表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/19

第2話 ロリコン疑惑

森を抜けた先、視界が開ける。

そこには、石畳の道と木造の家々が並ぶ、小さな村が広がっていた。


朝靄がまだ残る村の空気はひんやりとして心地よく、朝日が屋根の上を照らしながら優しく村全体を包み込んでいる。


「……ここは?」

「グラント村です。私にとっては故郷のような場所ですわ」


テラは笑顔で答えながら、軽やかに草道を進んでいく。

俺はそんな彼女の小さな背中を見つめつつ、後を追った。


しかし――


「おいそこの男! その子をすぐに離れろ!」

不意に、怒鳴り声が飛んできた。


「へっ?」


振り向くと、銀髪に白いヒゲをたくわえた長身の男がこちらに走ってきていた。

その姿は老いを感じさせたが、腰に携えた大剣と鋭い眼光は、かつての猛者の名残を感じさせた。


「は、はい!なんでしょうか!!」

気迫がある怒鳴り声で体がピンッとなってしまった。


「子供を誘拐とは、貴様を逮捕する!」

「ち、違う! 俺は誘拐なんて――」

「問答無用! このロリコンめ!」


「うぉぉぉい!!? なんでそんな即断すんだよッ!!」

「あらあら、セバスさん?我が子に何をしているのですか?」


その瞬間、テラの静かでどこか恐ろしい声が聞こえた。

そして銀髪の男の目が大きく見開かれる。


「っ!? こ、この御声……まさか……」


男はテラの前で、ひざまずいた。

「まさかテラ様でしょうか!」

「はい♪ ハルト様と共に歩むための姿ですの」


俺はポカーンとするしかなかった。


「……え、えっと、俺は無実になったのかな?」


「……無礼をお許しください、ハルト様。わたくし、セバス・グレイヴと申します。この村で警備と雑務を任されております。以後、お見知りおきを」


こうして俺はセバスという男に開放してもらったが、周りの視線がとても痛かった。

おそらくここの村人だろうが、ロリコン野郎だったり顔はブサイクな癖にとか聞こえる。

っておい!顔は違うだろ顔は!


人混みの中から白く長いヒゲを伸ばした老人が出てきた。

「これはこれは、テラ様。第二次聖戦以来ですな」

「あら~、マルク久しぶり!貴方老けたわねぇ」


テラがマルクという村長と握手していた。


「マルク!あの子が私達の希望の光であるハルトよ」


テラが俺を紹介した。


「ほうほう、いい男じゃな。わしが若い頃に似ておる」

「あの子のほうがイケメンよ?だって私の大切な子供だもの」

テラが”自分の子供”というと周りから感動する声がした。


「……いやいや、なんでここで”我が子”設定が確定してるんだよ!?」

そう反論すると知らないうちに後ろからテラが抱きしめていた。


「まぁ♡、お母さんと一緒だと恥ずかしいのよね?」

「ほう!溺愛しとるのか!テラ!」


村長や村人から笑われてる……

ある程度落ち着いたあと、村長が言葉を発した。


「まあテラ様がここにお越しになったということは何かあるのですな?」

「そうよ、マルク。少しこの子と一緒に3人で話せるかしら?」


そう言うと村長の目は真剣な眼差しとなり、セバスに指示を出した。


「セバス、わしの家に誰も入れないようにしてくれ」

「分かりました。お任せください」

「他のみんなも分かっとると思うが、セバス以外の帝国の人間に伝えるな!」


そうマルクは言うと皆は頷き何事もなかったかのように散らばっていった。


「それじゃあ、テラ様とハルト様。こちらへ」


こうして俺とテラは村長の家へと向かっていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ