始まりの下準備
初投稿です。
何卒、多目に見てやって下さい。
感想は、ダメージを与えるなら具体的にお願いします。
では、どうぞ
[ダイナスト]本部大会議室、そこは、大人なら50人は入れそうな部屋で、照明で明るく照らされ、中央には円形のテーブルがある。
会議をしている6名(2席空席)は、名実共に人類の最高レベル[天災クラス]で、今日は月に一度の会議のはずだった。
議題が、[操也の学園生活に青春の1ページを!]じゃなかったら。
当事者をおいてけぼりで、会議は始まる。
「それでは、会議を始めます。」
※※※※※
5/6ある昼下がり
事の始まりは、会議が始まる前のちょっとした雑談だった。
「操也、学園生活が始まって1ヶ月経つがどうなんだ?」
そう明るく聞いてきたのは、黒雨一匠。
彼は、実質この会議の中で一番の実力者。筋肉質だが長身で、髪は墨をぶちまけた様に黒髪で、雰囲気からしていい人感満載。
「どうせ、教室で1人寂しく本読んでるんだろ。」
テーブルに足をのせた金髪の細身の男性で、雷門鳴斗。
彼は絵に描いたような実力主義。能力と同じで、いつもピリピリしている。
「雷門さん、足を下ろしてください。でも、私も気になりますね、どうなんですか?本郷くん。」
ニコッと笑いながら聞いてくるのは、縁なし眼鏡をかけた若い男性で綾宮文義。
「ほれ操也、嘘偽りなく言うてみ。儂は怒らんぞ。」
なぜか悪いことをした前提で聞いてきたのは、還暦を越えた白髪の男性で、佐山大悟。
和服の中には無駄の無い筋肉が隠れている。
「観念して全部言いなさ~い。好きな子とか、気になる子とか。」
そう俺にデリカシーの無い発言をしてきた彼女は、
桔梗舞歌さん。髪は薄いブラウンの長髪で
大きい、何がとは言わないが、大きい。あと、若い。重要なのでもう一度、彼女は若い。
そんな彼女は、髪を弄りながら興味津々の眼で俺を見つめてくる。
聞かれて答えるのは正直な感想、ごまかす必要がない。
「そうですね…強いて言えば、張り合いもなく面白くもない。
ただ、自分の正体がばれないように生活するだけですね。」
自分の正体が[ダイナスト]の8人しかいない[天災クラス]だなんて、バレると俺の目標である高校生活は平穏で静かに送る。が、達成できなくなってしまうからだ。
そんな俺の感想にウンウンと首を縦に振りながら聞いていた一匠さんは、おもむろに
「そうかそうか、それはつまらないなー」
棒読みで喋る彼を見て、俺は訝しい目線を送る。
俺の目線なんか一瞥もくれず、一匠さんはもう輝かんばかりの笑顔で
「それは、つまらない!なんてったって高校生だぜ!甘酸っぱい青春や苦楽を分かち合う友、そして心身を高め会うライバル、そんな輝かしい青春の1ページを作らずして何が高校生だ!?君には、そんな灰色の青春を過ごしてほしくない。な・の・で…」
「なので?」
正直、聞きたいと思わないが思わず復唱してしまう。そんな俺の反応が嬉しいのか、声高々に
「今日の会議の議題は、[操也の学園生活に輝く青春の1ページを!]に決定します!」
死刑宣告してきた。
※※※※※
ここで、最初の発言に帰る。
「あの、一匠さん?俺常日頃から言ってますよね?平穏で静かに過ごしたいって。第一、輝く青春の1ページって何ですか?」
俺の抗議もとい発言に
「どうせ、君の事だ。学園では誰とも関わろうとしないだろうし、戦闘だって手を抜いてるだろ?つまり、ボッチだろ?」
グサッと、俺の胸に突き刺さるセリフだった。
だって、友達の作り方何て知らないし、戦闘で目立ちたくなんか毛ほどもないし、なんて心のなかで言い訳をしてると
「そもそも、君はこの年まで学校なんて行ってないんだ。このままだと同世代の友達がいない歴=実年齢になってしまう。そこで我々が考えたのは、<人助け部>だ。迷える子羊の悩みを解決し、友達を作ってほしい」
「悩める学生が、目の前にいるんですけど…」
しかし、一匠さんは気にも止めない。
「しかしな、もう既に昨日の時点で可決されているんだよ、繰也。君は、明日の月曜日から、<人助け部>を設立し、精を出したまえ。ちなみに拒否権なんか無い。もし、明日設立出来なかった場合には、給料を1/4にさせてもらうから。」
え?昨日?給料?その前に可決済み?頭の中でくるくる回り軽くパニック状態を引き起こす。
「昨日、臨時会議を開いて君以外の7人満場一致で可決していてな。
実は、今日は会議と言うより報告だけだったんだよね」
驚愕の事実に頭は追いていかず、頭の中は<人助け部>、明日設立、給料1/4と3単語がクルクル渦を作っていた。
いつの間に解散したのか、気付いたときには大会議室は誰もおらず、残されたのは俺一人だった。
※※※※※
5/7 夕方
次の日、俺は盛大に頭を悩ませていた。そう、悩ませ過ぎて、先生に名前を呼ばれても分からないほどに。
「本郷くん?聞こえてますか?」
「?はい、おはようございます」
「おはようございます?寝ぼけてますかあなたは」
は?おかしな事聞くなよ先生。今、4時。まだ4時じゃないか…
「あれ?もう4時!? あれ、そしたら今日俺は…」
「本郷君、このあと職員室に来てください」
小さな笑いがクラスから漏れる。くっそ、変に目立ってしまった。
HRが終わり、生徒が教室から出ていく。
「繰也ー、今日はどったの?」
馴れ馴れしく話しかけて来るこいつは、近藤芸夢。俺みたいなぼっちに入学式から、声を掛けてくれる良い奴だ。遠慮さえあれば更に良いのに、とゆう俺の切なる願いは、この一ヶ月でもう諦めた。ちなみに、芸夢は改名したらしい。
「いや、何もないよ。心配ありがとう。」
「そうか、なんかあったら俺に相談してもいいぜ!」
また明日な、とあいつは元いたグループに帰っていく。やっぱりお人好しなんだろうな。
明るいし、人当たりもいいし、よくしゃべる。そんなことを思いながら職員室に向かった。
「本郷君珍しいですね今日は。ずっと心ここにあらずって感じでしたよ」
この女教師は、源 涼香
先生。俺の担任で、色々主任や顧問を務める怪物先生…色々?
「先生、確か生徒会の顧問も任されてましたよね?」
「なんですか?藪から棒に。まぁ、人員が少ない今私が
生徒会の顧問も兼ねていますけど、そんなことよりどうしたんですか今日は」
この先生押しに弱そう。周りには他の教師もいる。周りを巻き込む演技をすれば後押しとして充分。
「ええとですね、先生。先生にしか僕のこの現状を打開できる人がいないんですよ。」
「?だから何を言って」
「僕は、この1ヶ月色んな生徒を見てきました。そして、
確信しました。僕は宣言します。<人助け部>を作るべきです。能力が有る無しで悩みを抱える人が多い世の中。トラウマやコンプレックスを抱えていきる人は少なくありません!そんな人達を助け導いていきたいのです!ですので先生、<人助け部>設立にご協力下さい。」
もう頭の中では、拍手喝采だった。よくもまぁ、ぬけぬけと嘘がつけたもんで。自画自賛しながら、よろしくお願いします。と大きな声でお辞儀する。
するとパチパチと隣の先生が拍手していた。やがて、伝染し職員室中が拍手の嵐だった。
よく言った!先生応援してるから!等と教師陣が、喜びに満ち溢れてるなか、源先生は、泣いていた。
「ぐすっ、うっ、君は本当に良い生徒だ。物静かな子だからこんなことを言う子だなんて…私にはもったいない。賛同者はいっぱいいる。直ぐに生徒会に申請しに行こう」
嬉し涙を流す源先生と共に、一階から三階の生徒会室に向かう。俺は笑みが止まらなかった。ポーカーフェイスが得意じゃなかったら、お腹を抱えて大笑いしていただろう。
生徒会室は、長机が2つ並べてあり、パソコンが2台、左右の壁には雑貨や書類等の入った棚があるだけのシンプルな部屋だった。
「赤咲さん、部活動の申請をしたいのだけれども、今大丈夫?」
「大丈夫に見えますか?今忙しいのですけど」
先生の問いにも顔を向けず、黙々と作業を進める紅髪の彼女は、3年生で生徒会長のあかさきさんと呼ぶらしい。らしいとゆうのも、胸元のリボンが赤色で (学年によって色が違う、ちなみに1年生は青)、ご丁寧に生徒会長と書かれた腕章を付けてた。
「何であなた一人でしてるの?」
そう、部屋には生徒会長以外誰もいない。放課後といっても生徒会長1人というのは些かおかしく見えた。
生徒会長は、苦虫を潰した様に顔をしかめた。
「私が他の役員を帰らせたら、先週が期日の書類が見つかってしまい片付けているところです」
そう言うと、生徒会長がジーっと、何か訴えかけるような目つきで
遂に耐えきれなくなった俺が口を開き恐る恐る
「大変そうですね。手伝いましょうか?」
それを聞いた瞬間の先輩の顔は、劇的に変化した。
「本当?人助けが好きなんだね~ありがとう。それじゃあこの書類をヨロシク~。
あっ、ついでに先生も手伝って下さい~。」
悪魔のような笑みに変貌した。つーか、先生まで仕事押し付けるなんて、案外スゴいな。
まぁ、俺は会議で書類の整理なんかよくするからな、なにも難しくない。なので、馴れた手つきで作業を進めていく。源先生も泣き腫らした目で、パソコンを使い作業をしているようだ。
結局、下校時間まで与えられた仕事は終わらなかった。
俺は、資料を整理するだけだったが量が尋常じゃなく、源先生や、生徒会長は燃え尽きていた。俺?量が多いだけでやることは変わらないので体力はまだまだ残ってる。冷静に状況を確認していると、ゾンビみたいにむくりを起き上がった先輩が
「本日の君の仕事に免じて、<人助け部>の設立を許可します…ガクリ」
「良かったですね。本郷君、<人助け部>設立と初仕事おめでとう…ドサリ」
あの、二人とも大丈夫ですか?何て俺の言葉は届かず、寝息をたてて沈んでいた。このまま、帰るのは忍びないので、椅子に掛けてあった毛布を二人にかけ生徒会室をあとにする。
思わぬ事態で遅くなりはしたが、今日の報告のために俺は[ダイナスト]に向かう。
~本部にて~
「何とか部の設立してやりましたよ。これで、給料下げないでくださいよ!」
「あぁ、その事だが1つ頼ん「嫌です」」
面倒な臭いしかしない。これ以上仕事を増やしたくないので、速攻で断ち切る。
「なに、そんな面倒じゃないさ、スカウトを頼みたい。とゆうのも今人材不足なのは分かっているよな?なので、君の学園で優秀な能力者や、研究者がいたら、可能な限りでいい。報告しといてくれ」
「タダ働きですか?」
「いや、特別報酬をだそう。やってくれるか?」
「いくら出します?」
「1万だな」
「そうですね。人材不足はよくないですね。[ダイナスト]を代表してスカウト頑張ります」
かくして、俺は特別報酬に目がくらみ安請け合いしてしまう。
だって、お金は大事だよ。
今日を境に、俺の望む平穏な学園世界は幕を閉じて、平穏じゃない生活が幕を開ける。
能力ない?これは、あくまで下準備です。亀更新な上に、ダメージを負いすぎると死んじゃうかもしれません。適度に嬉しい感想を待ってます。