第18話 それでも……君を赦す
今までの話を聞いてハルトは自分が葛藤していた思い、東雲 一希に対して抱いていた気持ち。
憎んでいた相手がただの思い込みだったと気づき、自分が馬鹿らしくなった
全てを話したテラは涙をこぼしていた。
「だから……貴方をこの世界に呼んだのも、私が世界を救済しようとしてるのも……」
「全部わたしのエゴ……なの」
テラは俯き、表情はわからないが恐らく号泣しているのだろう。
「だからね、ハルトちゃん。私が……私が全部悪いの」
続けて言う。
「もし私が憎かったら、もし私が悪だと少しでも思うのなら!」
テラはハルトの肩を掴む。
「私を殺して!私を!私を……!」
テラの声は段々と消えていった。
そしてテラの言葉に、ハルトは言葉を失った
だが分かることは一つある。
【正義や悪と区別は出来ない。全ては虚しく、全ては等しく】
ハルトはそっとテラの頭を撫でた。
「俺はテラを殺そうとは思っていないし、憎たらしいとも思っていない」
「さっきまでの話を聞いて分かったよ」
ハルトは肩を掴んでいるテラの手を解き、テラを優しく抱きしめる。
「その一希って男の通り、君は明るい未来を作るために俺を呼んだんだろ?」
テラは震えていた。
「一希の願いを、死んでいった者たちの思いを……託されたその未来を…」
視界が霞む。頬には何かが流れている感覚がした。
「叶えるために戦おうじゃないか」
ハルトのその言葉を聞いた瞬間、テラは目を見開いた。
そこには昔、未来のために……テラのために自らの命を散った男。
東雲 一希の姿が見えた。
その瞬間テラは号泣した。
今まで話せなかった。誰にも頼れなかった。
そんな気持ちが爆発した。
「テラ……これからもお前に付いてくから、お母さん」