ロリコン先輩と私
放課後の教室。
夕焼けのオレンジ色の光が差し込む中、一組の男女が対峙していた。
「何の用、ですか、先輩」
ぶつ切れの喋り方をしたのは少女の方だった。
栗色の髪は肩でサラサラと揺れ、青い瞳はどこまでも冷静に相手を見つめていた。
凹凸のない小柄な体と相まって、人形のような姿だ。
「実は君に折り入って頼みがあるのだ」
対する少年は喋り方こそ不遜なものの、ひょろりとした痩せぎすの体やボサボサの油髪、ギラギラと光る目と不審者然とした姿だ。
しかし少女は気にする素振りもなく、言葉を重ねる。
「どんな、内容、ですか」
少年の方も少女の喋り方に慣れているのだろう、淀みなく喋っている。
「君にしか頼めんのだ。
他の奴らでは話にならん」
頼み込む少年の姿に、少女はしばし顎に手をやり考え込んだ。
やがて視線を少年に戻し、しっかりと頷いた。
しかし頷いたことを彼女はすぐに後悔することになる。
「頼む、エミリー嬢との交際を取り持ってくれ!」
「死ね、ロリコン」
間髪入れずに罵倒する。
少女の声はいつもより早口になり、全身から不快だとオーラを振りまいた。
「そこを何とか!」
足元にすがりついてくる先輩を蹴り飛ばしながら少女は考える。
どうして世の中こんなん(変態)ばかりなのかと。
エミリーは身長130cm、子供体型の、どこからどうみてもロリの少女である。
こんな油髪に友人を渡す訳にはいかない。
少女の硝子のような瞳に正義感(危機感)の炎が灯った。