第7話 冒険の始まり
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夜の闇が村を包む中、ハルトは違和感を抱えながら背中に手を回した。
そこには、まだしっかりと刺さった異物があった――テラからのお仕置きの“証”だ。
「テラ……なんでこれ刺すんだよ……しかも実物じゃなくて魔法じゃん……」
痛みはさほどないが、抜ける気配もなく、じわじわと精神的にくるものがあった。
テラは近づき、優しいが厳しい声で言う。
「これはあなたが調子に乗るからですのよ♡ 甘やかしませんからね」
そしてハルトの背中に手をかざし、魔法で刺さっていたナイフを抜いた。
ハルトは苦笑いしつつも諦めた。
「……本当にすいませんでした」
「もし次同じことをしたらキツイお仕置きですからね?」
テラの声は母性があふれる優しい声に戻ったが何処か子供を叱っているお母さんに見えてきた。
……でも見た目はロリだし胸も無いから違和感を感じるな
「ハルトちゃ~ん?またお仕置きされたいのかなぁ?」
「すいませんでしたあああああ!」
俺はテラに土下座をした。
それを見ていたマルクやセバス、リリアは笑ってみていた。
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翌朝、村に再び平和が戻った。
村長マルクや村人たちは、自分たちの力で村の安全を守る体制を固めていた。
「我らは村の守りを固める。ハルト殿たちはこれからの戦いのため、外の世界で力を蓄え、情報を集めるべきじゃ」
マルクは静かにそう告げた。
ハルトは仲間たちと顔を合わせる。
「おう、みんな。これから本格的に動くぞ。帝国も旧支配者の痕跡を警戒している。俺たちは各地の封印場所を巡り、封じられた旧支配者の力や秘密を探らないと。だよなテラ!」
テラはにこやかに微笑みながらも、目は鋭く光っている。
「そうですわ。我が子よ、あなたの力をさらに高め、我々の信じる旧支配者の復興のために」
リリアは決意を込めて頷く。
「ここからが本当の戦い。私も負けません」
セバスは剣を握り締めながら静かに言った。
「冒険は危険だが、我らが盾となろう。さあ、出発だ」
彼らの意思はとても強かった。
そう、これからが本当の冒険の始まりだ――。
村の広場に、朝の柔らかな光が差し込んでいた。
昨日の喧騒が嘘のように静まり返った村の中で、ハルトたちは旅支度を整えていた。
「……これを持っていけ」
マルクが取り出したのは、古びた羊皮紙の地図だった。
そこには、かつて旧支配者たちが封印された神殿や祭壇の場所が記されている。
「この地図は、帝国が“禁忌”として封印した情報じゃ。……わしが若い頃に密かに写し取っておいたものだ」
「じいさん……ありがとう」
ハルトは真剣な表情でそれを受け取った。
「封印されし神々は、まだ完全に滅びてはおらん。痕跡を辿れば、いずれ力や記憶が戻るやもしれん」
マルクの言葉には、老戦士としての静かな想いが込められていた。
「みんな……ありがとうな」
ハルトが振り返ると、村の子供たちや大人たちが見送ってくれていた。
「お兄ちゃん、また来てねー!」
「下ネタ言い過ぎて殺されるなよー!」
「じゃあなお◯んぽカーニバル!」
「セクハラしすぎて捕まるなよ!」
「セバスさん! 今度こそ、筋肉講座を!」
セバスは「フッ……旅から戻ったらな」と笑って答える。
……まて、半分以上が俺の事なの?!
しかも俺の名前もそうなっちゃったじゃねーかよおおおお!
テラは小さく微笑みながら、ハルトの肩に手を置いた。
「さあ、行きましょう。私と旅ができるのが嬉しいんですね、ハルト様♡」
「やめて恥ずかしい!」
そうしてハルト、テラ、リリア、セバスの四人は、村を背に歩き出した。
それは、旧支配者を辿る旅路の始まりだった。