪くする。店内に悲鳴が上がり、その場にいた大半は我先に逃げ出し始めていた。


「随分な挨拶じゃねえかカタール。まさかお前が刺客で来ると……」


 言い終わるか終わらないかの瞬間、セスの背後にあったランタンが弾け、中から小さな炎の竜が現れる。素早くテーブルを倒してその陰に隠れながら、

「いやちょっと話を聞け!」

と叫ぶが、炎の竜はテーブルへの体当たりを止めない。そこそこ天板の厚い樫のテーブルだが、直に破壊されるだろう。



「ありゃー、精霊使いかあれは…」

 被害の及ばない場所に移動したシャムが呟く。


 店内に残っているのは数人。カウンターの中からも人が消えていた。ということは…

 タイミングを計りテーブルから転がり出て、その勢いでカウンターを跳び越す。その奥には従業員用の出入り口があり、セスはそこから脱出を試みる。


 その前に、チラリとカタールを見た。どういう気持ちで見ていいかわからないまま。



「あ……ちょっと待てコラ!」

 何故かシャムも、カウンターを飛び越えて追いかけていく。

 店の奥、柱の陰に隠れていたランスはようやく目を開けた。何が起こった?


 黒髪の男と美人局(つつもたせ)の諍い。

 らしからぬ怪力で大男を投げ飛ばしたエルフ。 

 突然現れた褐色の男。精霊魔法で黒髪の男を狙って……もうここにはいない。スイングドアだけが揺れていた。


 冒険者の集まる店っていつもこんな危険な場所なのか? やっぱり村を出るべきじゃなかったのか。でも、エルフがいた。

 あの男の持ち物に引っかかりを感じていたんだろうが、それにしても追いかけていくほどのことか?

 自分は……どうする? (かかわ)っていいことなんか一つもなさそうだ。けど、何もしなかったらいつもの「半端者」扱いがずっと続くような気がした。

 意を決したように、ランスは店を走り出た。



***



「ちょっと!」「アンタ命を狙われてる訳?」「何したのよ!?」

「ああ」「盗賊ギルドを」「抜けてきたんでな」

 店の裏手に広がる森の道を、全力で走りながら二人は会話していた。セスは走りには自信がある方だが、シャムは同じスピードでついてくる。さすがエルフ、という所だが……。

「はぁ?」「そりゃ狙われるわ」「バカじゃないの?」

 いやなんでついてくるの? バカじゃないの? セスも思う。

「こっちにも理由(ワケ)があんだよ!」



 理由(ワケ)。そこまでの理由だったか? 確かにギルドマスターには恨みがある。最近、偶然知ってしまった恨みだ。でも、衝動的にアレ(プレート)を盗むのは今じゃなきゃいけなかったか? もうちょっと根回しして、カタールともちゃんと話して……



 突然、光の矢のようなものが足元にひらめき、セスはもんどりうって倒れた。

「くっそ……本気(マジ)かよ…」


 少し離れた後方に、カタールが静かに立っていた。

 離れているとはいえ、十分魔法の攻撃範囲だ。

 と、セスの前にシャムが静かに歩み出て、腰のブロードソードを抜き放つ。


「剣? え? 魔法じゃなくて?」

 カタールから視線は外さず、しかし眉根を寄せてシャムは言った。

「いっつもそう言われるんだけど、でもあたしは魔法なんか一句だって知らなくてね!」

「ええ!?」


 カタールに向けて疾風のように駆けだす。

「こ…」

 セスが何か言ったようだが聞こえない。集中して、さっき見た精霊魔法の強さなら剣で対処できる。カタールも手に光を集めている。あっち(セス)を狙っているのかもしれないが、それならそれで好都合。ああ、聞きたいことがあるから死なれちゃマズいか。


 シャムとカタール、二人が接近した瞬間、白い光が閃いた。

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