第7話 ~悲~
7月14日 午後6時2分
皆と教室に集まってからかくれんぼ3セットを会議室で静かに過ごし教室に向かう階段を歩いている。
先生達の姿は無くどこかに隠れた様だ。
「なぁ。柊?皆隠れきったよな?鬼化してないよな!」
中瀬が少し俯きながら話かけてきた。俺はあえて答えない。ここで鬼化してない。皆教室で待ってる。と、言っていなかったら?俺達だけだったら?明日になったら皆が鬼だったら?
「はぁ」
思わずため息が漏れた。
「大丈夫やって。皆おる……やろ」
作り笑いと完全に分かる表情を作り俺達を励まそうとしていると完全に分かる口調で喋る羽野。
「そうやんな、皆で楽しくUNOやろうや」
俺も作り笑いを作り階段を2段飛ばしでジャンプした。
3階の廊下。教室はこの1番奥にある。
そう考えながらあるくと長く感じていたこの廊下も今ではもう少し長くあってほしいと思う。
現在地は2年4組の扉の前。気のせいか中からハハハと笑い声が聞こえる。俺の顔に笑顔が生まれそのまま扉を勢いよく開けた。
「ぇ……?」
うまく声が出なかった。教室の中にいたのは5人。
「おぉ。お前らも残ったか。入れよ」
俺達は黙って布団の上に上履きを脱いで座った。
「まだ…くるやんな?」
口を開いたのは中瀬だった。泣きそうな顔をしてこっちを見ている。
「……当たり前だろ…くるよ」
自信なく答えた。
ガララ
ドアが開く音が耳に響いた。急いで振り向いた。
「きた!」
立っているのは――――神崎風牙だった。
「ふぅ…疲れた」
「神崎…か」
「多分、俺で最後だ。もう1人も帰ってこない」
「そんなんわかんやろ!」
「分かるね。もう6時12分だ。もうこないんだ。諦めろ」
「てめっ!」
安藤が神崎を布団に押し倒した。
「今喧嘩をしている場合ではないんじゃないか?情報を整理しないとな」
「……クッ」
安藤は立ち上がり神崎から離れまた座った。
「わかった」
残ってるのは俺、工藤柊。羽野勇作。中瀬洸希。安藤隆弘。神崎風牙。小薄秀太。笛吹春。小路桃。山路由真。
鬼は先生。
だけ…。
という情報を皆でまとめて悲しくて虚しいUNOをやっていつの間にか眠った。




