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平和の終わりと革命の始まり

転生して18年がたった。


「ナガトー起きなさーーい。遅刻するわよー。」

 

 どこの世界でも母親というものはうるさいものだ。


「うー。今行く。」

 

 俺の転生したところはリアース大陸のロイヤル・ダブリン王国。つい数十年前までは身分差別や近隣国との戦争などで非常に荒廃していたらしいが、今の王様であるルイス16世の手腕により何とか和解に持ち込み終戦させ、人権宣言を発表。身分差別を廃止し誰もが自由な職に就けるようになり王国は栄え始めていった。


 現在俺は18歳。ロイヤル・ダブリン王国出身の父と緋鳥国出身の母を持つ。王国立ウォリアム・バトラー・イェイツ高校3年だ。この高校は王国騎士と特異な才能を持った者のみがなれる魔法使いを育成する高校だ。俺は今日この高校を卒業して王国騎士として国に使える予定だ。どうして戦争が終わったのに王国騎士になるのかと疑問に思う人もいるかもしれない。確かに戦争は終わった。だが、旧貴族たちが不穏な動きを見せていて近々内乱が起こりそうだ。あと、俺のもらったチート能力が戦闘系だから王国騎士にならねばあんまり意味がない。でもなんだかんだ王国騎士になる理由を述べてみたが本音はただやってみたかった。これに尽きる。


 順風満帆に見える俺の人生だが一つだけ問題がある。


 「お兄様、おはようございます。」


 コニダコの力で俺の妹にしてもらった嫁(二次元)が全く心を開いてくれないのだ。


 「おはよう、ムツ。調子はどうだい?」


 「問題ありません。お兄様。」


 にこりともせずムツはいう。そもそもムツはアニメ「学校でアイドルやったり芸能活動したり海の守護者になったり」に登場したクーデレキャラだ。第三話で突然の死を遂げたりしたが、主人公たちが追い詰められ絶体絶命の危機に陥った第六話にて復活。その時に彼女が言ったセリフ「私はまだ死ねない。一緒に煌めくって約束、まだ果たしてないもの。全砲門一斉掃射、敵を駆逐する。」はこの作品を代表するセリフになるなどこの作品の一番の人気キャラである。


 しかし俺の妹であるムツはどこか少しおかしい。彼女は全く笑わないのだ。いや、笑わないというより表情がない。二次元から三次元に無理やり連れだした反動なのだろうか。いま、俺たちが食べている朝ごはんのパンにマーマイトというおいしくないジャムのようなものがついている。ロイヤル・ダブリン王国の国民や英国紳士たちはおいしく食べているものらしいが俺やムツのような元日本人の口には合わないはず、なんだけどな……この作品の作者のような余程のもの好きか、やはり次元を超えるときに何かあったのか。ムツは学校でも常に無表情らしく、兄としてかなり心配だ。なんて思っているとムツが珍しく自分から声をかけてきた。


 「お兄様。ご卒業おめでとうございます。その、ご卒業祝いといいますか……これを受け取ってくれると嬉しいのですが。」


 と差し出してきたのは藍色をした手縫いのお守りだった。やっと、クーデレのデレの部分が来たのだろうか。今までこんなことは一度もなかったからすげえうれしい。


 「ありがとうムツ。騎士団に入団したら必ずつけるよ。」


 俺がお守りに触れた瞬間だった。あの身の毛のよだつような感覚を覚えたのは。


 なんだ、この違和感。俺が死ぬ間際にゆまに向けられた殺意のような何かを感じる。


 俺は震え始めた手を無理やり押さえつけお守りをポケットにしまう。こういう違和感の正体は後々気が付くものだろう。


 とりあえず卒業式に行こう。俺は学校に行く準備を整える。


 「行ってきまーす。」


 俺が家を出て数百メートル歩いたところだろうか。突然爆音がし後ろを振り返ると家が消し飛んでいた。


 「聞け!!愚かなる第三身分どもよ!我ら第一身分は邪悪な王であるルイス16世を殺害し革命を起こす。」


 甲冑に身をまとった男が演説をしている。その男の手には手榴弾のようなものが握られていた。


 「そこの家を見せしめとしてこの魔力手榴弾で爆破した。貴様ら!!おとなしく投降しろ。さもなくば貴様らの家すべてを爆破する!!」


 俺はこいつの言っていることを理解したくない、だって目の前にいるこのなんて事のなさそうな奴が俺の家族を皆殺しにした。そんなの信じたいか?


 「この戦いはヴェニート・カサエル様の名のもとに始められた聖戦である!!正義は我らにあり!!」


 ぐちゃぐちゃになった俺の思考に甲冑の男の言葉が入ってくる。


 正義か。人を殺して許される正義があるのなら、俺もその正義を使わせてもらおう。


 俺は走り出した。


「ゼロ・リロード!」


 神から与えられたチート能力を俺の父さんの形見の銃に適応する。俺の能力、ゼロ・リロードは撃つことのできるものをリロードなしで無限に連射できる能力だ。一見大した能力に見えないかもしれないがリロードを必要としないから隙をつくることがなくなるし撃つことのできるものを無限に撃てる能力だから戦艦の主砲なども連射できる。異常なまでに強い能力なのだ。


 「そもそもこの戦いとは……ぁァァぁァァァァァァあ」


 「消し飛びやがれ!!」


 俺は俺の父さんの形見の銃であるリボルバーを連射する。スイカを木っ端みじんに消し飛ばせる威力のリボルバーの連射なら甲冑くらい破壊できるだろう。しかし、思いのほか反動が酷く狙いが定まらず片腕を消し飛ばすだけにとどまった。


 「う、うでががががあがががっががががががあああ。」


 俺はとどめを刺そうと男に近づく。男は恐怖に染まった顔をしていた。


 「いい嫌だししっししししにいいたくない。」


 「まだ、まともに話せるなんて驚いたぜ。死ね。」


 俺は男の脳幹に銃口を合わせ、引き金に手をかける。しかし、俺は引き金を引くことはなかった。


 見つけてしまったのだ、GOOD LUCKと書かれた俺と同じくらいの女の子の写真を。こいつの娘だろうか。もし、俺がこいつを殺せばこいつの娘はどうなる?俺の前世で俺は父さんが死んで母さんと苦労して生きてきた。俺が受けた苦しみをこいつの娘にも味わせるのか?


 俺は結局撃てなかった。


 パチパチパチ。どこからか拍手が聞こえる。


 「君はなぜその男を殺さなかったんだい。家族の仇だろうに。」


 「き、騎士団長様。」


 俺の目の前には王国の騎士団を率いている100戦練磨の騎士団長様がいた。


 「俺がこの男を殺さなかった理由は俺が撃てなかったからです。こいつの娘の写真があって俺がこいつを殺したらこいつの娘はどうなるだろうと思ってしまって結局撃てずに。俺王国騎士にはなれませんよね。だって家族の仇すら取れませんもん。」


 「いや、君の転職は王国騎士だろう。騎士の五戒を知っているだろうか。君は強く勇敢で正直で礼儀正しく何より寛大さを持っている。この五つを兼ね備えたものは近年あまりいない。平和が長すぎた弊害かもしれないがね。おほん、とにかく君は騎士にふさわしい。我が騎士団は君を歓迎する。」


 俺が騎士になる。ならばこの革命を微力だろうと阻止するために俺のすべてをかけて戦う。俺は静かに死んだ家族に誓った。


 「俺でよければぜひ国のために尽くさせてください。」


 「よかろう。その男を持ち本隊までついてこい。」


 俺は王国騎士になったのだった。


 

続く


 










 




 

 

 



 


 


















王国騎士となったナガトはある特殊任務に就くことになる。

それは12人の革命少女と呼ばれる魔法少女の正体を暴くことであった。

次回「紫色の姫」


次回ついにヒロイン登場!!

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