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副長の血液型は何型?

「A型は几帳面でやさしく、中途半端が大嫌いです。織田信長がA型だといわれています。好きな人には意地悪だったり、キレたときには暴言を吐くという特徴もあります。B型は、個性的です。興味のあることにしか関心がなく、楽天家でちょっととっつきにくい面はありますね。伊達政宗だてまさむねがB型だったといわれています。AB型は、一番すくない型です。A型とB型、両方の面をもっています。几帳面で真面目で天才肌なのに教えるのは嫌で……。上杉謙信うえすぎけんしんがAB型っていわれています」


 一般的な血液型の特徴を伝えると、途端におたがいの批評をはじめてしまった。


「だとすれば、たしかに土方はO型以外のどれもがあてはまりそうだな」

「おハゲ先生もですよね」

「鉄っ、やめないか。おハゲ先生って、失礼すぎるだろう」


 市村と田村は、丘でそう呼んでから松本のことを「おハゲ先生」と呼んでいる。いくら当人がいいといっても、いくらなんでもひどすぎる。

 それに、「お」をつければ失礼や無礼の度合いが減るものではない。


 かえって馬鹿にしている感がぱねぇ。


「勘吾さんは、AB型ですよね」

「ちがいない。自身でもそう思う」


 中島の言葉に、蟻通は笑う。


 たしかに、才能はあっても人に教えるのは嫌という性格はAB型にぴったりだ。


「それで、たまは?たまはどうなの?かれはO型じゃないよね?A型かな?いや、ABっぽい感じもするけどB型って気もするし……」

「本人にきいてよ」


 俊春にしれっとかわされてしまった。


 副長にそっくりなだけあって、俊冬もO型以外のどれでもあてはまりそうだ。


 というわけで、仙台に到着するまで血液型別の性格診断っぽい話題で大盛り上がりした。


 なんか修学旅行みたいな奇妙なノリであった。


 でっ結局のところ、副長の血液型は何型なんだろう?




 さきに俊春が仙台城にいって副長に会い、指示をもらってきた。


『予定通り、仙台城で頭でっかちどもを相手にひと暴れしてやった。そいつらが『新撰組は、仙台城下には一歩たりとも脚を踏み入れるな』とふざけたことを抜かしやがるから、ひとまずは白石城下に宿をとっている。そこでおち会おう』


 俊春の形態模写は完璧である。まるでそこに副長がいて、直接命じられているようだ。


 松本も大鳥も驚いている。

 しかも、大鳥などは大喜びしている。


 白石城といえば、「独眼竜」こと伊達政宗の片腕の片倉景綱かたくらかげつなが賜った城である。


「ならば、おれはこのまま別れて仙台城にいったほうがいいだろうな……。いや、まあいいか。むこうもおれがいくってことはしらねぇし、まってるわけでもねぇ。一日二日おくれたところで、どうってこたぁねぇな」


 松本が自問自答すると、俊春が笑って提案した。


「にゃんこかぼくがお連れします。どうか、ぎりぎりまでともにおすごしください」


 それから、俊春は前方にいる桑名少将にも行き先を告げにいくという。


 かれは社畜みたいなものである。

 現代人らしい、とつくづくかわいそうになってしまう。


「きみにツッコみたいところだけど、社畜のぼくにそんな時間はないからね。スルーさせてもらうよ」


 おれの心を盗みみたモラルのない俊春は、そうささやくと、ジャンプ一番あっという間に樹の枝の上に飛び移ってしまった。


「だから、きみの場合は盗みみたり探ったりなんてこと必要ないんだってば」


 俊春はバツが悪いものだから、そんな捨て台詞を残して枝から枝へと飛び去ってしまった。


「なんだよもうっ!ノリが悪いんだから。なぁ、相棒?」


 左脚許のいつもの定位置をみおろした。


 相棒はこれまでのような塩対応ではないものの、めっちゃしらーっとした双眸でおれをみあげている。


『程度の低い人間ひとめ』


 そんな風に思われていたらと想像すると、悲しくなってしまう。


「よしっ!白石城下にまいるぞ」


 島田の号令以下、移動を開始した。


 白石城下は、若松城下と比較してまったく様子がちがう。


 まぁ、目と鼻のさきに敵軍がひしめきあっているわけではないし、すでに恭順するという噂は流れているだろう。ということは、白石城下ここはすくなくとも戦火に見舞われることはない。

 人々もそこまで追い詰められている感はないだろうし、実際、人々からそうとは感じられない。


 おれたちは、俊冬が手配したといういくつかの旅籠に分宿することになった。


 とはいえ、それも数日のことである。史実では、この数日のうちに折浜というところに移動することになっているからである。


 江戸を脱出した旧幕府軍の軍艦が、そこに集結しているからである。


 それは兎も角、おれと相棒は松本といっしょの旅籠に泊まることになった。




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