3月3日
ジリリリリリリリリリリリーーーーー!!!!!
『‥うるさい。。』寝ぼけ眼で目覚ましを消す。
ベットからでるとつめたい空気が、さらに布団を恋しくさせる。
‥もう3月なのになぁ。異常気象だよこのさむさ!
なんていいながらも仕方なく顔を洗いに行く。
どんなことがあっても朝は普通にくる。
朝が来ると 普通 にしたくをして 普通 に仕事にいかなければならない。
それが大人だから
昨日あたしは仕事のお休みをとってある場所に行った。
3月3日 毎年あたしは決まって同じ場所に行く。
そこへ行くのはもう4回目。一人で訪れたのは昨日を含めて2回。
後の2回は昔の彼氏、敬吾と行った。
3月3日は敬吾の誕生日で、19歳の彼の誕生日の時に初めて訪れた場所。
2人だけの秘密の場所
地元の駅から電車で30分。県を越えてつくのは『つづ』っていう田舎。
海と山しかないようなところ。‥少し最近はカラオケやもできたみたいだけど。
駅から海沿いにあるいて5分、柵を越えて線路を横断して海側にいくと、まさかの沖縄のようなビーチがある。
そこに岩でできた天然のオブジェがあり、なんとも『秘密の場所』チックなわけである。
見つけた瞬間に3月3日はここで過ごすことが決まった。
3月3日だけでなく、気に入ってよく記念日や、特別なことがあるたび訪れた。
2年前の1月、彼と会えなくなった。
理由ははっきりしないが、21歳の男だから心変わりだと思っている。
何度もメールしてみた。
電話もかけてみた。
2年前の3月1日にはアドレスが使われていなかった。
電話もつながらなかった。
連絡も取れないまま3月3日に秘密の場所へ行った。
‥絶対、きてくれる。‥連絡もないのにそう思ったから。
現れるはずもなく、あたしはむなしく半日をそこで過ごした。
‥どうして?無視ってどういうこと?なにかあったんじゃないの?
好きだったのはあたしだけ?‥
理解できないまま涙も出なかった。そんなわけない。
1週間くらいたったころには、振られたってことをやっと認めてからは泣き続けた。
月日がたち、半年たつころには好きな人もできた。22歳の女ってそんなもの。まだまだ恋愛盛り。
友達も『あんな最低男はやく忘れんちゃい!』ってよく出会いを作ってくれた。
でも、3月3日はなぜか秘密の場所に向かってしまう。
音信普通になるくらいこっぴどく振られたのに、彼に会いたくなる。
会えなくても、振られた理由を見つけたいっていうのもある。
3月3日だけは、21歳の敬吾の彼女の気分で彼が現れるのを待ってしまう。
そんなもんで、昨日のあたしは完全に22歳のころの切ないあたしだった。
だけどそんなことおかまいなしに朝はあたしを 普通の日常に戻す。
24歳、働き盛り、いつもの日常が始まる。