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地獄門使いの異邦人〈エトランジェ〉  作者: 織田昌内
第四章 神の目覚め・・・消滅
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銀色の不安(一)

「ふあ〜」


 おはようございます。


 今日もいい朝ですね。


 昨日夜更かしをしたせいでまだ眠たいですが、最近はなるべく早く起きるようにしています。


 朝食を作る手伝いをしたいからです。


 まずは寝巻きを脱いでから動きやすい部屋着に着替えます。


 王城で暮らしていた頃はナターリャさんにいつも着替えを手伝ってもらいましたが、今はそんなことありません。


 わたくしは独り立ちしないといけませんから。



「おはようございます、みなさん」


「おはようございますシルヴィー様」


「おはようございます」


 台所に向かうとすでにナターリャさんとメレオラさんが料理をしていました。


 リーニアは・・・まだいませんね。


 今日も遅れてくることでしょう。


 このお屋敷に来てから毎朝剣夜さんと剣の特訓をしているので汗を拭いてからやってきます。


 正直とても羨ましいです。


 特訓を終えた後のリーニアはとても綺麗な笑顔を見せてくれますから・・・


「おはようシルヴィー」


「おはようリーニア」


 リーニアがやってくると料理を作る速さがぐっと上がってあっという間に出来上がってしまいます。


 わたくしはまだお皿を出したりテーブルを拭いたりすることくらいしかできませんが・・・申し訳ないです。



 このお屋敷ではみんな集まって朝食を取るようにしています。


 その時に今日の予定などを話し合います。


「私は一日中書庫にいるわ。昨日面白い本を見つけたのよ」


「夜更かしはあまりするなよ。クマができてるぞ」


 確かにサフィーレさんの目元がうっすらと黒みがかっています。


 もしかしてわたくしも・・・


「いいでしょ別に。それとも剣夜が私を寝かせに来てくれるのかした。もしくは寝かせてくれない、とか」


 そ、それってつまり・・・は、破廉恥ですよサフィーレさん。


「食事中にそんな冗談はやめてくれ」


「そうじゃぞ。剣夜は儂と寝るんじゃからな」


「あら振られちゃった」


 サフィーレさんは諦めてくれたようですが、今の赤姫さんの言葉の方がよっぽど危険な気がするのはわたくしだけなのでしょうか。


「あの剣夜さん。今日もどこかへ行かれるのですか?」


「ああ。ちょっと一人で行きたいところがな」


「そう・・・ですか」


 ここ数日はいつもこんな風に言われてしまいます。


 もしかして避けられているのでしょうか。


 わたくしが先日無理なお願いをしてしまったから・・・


 なんだか心がもやもやとします。



 結局朝食をとった後、剣夜さんはどこに行ってしまい、わたくしはまた置いてけぼりです。


 仕方ないので今日も研究棟で新しい魔道具を開発しようと廊下を歩いていると、ちょうど書庫から出てきたサフィーレさんと目が合いました。


「あら。また剣夜に置いていかれちゃったかしら」


「・・・はい」


 わたくしが気にしていることをズバリと言い当てるところが実にサフィーレさんらしいです。


「剣夜もひどいわね。婚約者をほったらかしにするなんて」


「いえ。わたくしは気にしていませんから。それに、婚約者というのもわたくしが勝手に言ってるだけでして・・・」


 ここにいるのもほとんどわたくしが無理にお願いしたからですし。


 わたくしがただわがままなだけなのでしょう・・・


「浮気でもしてるのかしらね」


「えっ・・・」


 ・・・


「・・・浮気、ですか」


「そういえば昨日、剣夜とナターリャさんが二人で王城に入っていくのを見たわね。密会でもしてたのかしら」


 そ、そんな・・・


 二人ともそんなことは一言も教えてくれませんでした。


「剣夜は幼女しか愛せないのかと思っていたけど案外守備範囲が広いのね」


 剣夜さんがナターリャさんと・・・


 ・・・


 ・・・ですが、剣夜さんの気持ちも分からなくはありません。


 女の私から見てもナターリャさんはとても綺麗ですし、それに・・・胸も大きいですし。


 正直わたくしに勝ち目があるとは思えません。


「サフィーレさん」


「何かしら」


「わたくしに魅力はあるのでしょうか」


「そうね・・・」


 今更そんなことを聞いてもどうしようもないことは分かっています。


 それでも、どうしても諦めがつかないのです。


「たとえあなたに魅力があったとしても、剣夜は超がつくほどの奥手だからあまり意味はないかもしれないわね」


 たとえという言葉を使われた時点でわたくしに魅力がないと言われたような気がしますが、サフィーレさんが言ったことには同意します。


「でしたら、どうすれば剣夜さんはわたくしに振り向いてくれるでしょうか」


「剣夜のことが本当に好きなのね」


「は、はい」


「正直ね。誰かさんとは違って・・・」


 正面からそう言われるとものすごく恥ずかしいですが、それ以上に剣夜さんへの想いが勝っているんだと思います。


 それがたとえ・・・叶わない恋であったとしても。


「・・・羨ましいわ」


「えっ」


 今サフィーレさんが何かを言ったような。


「ごめんなさい。それで剣夜を振り向かせる方法だったわよね。それならお姉さんに任せなさい」


「よ、よろしくお願いします」


 少し不安な気もしますが、サフィーレさんの意見を是非参考にしたいと思います。

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