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新政府軍には何かがいるのか?

 それともなにか?


 新政府軍は、魑魅魍魎を操るとか異世界からドラゴンを召喚したりとか、未来から「ターミネ〇ター」がやってきていてこちらに送りこんでいるとか、宇宙から「エイ〇アン」の卵が落ちてきてそれを孵化させているとか、あるいはアメコミのすべてのヒーローを味方につけているとかしているのか?


 いやいや、それだったら遺伝子操作で恐竜をつくりだしているとかもアリだし、過去からリアル恐竜をタイムスリップさせているかもしれない。


 さらには、封印されている凶暴兇悪な妖怪の封印を解いたとか、邪神を蘇らせたとか、そんなのかもしれない。

 

 さらにさらに、トランスフォームできる車を何台も所持しているとか、三分しか戦えない日本の誇るウルトラな兄弟を招いているのかも、だ。

 

 ダメだ。


 そんなもろもろのものより、この二人の方がよっぽど強そうだ。


「ちょっとまって。いったいなんだよ。きみは、おれたちをとことんやっつけたいのか?」

「そうだよ。いまのだったら、まるでぼくらが悪者みたいじゃないか。ねぇ、兼定兄さん?」


 俊冬と俊春にダメだしされてしまった。


 相棒までおれをにらみつけ、ダメだししている。


「そういう意味じゃない。兎に角、明日はのんびりしてくれ。一日くらい、いいじゃないか。海で波の音をききながら、カクテルを呑むとか。ああ、そうだ。コーヒーだ。あの「ザ・コーヒー」を呑みながら駄弁ろう。おれも付き合うからさ。きまりだ。本当ならホットでっていきたいところだけど、竹筒かなにかに淹れて海岸にもっていって、砂浜で日光浴しながらおしゃべりだ」

「えー、おれって無口だから、おしゃべりなんてムリだ」

「ぼくもだよ。内気だから、他人ひととおしゃべりだなんてムリだよ」


 せっかくのアイデアをソッコーで却下されてしまった。


「じゃあ、副長と女遊び。それとどっちがいい?」


 つぎなるだ。


 二人はまた、おたがいの相貌かおを見合わせた。


「女遊び」

「浜辺でコーヒー」


 すると、意見が割れた。


 俊春の「浜辺でコーヒー」は当然の反応だが、俊冬の女遊びにはふきそうになってしまった。


 さすがは副長の遺伝子を濃く継いでいるだけのことはある。


「わかった、わかったよ。きみのアイデアにのっかる。それでいいだろう?」


 二人は、ついに根負けしたようだ。


 俊冬がいい、二人と相棒はどこかに去っていってしまった。


 かれらはいったい、どこで夜を明かしているんだろう。


 その三人・・の背をみながら、つくづく不思議に思った。


 ひさしぶりに、軍服以外のものを着た。


 とはいえ、今日かぎりの限定版である。


 物資が不足している。ぶっちゃけ着るものがない。


 だれかが着ていたものを借りたって感じである。


 とはいえ、白いシャツにだぼっとしたズボンである。


 恰好的にはいつもとあんまりかわりはないし、ファッション性は皆無である。


 約束どおり、海岸にいってのんびりすることにした。


 それからのことは、臨機応変にかんがえればいい。


 かんがえた挙句、拳銃チャカと「之定」をもってゆくことにした。


 この日は安富と久吉と沢の仮部屋に泊めてもらっていたので、副長に挨拶にいくことにした。


 久吉と沢を誘うと、二人もくるという。


 安富は、もちろん残るらしい。


 三人でつれもって副長の部屋にいってみた。


 すると、俊冬と俊春と相棒もきていた。すでに「ザ・コーヒー」を竹筒にいれ、スイーツも準備してくれている。


 二人は、どこから調達したのか着物を尻端折りしている。


 二人とも、洋装になるまではずっとこんな恰好だった。


 そんなにまえではないのに、すっごく懐かしい気がする。


「感心感心」


 副長は、うれしそうだ。


 自分が休めるということより、社畜で超絶ストイックな俊冬と俊春が、ちゃんと休日を満喫するかもしれないということのほうがうれしいらしい。


 しかも、副長も監視するのにいっしょにいくという。


 副長もまた、軍服から一般的な白シャツとズボンに着替えている。おれとおなじように腰に「兼定」と拳銃チャカを帯びている。


 さっそく、出発した。


「ところで、なんでクロスボウを背負っているわけ?」


 あいかわらず、俊冬と俊春はおれをサンドイッチにしてあるいている。


 俊冬がクロスボウを肩にかけているので尋ねてみた。


「なにがでるかわからないからね」

「ふーん」


 なにがでるかわからない。


 たしかに、羆や狼がでるかもしれない。それから、敵の間者や協力者も紛れ込んでいるかもしれない。


 ってか、紛れ込んでいる。


 なにがでるのかわからない、というのはそのとおりである。

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