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おれ以外にも未来人が?

 局長って、そんなそぶりはいっさいみせないのに、なにげにすごいと思うことが多々ある。


 新撰組は、幕末いまでも未来さきでも、副長一人できりもりし、すごい集団に育てあげたように思われがちである。さらにいうなら、近藤勇は土方歳三によって盛り上げられ、武士さむらい、そして幕臣にまでなった、と。

 まぁ、未来さきに関しては、土方歳三がすごいイケメンで、いろんな意味でやる男だという創作されている面もあるのだろう。

 盛りすぎ感満載、といおうか。


 実際のところは?まぁ、土方歳三がムダに目立っている。が、厳密には、永倉や原田や斎藤、山崎や島田など、周囲をうまく動かすことで成果をあげ、目立っているにすぎない。


 そんななかで、近藤勇は、土方歳三だけではついていく気がしない、あるいは、土方歳三だけでは怖くてやっていられない。だから、絶対にいてくれなきゃ困る、そんな存在か。


 西郷隆盛とおなじく、カリスマ性抜群の頼れるボス、なのである。


 これはあくまでも、おれの主観であるし、実際のところ、おれ自身は局長が大好きである。もちろん、それはBL的な意味ではない。


 あの双子をして、そういわせるのである。

 

 結論。近藤勇は、なんだかよくわからないが、兎に角すごい男なのである。


 みながそれぞれの想いにふけっている間に、俊春が一つ一つの馬房をまわり、そのなかにいる牛馬に声をかけ、戻ってきた。


 花子とその仔どもたちにも、うるさくしてしまったが、もう大丈夫だから休むよう声をかける。それから、奥の方から椅子がわりの木箱を二つ、抱えてきた。

 それらを、副長と島田のまえに置き、「おかけください」と促す。


 どうやら、おれは地面に座れということらしい。ゆえに、そのまま地面に胡坐をかいた。

 双子もまた、隣あって地面に胡坐をかいている。


 相棒はどうするのだろう、と双眸でみまもる。その熱き視線のなか、相棒は俊春の横にしれっとお座りをしたかと思うと、体をぴたりとくっつけるようにして横になってしまった。


 そうか。犬も猫も、飯をやる人間ひとによく慣れる。相棒とて、犬にちがいない。

 毎食手間暇をかけてつくり、やさしい言葉をそえて食事を提供する「兼定のシェフ」こと俊春に尻尾をふり、魂をうり、心臓を捧げるのも当然だろう。


「ちゃうちゃう。そんなんちゃうて。ちっともわかってへんなぁ」


 相棒が睨みつけてきた。しかも、「OK グーOル、相棒の気持ちをおしえて」、とスマートスピーカーによびかけたみたいに、俊春が相棒の内心をぺらぺらとさえずるではないか。


 そうか。飯やり云々の問題ではないのか?


 やはり、人間ひとも動物もむずかしい・・・。



「副長。史実では、局長と別れたのち、あなたは局長として新撰組を率い、転戦しつつ会津へ向かわれます。そうであったな、主計?」

「ええ?あ、はい。そうです、たま」


 相棒を想いすぎていて、俊冬の問いをスルーしそうになった。


「副長。あなたは、局長と別れたのち、史実どおりにされる意思はございますか?史実がかわる、かわらぬは別にして、あなたご自身の意思を確認しているのです」


 俊冬の意図がわからない。いったい、なにを言いたいのか。あるいは、なにを知りたいのか。


「島田先生。あなたは、これよりさき、主計同様副長の支えとなる方です。ごまかしは抜きで、真実をしっておいていただきたい。主計が将来さきのことをしっているのは、かれが未来からやってきたからです」


 俊冬の告白は、あまりにも突拍子もないものである。当然であろう。おれだったら、すぐには理解できない。告げられた内容を何度も反芻し、脳のウエルニッケ領域に浸透させ、そこでやっとわかりかけるだろう。それから、信じることができず、「それは嘘だ!」とか、「マジか?」とか、否定的かつ懐疑的な言葉を叫ぶだろう。


「なるほど」


 島田は、あっさりとおおきくうなずいた。あまりにもあっさりすぎて、かえってこっちのほうが「はあ?」って声をあげてしまう。


 そういえば、こっちにきた当初、副長はもちろんのこと、局長、井上、永倉、原田、斎藤、沖田、野村は、フツーに受け入れてくれた。後日、藤堂もさして疑うことなく受け入れていた。


 なんだろう。過去の時代というのは、未来から人間がやってくるのがフツーのことなのだろうか。「信長O奏曲」みたいに、主人公の高校生のみならず、斎藤道三が元警官だったり、松永久秀が元極道やくざだったり、弥助やすけがプロ野球選手だったり、と複数の未来人がタイムスリップしているのだろうか。「信長Oシェフ」だって、複数人がタイムスリップしている。


 それとも、おれたちのいた時代のように、タイムスリップなどSFの世界だ、フィクションだ、という概念がないのだろうか。


 おれも、未来人を探すべきなのだろうか?いいや、もしかすると、敵方に未来人がいたりして・・・。


 どんどん妄想チック、創作チックになってゆく。

 

 それこそ、これで手記でも書けるのではないのか?「実録!新撰組」、「リアル幕末巡り」、「新撰組とゆく京と江戸と蝦夷の旅」なーんて。


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