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あの映画スター

 その翌日、二股口にでかけた。


 メンバーは、副長と島田と蟻通と安富と俊冬と俊春と相棒とおれである。


 二股口での戦いは、土方歳三が新政府軍を二度も撃退したことで有名である。


 この戦いでの勝利は、土方歳三が人斬り集団「新撰組」の「鬼の副長」というよりかは、策略・用兵に長けた参謀であることを証明している。


 残念ながら、現代で二股口を訪れたことはなかった。


 山深く、羆のテリトリーであるがためにそう簡単にいけるものではないからである。

 個人での訪問は要注意で、現地のガイドさんに案内してもらうほうがいいようなことを、だれかのブログでみたことがある。


 ツアーなどに参加すれば、訪れることができるはずである。


 現代でも、このときの戦いの胸壁や土塁が残っているという。


 おれはそれを、TVなどの特集でみたことがある。


 それは兎も角、いま現在は当然のことながらまだなにもない。


 偵察をおこなった上で、はやめに土塁胸壁をつくって備えておこう、ということになったわけである。


 二股口までは、安富のお馬さんにのせていただいた。


 いまやすっかり「安富のお馬さん」になってしまっているお馬さんたちは、副長でさえのるまえにのせてくれるようお願いしなければならない。


 今回は、俊冬と俊春も現地まではお馬さんにのせてもらっている。


 自分の脚で駆けているのは、相棒だけだ。


 道中、俊冬と俊春と映画や漫画の話で盛り上がってしまった。


「もしかして、飛んでくる弾丸たまを「マトリ〇クス」みたいによけることができるかい?」


 ふと思いつき、そう尋ねたのがはじまりである。


「あの映画ってクールだよね」

「ぽちは、なんでもクールなんだな」

「うん。なんでもクールだから、つい真似したくなっちゃう。今度、やってみようか?つかんだり斬ったりするより、ずっと簡単だから」


 いや、あのよけ方も映画だからこそであって、リアルにできる者なんていないだろう?


「主演の「キア〇・リーブス」、かれもクールだよ」

「え?たま、会ったことがあるわけ」

「かれらのようなスターも大変だよね。大物スターは、狙われることなんてしょっちゅうさ。だから、ボディーガードとして雇われたりしたんだ」

「わお。かれはすっごくいい人らしいけど、実際はどう?」

「パパラッチが撮る写真とか、一般人がSNSであげているとおりさ。かれほど裏表のないスターはいないね。かれのまえで「マト〇ックス」でのかれの真似っこをしたら、すっごく大うけだった。何度もやらなきゃならない羽目になったよ」

「すごいな、きみたち。ほかにはだれのボディーガードをやったんだい?」


 馬首を並べる二人は、だれもがしるスターの名をつぎからつぎへとあげていった。


 かれらがそんな大スターのボディーガードをやっていたなんていうことも驚きであるが、それ以上に大スターたちが日常茶飯的に生命いのちの危険にさらされたり、プライバシーを脅かされているということにも驚いてしまった。


「アメリカの大統領もお得意様だよ。シークレットサービスは、どうしても目立ちすぎるからね。もちろん、アメリカだけでなくほかの国々からも依頼があったけどね」

「殺し屋みたいなのに遭遇したりするわけ?」

「それは、映画の世界だね。実際は、テロ組織の一員がほとんどだよ。金で雇われる世界一のヒットマンとかは、そういう系の仕事ではなくギャング間の抗争でつかわれることがおおい」

「すごいな。どちらにせよ、日本ではあまりないことだよな」

「日本は、まだ平和なほうさ」


 俊冬は、つくづくそうだよなって感じでいう。


「それで、二股口の件についてはどうする?」

「そうだな。きみからだいたいきいているから、地形をみてからできるだけ史実にそって策を練るよ」

「二度とも撃退すればいいんだ。史実に添わなくっても、きみオリジナルでもいいんじゃないか?」

「じゃあ、また「キ〇グダム」にする?」

「たま、きみらはマジでアニオタだよな」

「日本語の勉強になるし、いい息抜きにもなる。なにより、参考にすればたいていのことはまかなえる」

「パクリだよね、パクリ。スパイ映画なんて、最高にいい材料ネタがそろってる」

「ぽち、じゃぁなにかい?飛行機から飛び下りて潜入するとか、めっちゃ高度なセキュリティーシステムを、ギリな状態でかいくぐるとかやっていたんだ」

「あれは映画だからね。観客をハラハラドキドキさせるには、あんな程度だろう。実際は、あんなにうまくいかないさ。もっとハードだから」


 なるほど、実際は映画などの設定をも凌駕しているわけか。


 まあ、この二人なら当然だな。


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