主人公と元主人公と正座女子
ギリセーフ。
このページを開いていただきありがとうございます!
5/15 (火)ほーかご 職員室
こちらの顔を伺うような源先生。
「本郷くん、体調はいかがですか?」」
「心配をお掛けしました。もう風邪も治りました」
俺はもちろん、ダイナストに所属していることは隠している。そもそもダイナストの天災級です。何て言っても信じられないだろうけど。
「そうですか!それは良かったです。
話は変わりますが……」
顔を近づけ周囲を伺うように切り出す。
「最上さん、迷惑をかけてないかしら?昨日も部室に行ったらカメラと変な機械がドアに付いてたんだけど」
あんの馬鹿。やっぱり、教師にバレてんじゃねーか。
「直ぐに取り外させます。なので部室の使用許可を取り消すなんて事は」
「それでね、部室内なら不問にするそうよ」
困惑顔を見て、少し嬉しそうにあのね、と説明する。
「学園長がじきじきに言ったみたいなの。嬉しいわ、器の広い学園長の判断が」
学園長はダイナストの長が担当している。つまり、一匠さんーーー!!!絶対アレだよ。女の子がいて青春出来るな!とかいらないお節介焼いただけだよ!
更に先生はあのね、と続ける。
「私は最上さんが機械をいじっている時の顔が一番好きなの。だって、とっても輝いているでしょ?
人はね、好きなことに夢中になっているときが一番楽しくて一番輝いているの
だからね先生は、生徒の皆が輝けるようになって欲しいの
…なんてね、恩師の受け売りだけど」
確かに彼女は行きすぎな所があるが、それは1つの長所かもしれない。まあ、だからと言ってなんでも許されるわけではないが。
そのあと俺は別れを告げ、部室に向かった。
部室につくとなぜか聞き覚えのある笑い声が聞こえてきた。
「スゲー!こんな設備本部以外でみたことねぇ!」
「この機械の魅力分かる!?ありがとう!!その本部ってどこですか?」
「ん?アイツ言ってないのか?そこは「おいっ!」」
危ねぇ。アイツ油断も隙もないな。
部室を見渡すと、案の定めんどくさい野郎が最上と仲良く会話をして、畳の端っこに小さく座る女子生徒が一人いた。
「おいキング、口が軽すぎるぞ」
「おっ、ソウ!久しぶりだな」
キングと呼んだこの男は、銀髪ラノベイケメンハーレム元主人公の対神………えーとなんだっけか?忘れてしまった。
柔和に微笑むあの野郎に一発殴りたい衝動に駆られるが、他人の目もあるので、自制する。
「久しぶりだな、じゃない。何しに来た?あの妻たちはどうした?そもそもどうやって来た?あとは」
「あー、ちょっと待ってくれ!いっぺんに言われても対応できない。だからひとつづt」
「じゃあ1つ。余計なことは喋るな」
「…余計なこととは、全部か?」
「余すことなく、全てだ」
数秒にらみ合いが生じたが、別に仲が悪いわけではない。端から見れば、一触即発の雰囲気だが、キングはふっと顔から緊張感を抜く。
「わかったよ」
「ねえ、操くん、この人誰?知り合いだよね?」
は?待て。最上さん?貴女さっきまで意気投合してませんでした?何で名前知らないの?あとキング、声を圧し殺して笑うな。あと、畳の端に正座待機している女子よ、喋らないし、影薄すぎて存在感が無くなっていた来てるんですけど!
「キング、自己紹介」
「俺の名前は対神 勝真操也からはキングて呼ばれてる。大親友さ!」
ええい、肩に腕を回すな。そんなアピールいらない。
キングは、そのまま首を捻り正座女子に向いた。
「ねえ、君は名前何て言うの?」
「え、えっと私のなっ名前は、加佐伎游奈です。1年E組です。よろしくお願いします」
同じクラスだったのか、知らなかった。そしてなんだろう、この漂うコミュ症感と根暗陰キャ感。少しシンパシーを感じてしまう。
「はーい!私の名前は、1年B組最上可憐です!」
よろしくー、游奈ちゃーん!と、最上が駆け寄っていき、それに戸惑う加佐伎を尻目に小声でキングに問う。
「何しに来た?」
「各地で異常発生が多発している。多分2,3年したら書き変わる。お前が今は主人公だから、戦力になりに来た」
「妻たちは?」
「全員でこっちに引っ越しさ。トラブルのせいで1ヶ月転校するのが遅れたけどね」
「全員?」
「彼女たちは転校しないよ」
「彼女はどうして連れてきた?」
「君を探して図書室に行って探したら、君に会いたがっててね。連れてきた。あの最上って子は?」
「成り行きだ」
「そうじゃないあの機械だ、一般人にしては」
「知りすぎだし、異常なことは知っている。だから目の届く範囲でやらせている」
「ダイナストに連れていかないのか?」
「身バレしたくない。自然な理由が見当たらない」
「なんで自分のことが先に出るんだよ。分かった、なんとか一匠さんに出来ないか相談してみる」
加佐伎と話していた最上が急にこちらを向いた。
「ねえー操くーん!游奈ちゃんが何か用があるんだって」
えっと、その 、と急に話を振られあわてふためく加佐伎。
「ほ、本郷君、と、図書委員になってください!」
勇気を振り絞りすぎた彼女の声は、部室中に響き渡った。
自分でも想像以上の声が出たのか、赤面していく加佐伎。
その声を至近距離で浴び、気を失った最上。
声が大きすぎて、意味を理解できない俺とキング。
部室の時間が止まった。
次こそは、もう少し長く書けるように頑張ります!
…
…
…
頑張ります!