2話
「なりません。」
白鷺家に着き、待ち構えていたのは寿々奈の母である清乃であった。
「だから、申し上げたではありませんか。絶対断られると。」
道中、志貴は絶対に反対される、諦めてくださいとずっと言っていた
「…でも、お父様ならきっと」
「仁様は寿々奈には甘いからいいと言うでしょう。しかし…」
清乃が言いかけたところで
「何をしている?」と自室から、寿々奈の父である仁が現れる
「む?その者は…」
仁は魁を1度見てから、寿々奈を見て言った。
「お父様、こちら魁です。伊賀の忍で、私の護衛にしたいと思い連れてきました」
「そうか。いいだろう」
「仁様!」
清乃が声を荒らげる。
「伊賀の忍は帰農するか棒役になるか。というはずではありませぬか。」
「例外がいてもいいだろう。清乃、柔軟になるべきだ。」
「しかし、」
「魁。寿々奈のことをよろしく頼む」
「はい。こちらこそよろしくお願い致します」
魁は頭を下げると、仁は満足そうに笑った
そして志貴に
「和成を呼んで参れ」と告げる
「かしこまりました」
志貴が一礼してその場を去る。
魁は、「寿々奈様の弟君か兄上ですか?」と寿々奈に問う
「弟よ。魁、その…敬語使えるんだね」
「使えますよ。」
「でも、敬語似合わないからやめて。」
と、寿々奈は笑った
清乃はその様子を見て「よろしいのですか?」と仁にひそひそと話した
「良いでは無いか。」と仁。
「そうかよ。じゃ、遠慮なくこのままでいかしてもらうぜ。姫様。」
「はい。それで構いません」
と寿々奈は笑う。
姫様はよく笑うなと魁は思った。
其れから少しして
「誰ですか、そいつ」
と青年が志貴の前にいた
「おお、来たか。和成。実は寿々奈が伊賀の忍である魁を連れてきてな。寿々奈の護衛につかせたところだ」
和成は寿々奈の弟である。
少し偏屈なところがあり、周りに人を寄せ付けないところがあり
訝しげに見られてると魁も感じていた。
「よろしいのですか、母上」
清乃の方をじっと見て言う和成。
清乃ならこいつを追い返してくれる。そう思って和成は清乃に問いかける。
「仁様の決めたことです。」と清乃はきっぱり告げる。
清乃も最初は訝しげに見ていたが、仁の告げることは絶対なので不服ではあるものの了承していた。
「そうですか。僕は頼りにしてませんからね」
「和成!そんな事言わないの。私は魁のこと頼りにしてるんだから。それに、和成のいい友人になってくれると思うわ」
和成は友人を作ろうとしないし。と付け足す寿々奈。
「べ、べつに友人など!」
「もう。素直じゃないんだから」
なんて言い合う2人を見ながら魁は
「この姉弟似てねえな」と思うわけである




