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ブラコン

「それで、どうやって大砲を喰いとめたのです?逃げ散った長州兵は、どうなったのです?」

「兄上が、砲手の一人を狙撃する間に、を詰め、隊列に脚から滑り込み、砲身を蹴り上げた。そのあと、兄上とともに、敵が逃げたとおなじ方向へ駆けた。「どかーん!」。思惑通り、大砲を破壊することができた。敵は・・・。敵の隊長をみつけだし、兄上が丁重にお願いした。退いてくれるようにな」



「いつも丁重にお願いしたっておっしゃいますが、脅してきいてくれるものなんですか?」


 丁重にお願い・・・。


「おらおら、おとなしく撤退してください。でないと、ぶっとばしますよ」的な?


「おねぇとおなじで、イマジネーションを働かせるべきだな、主計。誠よりも、想像のほうが面白き場合もある」


 おおっと、ひさしぶりにでるおねぇ。


 その一言で、思わず笑みを浮かべてしまう。


 同時に、かれらのいう丁重なお願いというのが、ときと場合によっては、超絶デンジャラスなものであることを、イマジネーションする。


「それで、なにゆえ、おんぶされることに?けっこう、かわいかったですよ」


 ここぞとばかりにイジッてみる。


 またしても、奇妙な間・・・。


「俊春殿、ほんっとに大丈夫なんですか?」


 立ち止まり、左斜めうしろにいるかれに、体ごと向き直る。


「だから、大丈夫だと申しておろう。昔、まだ餓鬼の時分ころ、熱がでたり腹が痛くなったりしたら、兄上はきまっておぶってくれた・・・」


 はぁ?フツー、そういうときって抱かないか?

 という素朴な疑問がわいたが、貴重な「ガキバナ」に、茶々を入れるのも無粋だろう。


「いい兄上ですよね?おれは兄弟がいないから、兄であったり弟であったり、そういう絆みたいなものがうらやましいです」


 とりあえず、そういってみる。


 が、かれらの意外な一面。かわいいエピソードにすこしほっこりしつつ、またあるきだす。


「ブラコン?」


 相棒の代弁者、俊春の呟き。


「なんだって?おい、相棒っ、だれもブラコンなんて思ってないぞ。なにをいってる?」


 しまった。いつも心の奥底にわだかまってることが、だだもれになってしまっているのか?


「ブラコンとは、なん・・・」

「あーっ、兄弟想いのことです。そう、兄弟想いのこと。お二方は、どちらもブラコン。お互いを想ってらっしゃる。なあ、相棒?」


 俊春の左脚下にいる相棒を、キッと睨みつける。


 なにいいいいっ!


 なんと、閉じていた口吻を開け、舌をだしてくる。


 それはあきらかに、パンチング呼吸じゃない。


「あっかんべー」だ・・・。


 い、犬がするか?三次元以外で?


 どんどん三次元現象が増えてってる・・・。



「ほんと、お二方はブラコンなんだからー」


 にこやかにいってるつもりだが、きっと、表情かおはひきっつているだろう。


 兄弟想い・・・。けっして嘘じゃない。けっして・・・。



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