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ヤサグレ聖女とエクセル騎士

ヤサグレ聖女はエクセル騎士を休ませたい

作者: 瀬田えいち
掲載日:2026/09/13

毎朝毎晩、エクセルに聖女の癒しの光をかけている。なぜかというと、この人が休みを取っているところを見たことがないからだ。こっちの世界、身分社会で貴族は楽してると思ってたけど、働く人はめちゃくちゃ働く。あれだね、仕事はできる人のところに来る。これは全世界共通らしい。


わたしが召喚された当初は、前の仕事の引き継ぎが――とかで、ちょいちょい出かけていたが、もうそれもなくなり、ずっと護衛をしてくれている。


召喚当初はちょっと、ハニートラップ?ロマンス詐欺?と疑ってみていたけど、本人はいたって真面目に、愛想なく護衛してくれてるので、そういうことはないんだな、と納得してます。


聖女の癒しは最初は辞退していたけど、強制執行。最近は当然のように受けている。しめしめ、慣れてきたな。わたしも癒しの光を作りながら雑談だ。


「ねぇ、あなたがお休みしているの見たことないんですけど」

「休みですか?」

「そお、お休み。あなた、ずっと働き通しじゃない」

「先ほど昼食をとりましたよ」

「それ、昼休み。しかも先ほどって何?そして、わたしが言っているのは休日って意味です」

「それはお気になさらず」

「気になります!」


わたしはもう最初の段階で週2のお休みを確保しました。もう異世界の詳細聞いて情が湧いちゃう前に確保。じゃないと、自分が疲弊しそうだから。今考えても自分よくやった!

緊急時はもちろん休日出勤(浄化)して、別の日に休みます。

一気に浄化ができるわけでもないから働き詰めに働いても自分が消耗するだけでしょ。


神殿からは、聖女は、そこにいるだけでも瘴気を弱めるが、それとは別に、意識して力を使えば、より強く浄化することもできると説明を受けた。聖女という存在自体が浄化につながるというなら、健康な心身には健全な生活環境が必要。その方が、結局は浄化も効率よく進むってもんです。

そして、自分は休日取得を実践してて、周りにはブラック強要?ない、ない。そんな聖女がどこにいる。


「エクセル、明日は出勤の必要はないです。明日、こっち来なくていいからね」


王宮にも部屋があるけど、久しぶりに自邸に帰ったほうがいいよ。いや、帰れ。

平静さを装ってるけど、微妙に傷ついた表情が隠しきれていない。なんなの?こっちがひどいことを言ってるみたいじゃないか。やめてくれないかな!


「ごめん。言い方が悪かった。明日はわたし、お休みで一日ここにいるので、護衛しなくても大丈夫です」

「浄化をなさらないから、護衛不要とはなりません!」

「あ〜、そお?でも王宮から出ないよ?ちゃんと部屋の前には護衛がついてるでしょ」

「そうおっしゃいましたが、急に、遠乗りに行かれる時もありましたよね。お忍びで市場や街に行かれた時もありましたね。すべて休日でした」


そりゃ、休みの日に遊びに行くに決まってるじゃん。普段の日は浄化しないとでしょうが!


「明日は絶対に出かけないから!」

「申し訳ありませんが、信用いたしかねます」


うわぁ、聖女に向かって、信用できないって言ってきたよ!この人、大丈夫か?


「ええ〜〜」

「ええ〜〜、じゃありません」

「本当に外出しないけど」

「護衛は必須です」

「でも、護衛が全然いなくなるわけじゃないし…。大体、前に引き継ぎとかでいない時だってあったじゃない?」

「あれは、わたしがことの重要性をちゃんと認識していなかったからで申し訳ないと思っています」

「そんなこと気にしてないよ?」

「……あ、もしかして毎日の聖女の癒しをわたしにするのがお嫌になったということですか」


なんか、めんどくさいこといい出してきた!その傷ついた表情、やめてくれませんかね。


「違うよ。この世界だって安息日とかいってお休みあるでしょ」

「ありますね」

「せめて安息日に休めとはいわないから、一日は休もうよ」

「聖女さまの護衛という名誉あるお役目です。休みは関係ありません」


だめだ。こりゃ。別の方法考えないと。


「あのさ、わたしは万全のあなたでいてほしいわけ。わかる?心身ともに健康でいてほしいのです。それにはさ、お休みも必要と思うのよ。第一、護衛だけやってて、訓練いつやるの?朝起きてから?それもいいけど、もっとちゃんとやるのもいいんじゃない?でも、ま、心配していただいているのはわかりました。だったら、護衛を増員しましょう!陛下に要望を出すようにします!」

「どうしてそうなる!?」

「え、なるでしょ」


ここで、脱力するのやめてくれないかなー。


「だからさ、明日、あなたはお休み。でも、来たかったらここに来ていいよ。お休みの日に増員する護衛のこと、打ち合わせしよ?オッケー?」

「……」

「オッケー?」

「……オ、オッケー……」



翌日、やっぱり顔をだしたエクセルと護衛に関して打ち合わせ。渋ってますよ。なんでですかね。理解不能。ようよう、護衛の選定はエクセルが行うという条件で護衛補充申請を認めさせました。週1だけどな!はぁ〜。疲れた。

明日要望書を提出予定です。エクセルが自分で提出するといってたけど、ちゃんと出すよね。信用してるよ!


そして、わたしはこのままでは終わりませんよ!

そう、思いついちゃったのです。

人が駄目なら、霊獣とかはどうよ?これならエクセルも文句言えないだろ。

霊獣をテイムするか、仲良しになるのじゃ。モフモフとかいいなぁ。わたし、動物好きだし。

ふっふっふ。聖女、なめるなよ。


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