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RCC シェパード ディグニティ  作者: セロリア
1/27

活動

季節、2月。





東京。





若頭「もっと酒持ってきてー」




嬢1「凄~い、若強~い」




若頭「へっへ~、そうだよ~?私は結構お酒強いんで~すよ~」




VIPルームの一角を貸切り、組員をまばらに配置している。





嬢2「若~あたしには~?」




若頭「はいはい、君にもドンペリ~・・3、いや!4本いっちゃう!」




嬢2「やたー!さっすが~嬉しい~!若~ありがとう~私~きゅんってきちゃった~」 腕を組まずに、肩で寄り添う。




嬢1「は~い、どうぞ~」 若にドンペリを注ぐ。




組員1「頭、そろそろ・・」




若頭「ええ~まだいいじゃな~い、ね~?」





嬢1、2『ね~?』





組員1「・・わ、分かりました」






暫く飲んだ後、べろんに酔っ払った若頭と共に、ロイスに乗り込む。





車が発信する。





若頭「例の件、どうだ?」 車に乗り込んだ途端に真顔になった。





組員「は、既に、全部手配済みです、ガサも一昨日済んでます、明日入る事はありません」





若頭「成功したら、警部さんに包渡してやれ」





組員1「へい」






若頭「この取引で魚虎会はもっと上に行く事になる、しっかりやるんだぞ」





組員1「へい!」





車は橋を渡っていた。





若頭「ん?おい・・こっち道あってんのか?」





運転手と助手席の男は無言。






組員1「おい!頭が聞いてー」 〈ス〉助手席の男が右手に何かを握り、こっちに向けた。





組員1「頭!」庇う。




若頭「ちいい!」 懐から拳銃を取り出しー、〈ポロ〉銃が手から落ちた。《プシュ》 透明なシールド展開。 後ろと、前を、遮断した。




組員1「何だ?何か体が・・」





若頭「・・やられた、あの女共・・」





組員2「事故で死んで貰う、安心しろ、ちゃんと死体はある・・先に沈んでるがな」





若頭「馬鹿な?今朝はちゃんと・・いつからだ?」





組員3運転手「あんたが嬢と飲んでる時、トイレに来た奴らを片っ端からね」





若頭「馬鹿な・・確認はした筈だ・・」





組員2「まあ、客として最初は潜ったしな」





組員3「確認しなきゃ~客全員さ」





若頭「くっそ・・」






組員2「じゃ」 スキューバダイビングの装備をつける。





組員3「そういう事で」





若頭「待て!冥土の土産に教えてくれんか?俺は誰にやられたんだ?」






組員2「・・」






組員3「すまんな、俺達も知らないんだ」





若頭「ふ・・そか」




組員1「頭あ・・」





《ドガアアアアアアアアアアアアアアアア!!》 頑丈な車だった。





橋のフェンスを突き破り、《イイイイイイ、ザッパアアアアアアアアアア・・ジャボ・・ブゴ・・》





沈んでいった。










1時間後・・。







寂れた港、の外れ、〈ザバア〉、〈ザバア〉上がる。





崖下に着替えを置いて置いた。






〈SN、SN、E〉 メール送信。












〈ピロリン〉




船場康介の携帯が鳴った。





痩せた、バーコード頭、眼鏡のどこにでもいる、普通のサラリーマン。パジャマ姿。





役職は課長補佐。





年下の課長にこき使われている立場だ。






安いアパートで、レトルトカレーを食べていた。





康介「・・」 メールを打ってる。





〈R〉 送信。






テレビが点いていて、ニュースを見ている。






ストップウォッチを〈カチ〉 押した。





康介「翌朝の3時のニュースかな?」






康介はレトルトカレーを置き、 コーヒー牛乳を飲んだ。






康介「何でこうも・・悪党が多いのかねえ・・」





寝転がり、狭い天井を見た。





康介「明日の株は・・ん~・・医療かな・・」 スマホを見ながら、独り言。





しかし、スマホを覗けば、一社の大型株を1~3億単位で取引していた。












朝、早く家を出た。




満員電車に乗りたくないからいつもこうしてる。





皆俯いて、スマホ、小説、新聞を見ている。





静かだ。





朝、早起き出来るという事は、キチンと身の回りを整理整頓出来ている人達という事だ。





康介はこの品が良い雰囲気が気に入っていた。





出社。






警備員に挨拶を済ませ、エレベーターに乗る。






〈キンコーン〉 36階に着いた。





海際の47階建ての高層ビル、そこが船場康介 (41) の仕事場だった。





ここは世界的大企業、RCC本社。東京湾に位置する、造船所だった。






まだ若干二十のコネ社員の上司に今日も怒られている、康介。





しかし、取引会社の部品発注に問題が生じた時に、康介が上手く対応した事があってから、社長に見初められている為、職場の皆からは信頼が厚い。





康介がミスしてる訳でもないのに、コネはそれが気に食わないらしい。




何かにつけ、康介を陥れようとしてくる。






コネ「康介さん!いい加減にそのしおれたスーツやめろって言いましたよね?また着て来てるし!」





皆『「クスクス・・」「まあた始まった」「恒例のコント」「毎回面白いよな」』





康介「・・はあ・・」






コネ「あんたもさ!結構給料貰ってんだから!ちっとは恋とかしたらどうなの?」






康介「はあ・・恋・・ですか・・」





コネ「・・合コンとか行かないの?」





康介「いや・・自分はそういうのは・・ちょっと」





コネ「はあ・・誰かこいつにいい男伝授してやってよ?」 職場の皆に振る。





皆『・・』 皆PCを睨んでいる。





康介「分かりました・・じゃあ・・誘われたら・・行ってみます」





コネ「おお!・・でも・・お前なんか誰も誘わないって!あっはっはっはっは!」





康介「ですよね、はは・・っはっはっはっは」





コネ「笑ってんじゃねえ!」 怒鳴る。 〈ビク〉 肩をすくめる。





康介「いや・・だって前に、課長が笑ったら、部下も笑えと・・」



皆『プフウ、クスクス』






コネ「空気読めって言ってんの!」





康介「はい、分かりました」





コネ「はあ・・もういいよ・・行け」





康介「失礼します」






席に着いた。






里美「康さん、合コン行くって本当?」






良子「もう、里美?」





里美「いいじゃない!・・ねえ?行こっか?合コン?」





康介「はあ・・じゃあ・・行ってみます・・」






里美「良し!決まりね!友達誘って行くから!良子~男適当にまた宜しく~」





良子「うん、分かった、じゃあ・・連絡網回しとく」





康介「・・あの・・」






里美「じゃあ・・康さん!今晩どう?」





康介「え?今晩ですか?」





里美「ええ?駄目?」






康介「・・いや・・いい・・ですけど・・」





里美「じゃ決まり!会社終わったら、駅前の居酒屋ね!はっとんっていうお店分かる?」





康介「まあ・・分かります」





里美「じゃあ・・そこに20時に・・ね?」






康介「は・・はあ・・」






コネ「話は聞いた、俺も行ってやろう」 〈ガシ〉 康介の肩を組む。



皆『・・・・』





会話が終わり、PCの仕事に打ち込む。






康介「(・・やべえな・・)」






今夜は横浜の中国マフィアの筆頭、ヒンレイという女の頭の暗殺が予定に入っていて、今晩、東京駅前の立体駐車場の視察に来る所を狙う手はずだった。





康介「(何も起きなきゃいいけど・・)」



康介「(そうだ・・まだ新品のスーツセットあったよな?あれ?あったっけ?確かバーゲンで買って・・そのまま押し入れに・・まあ・・20時だし、一回家帰って、間に合うだろう・・しかし・・合コンかあ・・初めてだなあ・・)」





わくわくと緊張が高まり、そわそわした。



コネ「船場!そわそわするな!」



康介「す、すいません・・(意外に目ざといんだよな・・しかし・・)」



職場で角栓パックをし始めた人に言われたくないと康介は思った。






19時。



一回家に戻った康介は押入れからスーツセットを取り出す。



康介「良かった、あったあった」



湿気対策で新聞紙を押入れ全体に施していた事が幸いし、カビは生えていなかった。



新品のスーツ、靴、ネクタイ姿。



康介「まあ・・こんなもんだろ」 姿見鏡を見る。予想以上に・・何も代わり映えしない。



康介「まあ・・こんなもんだろ・・」 がっかりした。



康介「・・はあ・・でも・・約束したもんなあ・・行きたくないなあ・・」 玄関で座る。



康介「どうせ俺なんか行ったって・・この外見じゃあ・・はあ・・」



バーコードの頭を撫でる。



メガネを拭く。




康介「期待するな康介!期待するから駄目なんだ、それに・・あっちはあっちだ・・」 その目は、気を抜けば・・鋭くー。



康介「は・・いかんいかん・・目で勘ぐられるからな・・穏やかに・・穏やかに・・」



玄関の鏡で覇気がない目の練習をする。



康介「・・良し」〈ガチャン〉  家を出た。








19時20分。



ヒンレイ「今日の立体駐車場の視察の件ですけど・・予定より早く済ませたいの・・10時って約束だったけど、20時にして貰えないかしら?・・ええ・・ちょっとね・・友達と飲みに行く事になっちゃったの・・ええ・・ええ・・勿論よ・・ふふ・・ええ・・ええ・・はいはい・・ええ・・はーい・・じゃあ宜しく~・・」 〈ピ〉


組員1「変更ですか?」


ヒンレイ「ええ・・彼がどうしてもっていうから・・ふふふ・・ま、仕方ないじゃない?」

 

組員1「はい、・・おい」



組員2「ハオ」 他の組員に連絡に行かせた。



ヒンレイ「あの駐車場・・便利よねえ・・大型取引現場にぴったり、監視カメラもついてるし」



組員「朝鮮共がだいぶゴネましたが・・」



ヒンレイ「大丈夫よ~あんな奴ら、心配しすぎよ」



組員1「しかし、噂ではかなりの凄腕を雇ったとか」



ヒンレイ「いつもの事じゃない?その為に貴方達がいるんでしょう?」



組員1「頭、今日は止めて貰いませんか?嫌な予感がするんです・・」



ヒンレイ「あら?反抗するの?チュン」 




チュン「い、いいえ・・そんな・・」



ヒンレイ「あんたをガキの頃から育ててやった恩を今まさに返す時じゃない?」



チュン「か、頭・・」



ヒンレイ「それに・・ふふふ・・守って・・くれるんでしょう?」〈モゾモゾ〉



チュン「あ・・はあ・・はあ・・ああ・・はいい・・命に・・あ!代えて!ぐふう!」



ヒンレイ「うふふ・・いい子・・いい子ね・・」 座り、画面から見えなくなった。



チュン「あ!ああああ!」








19時50分。



康介が店に入る。



良子、里美『あ!来た来た、お~いこっちこっち~」 畳の部屋。



既に結構集まっていた。


男5人、女2人。



康介「あ・・どうも・・」



コネ「遅い!幹事が早く来なくてどうする!」 既に酔っている。



康介「でも・・まだ10分前ですよ?」



コネ「皆聞いたか?ほらな!俺の言った通りどろ?上司に楯突くんだいちいちいち!」



良子「柴田課長のお酒は別会計だから」 ボソっと教えてくれた。



康介「あ、はあ、はい」



柴田「おい!こっちにこい!船場!」



里美「ああ・・はいはい・・課長・・私が晩酌しますよ~」 良子と里美が目配せする。



良子「ここに座って、康さん」 中央付近の座布団に案内される。



康介「あ、はあ、どうも」



良子「(康さん、落ち着いてるし、今日のスーツ綺麗だし、大人の雰囲気出せば大丈夫!いつもの調子で課長と漫才やってね!)」



康介「あ、はあ、どうも」



良子「あ!Line来た!今電車乗ったって!」



里美「そっか」



課長「おい!俺の女はまだ届かんのか?」



男1「まあ、まあ部長、ここは私がモノマネを一発」 30後半。



課長「おお!やれやれええ」〈パチパチ〉



15分経ったがまだ女組みは現れない。




良子「どうしたのかしら?」



里美「迷子になった?」



良子「まさかあ?駅前だよ?」



里美「そうよ・・ねえ・・」





康介「・・」〈ブルブル〉 スマホが鳴った。



康介「・・」 〈T、民、D?〉(トラブル発生、人質、どうする?)



康介「・・」 〈Y、Z、民丸、ATK〉(殺れ、確定事項、人質は殺さずに、接近戦で撃滅しろ)メール返信。



里美「何?それ?」



スマホを覗かれた。



里美「変なの~何?それ?何かの暗号?」



康介「いやあ・・お恥ずかしい・・僕・・こう見えて、ミリオタで・・友人と、結構こういうメールしてるんですよ、頭の体操にもなるし」



里美「ええ~康さんは優しい康さんじゃなきゃ駄目え」 手を握って、ぶんぶん振る。




康介「いや、あの・・すいません・・」




課長「何だ?何だ?何の話だ?」 いつの間にか課長が傍に立っていた。




里美「いや、何でも」



男2「船場さんがミリタリ好きだっていう話ですよ、ね?ひっ」 睨む里美と良子。




課長「あ~に~?ミリミリだ~?」



康介「ミリタリです」



課長「一緒だろうが!」



康介「はあ、ミリミリって何ですか?」



課長「うう~煩い!だいたいお前はなあ・・くどくど」



里美「でも・・本当遅いね・・」



良子「何かあったんじゃないかなあ」



里美「私ちょっと見てくるね」



良子「私も行こうか?」



里美「いいから、何かあったらLineする、じゃね」



良子「気をつけてね」


〈ガラガラ、ガラガラバタン〉



課長「聞いてるのか?おい?」



〈ス〉黙って立ち上がる。



課長「何だこりゃ!やんのか?」 課長も立つが、よろけて座る。



康介「・・あの・・トイレに」



男1「あ、真っ直ぐ突き当たりです」



康介「どうも」



〈バタン〉 個室に入り、スマホを取り出す。



康介「・・」 〈他、T、注〉 (他、問題、注意せよ)




〈ブルブル〉 〈 R 〉




康介「・・」 トイレから出た。







20時14分。



ヒンレイ「全く・・どうすんだい?これ?」



組員1「すいません」



女2人が拘束されている。怪我はないようだ。




ヒンレイ「謝りゃ済む問題?顔もしっかり見られてるし、はあ・・」



組員1「この女が悪いんです、人の車内を勝手に覗いてやがるから、何かの工作員だと思ってつい、部下が・・」


組員3「すいやせん!」


どうやら、高級車をまじまじ見ていた所を捕まえられたようだ。



ヒンレイ「貴方達、運が悪かったわね?あたし今日大事な用事があるの、貴方達に構っている暇ないのよ、だからー・・闇落ちして、ね?」



女達『ん”~ん”~』 泣いている。



〈パシ!〉 突然ブレーカーが落ちた。



ヒンレイ「な!?何!?」



〈ヒュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ〉 ビルの階の中間辺り、窓の隙間からスナイパーが覗く。


???「・・」 女だった。



〈プシュ・・プシュ・・プシュ〉外の外車部下連中を仕留めていく。



もう3箇所からも狙撃しているようだった。




ヒンレイ「はあ、はあ、逃げるよ!早くしな!おい?おい?」拳銃を手に、唯一街明かりが届いてる場所へ移動し、背中を鉄骨に預け、呼びかける。 返事はない。 



後ろから近づく影ー。丁度、人質達から見えた。


暗視ゴーグルを身につけた、髭を生やした男が一瞬、外の街明かりに照らされた。



〈ヒュン〉 首の動脈を切られた。〈ピュウーーー、ビチャビチャチャ〉



人質達『ん”~ん”~ん”~』





ヒンレイ「あぐう!?うう・・」 立ち上がり、振り向くが、何も・・見えない。



ヒンレイ「うう・・」〈ドシャアアア・・〉




〈パ、パパ・・パシ!〉 明かりが戻った。



人質達『ん”~~~~~~~!!、ん”~~~~~~~~~!!』






辺りは、何か鋭利な刃物で首を切断された死体だらけだった。



犯人は居なかった。



《ウウウウウウ、ウウウウウウ、ウウウウ、ウウウウウウ〉パトカーのサイレンが聞こえて来た、人質の女達2人はサイレンの音を聞いた瞬間気絶した。








22時。


康介「・・はあ・・」〈バタン〉



当日、軽い、事情聴取を受けた後、家に帰った康介。




誰も怪我はしてないらしく、安心して、カフェオレを飲んだ。





〈ブン〉 コンセントを入れ、PCを立ち上げる。



康介「今日もトラブル発生か・・はらはらしたなあ・・」



〈ブルブル〉スマホを見る。 〈E、丸〉(全て収まった)



康介「・・」 〈 R 〉




康介「お?株落ちてるし・・」 シャットダウンし、席を立ち、ベッドに寝る。





〈ギシ・・〉



康介「必ず・・見つけ出してやるからな・・」






〈ピ〉 リモコン式の照明を消した。




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