撤退戦
撤収途中、レジスタンスの兵士がキョロキョロと何かを探していた。
「何をお探しで?」
隠れた状態で話しかけたために、レジスタンス兵に驚かれてしまった。
「うわ!、だ、誰……あ、ああユタラさんでしたか、実は兵舎襲撃部隊が執拗な追撃を受けているので、撤退を支援してほしいとの事です。」
向こうは一人でも多く手を借りたい状態か、敵の数も多いだろうな、だからといって断るわけにもいかない。
「了解した、案内してくれ。」
「こちらです。」
森を駆け抜け、平原に出るとそこではレジスタンスとガンド軍が死闘を繰り広げていた、
この様子だとこのまま逃げたらそのまま拠点に攻め込まれる可能性があるため、ここでガンド軍を撒かないと撤退が出来ない状況になっている。レジスタンスはガンド軍の数の多さに押され、防戦一方になっている、形勢を逆転させなければ前線が崩壊するだろう、前線は後数十分が限界だろうし、敵の指揮官も人数がそこそこいる、この場合は相手に「これ以上は軍を維持出来ない。」と思わせなければならない、そのためには伝令と後方と前線の間にいる指揮官を消せば前線全体を支えれなくなる。
「アルス、ハルス、ゼドラ、中間の指揮官を消せ、アゼムと俺で連絡役を消す。」
指示を受け、アルス、ゼドラ、ハルスは高台に、アゼムとユタラは戦場の左右に回り込む。
「ハルスは手前を、アゼムは中央を、俺は奥を狙う。」
「「了解」」
それぞれ狙い易い地点に行き、指揮官を撃ち始めた。
「俺は前線に向かう奴を、アゼムは報告に行く奴を撃て。」
「了解です。」
ユタラとアゼムも目標を撃ち始めた。
アルス視点
(まずはあの剣を振り回してる馬鹿か)
アルスは伏せ、目標を標準の中央に入れ、遠方を狙うと弾道落下が発生するので頭の中で弾道計算をする。
アルスは息を止め、ギリギリまで引き金を引き絞り、指揮官が動きを止めた瞬間に引き金を引く、
銃身から発射された弾は斜め上に飛んでいき、徐々に上昇するのを辞め、下降していき、吸い込まれるように指揮官の頭を貫いた。突然指揮官が戦死した為、戦死した指揮官の持ち場に動揺がはしっている。
(まず一人、次は…)
アゼム視点
アゼムは伝令の移動ルートを走っていた………追われながら。
「くっ…徐々に人数が多くなっているだと……!、ハアっ!」
前に割り込んでくる兵士を一度斬りつけガンド兵が防御している間に走り抜ける、これを繰り返しているだけで既に本物の伝令は後一人となっている、原因はアゼムが伝令が少し戦場を離れた伝令を殺し、殺した伝令の服を着て戦場に入るせいで本物の伝令が戦場に入ると追われていた伝令と勘違いされ、味方に殺されてしまうのだ。
「そこぉ!」
アゼムの姿を確認し、一瞬動きを止めた伝令に銃撃を加える。
「よっしゃ!」
(離脱や離脱!)
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ユタラ隊のおかげで現在レジスタンス側が優勢に立っている、これに対しレジスタンス兵舎襲撃部隊隊長はライフル隊を投入、ガンド軍には動揺がはしっており、レジスタンス側は最後の決め手を欲している。
だがガンド軍も何もしないと言う事はなく、ライフル、ユタラ隊に対しボウガン部隊を大量投入、意地でもどちらかの部隊を壊滅させるつもりだ。
「木に隠れろ!、各自ボウガン部隊を撃て!」
「左側から回り込んで来てるぞ!」
「回り込ませるなぁ!」
「岩陰に隊長格!」
幾ら銃を所持していようと数に押されればどうにもならない、
「ぐっ!」
「ハルスが負傷!。」
ゼドラがハルスの右肩に止血を施す、矢は無理に抜くと却って傷が悪化する為抜かずにおく。
「伏せろぉ!」
ユタラが見たことの無い兵士を確認し、その兵士は何かを唱えていたためその兵士が魔法を使おうとしていると認識し、伏せろと叫ぶ。
一瞬の間を置いた後、アルスの近くに着弾する。
「アルス!無事か!」
「問題ない!」
アルス視点
「問題ない!」
(とは言うもののかなり痛い、これじゃ走れないな。)
ヒュン!、と顔の近くを矢がかすめる、アルスに限らずユタラ隊全員がガンド兵の表情が見えるところまで押し込まれている、ここまで来るとボウガンの精度も馬鹿にならず、顔を出せば十本の矢が飛んでくる、
(どうしたものか……)
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「ユタラ隊!今のうちに下がれ!」
劣勢に立たされていたユタラ隊に対し、遊撃隊が救援に駆けつけ、ボウガン部隊に突撃する。
ユタラ隊は満身創痍で戦闘続行が困難な状態の為、後退する。
「ハルス、しっかりしろ、大丈夫だからな。」
「……す、すまない…。」
アゼムが負傷して意識が朦朧としてきているハルスを背負い、励ましながら下がり、
「何が問題ないだ、ボロボロじゃないか。」
「ボロボロなのは隊長も同じだろう。」
ユタラとゼドラがアルスに肩を貸し、後退する。
この頃、ライフル隊はボウガン部隊を押し返していた。
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「ここでレジスタンスを逃がす訳にはいかん、トロール隊を呼べ、国にレジスタンスが勝てないと教えてやらんとな。」
ガンド軍指揮官がトロール隊と言うと周りがどよめいた、「また、あの惨劇が起こるのか。」と。




